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初登校

長野での純の初登校の日、真由美と純は先に校長室に通された。


林校長には前もって、主人の誠と引っ越しの翌日に挨拶には来ていたが、やはり純の初登校日となると、多少の不安を感じていた。


『果たしてじゅんが皆に溶け込んでうまくやっていけるのだろうか』


『主人はきちんと勤まるのだろうか?』


真由美にとってはどちらも不安であった。

林校長からは純について事前に


『極力他の子と差別しません。

立花さんが現実に向き合って、現実を理解し、受け入れて自分で歩き出すのを、この土地と空気と人々が少しでも役にたてばと思っています。』


と言われていた。

また


『秋になると運動会もあります。

横浜の運動会は知りませんが、ここの運動会は生徒の数が少ないのもあって町の人までが参加する非常に大きくて賑やかなものです。

学校の行事というより町の行事です。


その運動会の最後を飾るのがクラス対抗親子リレーというもので、これに立花さんも参加して貰う予定です。


立花さんをさらし者にするのではなく、周りのみんなが立花さんのことを理解し支え合うのです。

ここの人々はそうやって、この山深い地域で生きてきたのです。

その力がここにはあります』


ときっぱり言いきった。

それまでの林のイメージからは程遠い力強さであった。


ほどなく1人の中年と呼ぶにはまだ間がある男がノックして入ってきた。『立花さん、あなたの担任の松本先生よ』


と林は純に紹介した。

松本は真由美に向かって


『松本です。

話は全て林校長の方から聞いています。

こんな所だから、みんな素朴で純粋なやつばかりですから、安心して静養のつもりでのんびりやりましょう。

ご主人立花先生もです。』


『じゃ、松本先生、クラスでみんなに紹介してあげて頂戴』


廊下を歩きながら松本が


『クラスに長谷川健一という八百屋の息子がいるんですけど、お知り合いですか?

ははは、何故ってどうしても立花さんを僕のクラスに入れろってせがまれましてね。

まあ2クラスしかないんですけど。

ガキ大将みたいな奴ですが悪い奴じゃないし面倒見がいいから、いいかなと』


『お母さんはクラスでの紹介が終わったらお帰り頂いて結構です』


6年1組のクラスに着いて、松本はみんなに純を紹介した。


みんな転入生がいることは、噂で聞いていたらしく、明るい好意的な顔で出迎えてくれた。

そのことが真由美を安心させた。


『クラス委員の山本の隣が空いていたはすだな。

立花さんあそこ…あれ、山本の席になんで健一が座ってるんだ?』


山本が口を尖らせて


『先生ー、今朝健ちゃんが先生が僕の席と健ちゃんの席を交換しろって言たって』


松本は苦笑しながら、


『しょうがない、じゃあ健一の隣りで』健一はニコニコしながら純にピースサインを出して迎えた。


こうして純の長野での学校生活が始まった。

朝は健一が迎えに来て、帰りは送って来るというボディガード付きで。

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