イルテ&ズヴィ&ノイン end A 何も知らないまま幸せで
「実はね、ラブラクアの王子は16になる前に伴侶を見つけないと死んでしまうんだ」
「なんで黙ってたのよ」
「それを言ったら優しい君は同情で結婚を申し出てくれそうだけれど、それは違うと思ってね」
「でも私が運命の相手じゃなかったらとか、考えてなかったの? 両想いじゃないのに……」
「これから相思相愛になるんじゃ、だめなのかい?」
「……もう、ノインには悪いことしたわ」
◆◆
「ごめんね、なんというか」
「神の力というやつです。しかたがない……今から逃げるという手もありますよ」
「あんた野心家? イルテを死なせて王にでもなるつもり?」
「伴侶を見つけ神殿に入ったなら殿下が死ぬこともなくなるので……」
「そういうシステム?」
「殿下は直系の継承者なので重婚できませんが、その妃の貴女はできます」
「王子なのに、なんというか、うん……王家は愛に縛られてかわいそう……」
◆◆
「ズヴィ、こんなところにいたんだね」
「なんで別荘にいることバレてるの? ノインが言った?」
「運命パワーでしょうか?」
「どうしてノインに頼っているのかな? 困りごとがあるなら夫である私が聞こう」
「この別荘にいる時点で、彼女はこちらの嫁でもありますが……やはり王子はそれなりの身分とですね……神のなんたらうんぬんかんぬん……はもういいです」
「は? これ私のためにあらそいをとめて! とか言っておけばいい?」