Appendix13:
◇◇◇ 数週間後 旅の途中
「はぁはぁ、常に新婚さんが密室って冷静に考えるとヤバいわね……アリア、これは神様に試されてるのよ。貞淑であることは大事よ」
長文でぶつぶつ独り言を呟きながらブラを整えるアリア。胸元にたくし上げられたニットを戻しながら、ふとコンソールに目をやるとちびキャラがタバコを咥えてリラックスしているのが見えた。
(やっぱりこの如何にも事後って感じが一番ムカつく……)
「ダメンズと部屋デートばかりのヒロインか……」
ボソリと嫌味を呟くとコンソールからジロリと睨んできた。
「ひろいんッテ、自分デ言ウンダ」
「うるさい! この甲斐性なし!」
ここ数日はちょっとした言い合いから喧嘩になって、それをオリハが謝って仲直りするとそのままアレに傾れ込むパターンばかりだ。
「やっぱ倦怠期かな……」
今度はこちらの独り言を無視して何かを調べているオリハ。コンソールの中でモニターと睨めっこしている。
「ウーン、ヤッパリモット妻トシテノ活動ヲ頑張ッテモラワナイトイケナイカナ」
「えっ? 妻……ちょっとー。流石にその呼び方は早いってー。えへへへー、まだ照れちゃうなぁ♡」
クネクネしてるアリア。やはりチョロい。そんな姿をじっと見つめるオリハ。口元がニヤリと綻んだ。
「ジャア嫁?」
「ちょっと! 急にそんなの嫌よ!」
セリフと真逆で嫌がってる素振りはない。
「オ嫁サン」
「いや……いやーん♡」
急にクネクネし始めると、スカートの裾をパタパタ仰ぎ始めた。時折目に入る白い下着に興奮するオリハは必死に冷静を装っている。
「熱くなってきちゃった……」
「ゴクッ……奥サン」
「んふふ。ねぇ、エアコン弱めた? なんか……身体の奥が熱いの♡」
とはいえAIの癖して生唾を飲むコンソール上のちびキャラ。それを艶かしく見つめるアリア。
「ねぇ」
「元ノ機体ニ戻ルニハ、アト二百四十六回スル必要ガアル」
突然の衝撃発言。イケばイクほど何かエネルギー的なものが貯まっていくのは何となく理解していた。それこそ行為を重ねるごとに明らかにオリハは強くなっていく。
「ちょっ……うぐぅ。リアルにアレのことよね」
「モチロン」
「そんなに……いやーん、壊れちゃう♡」
今思えば、出会った最初も『エネルギー補給を手伝って』なんて言っておいてエロい行為に傾れ込んでいる。
――つまり、これは正当な整備作業なのだ。この機体に乗り込むパイロットの使命なのだ!
そう納得すると、何か貞操とか貞淑とか、どうでも良いものに思えた。
「そうよ! オリハ、もう抱いてーー♡」
「ア、ありあーー!」
「I got a radio call.(無線が入りました)」
マジックハンドで絡め取られる直前に、無骨なアナウンスが響いた。二人して全天周囲モニターの一点を睨みつける。そこには可愛らしい犬型のキャラが申し訳なさそうに浮いていた。
「Bow-wow……Would you like to connect? (ワンワン……接続しますか?)」
消え入りそうな声で問いかける支援AI。ナンシー亡き後、二人で悩んだ末の結論が『ペットを飼う』だったので犬型のペルソナを使っている。
「ツナイデ!」
『――久しぶりね、オリハルコン……』
「むっ、新たな不倫相手候補の検知!」
アリアの不機嫌そうな声を無視してオリハはモニターの一点をズームした。そこには崖の上からこちらを見つめる紅色のBM。その傷一つない装甲は陽の光に照らさらて鈍く輝いていた。
『――メール、読んだ? 送るの大変だったんだからね』
「メール? もう文通してる仲なの?」
ここでオリハはあのメールの送信者なのかと合点がいった。その雰囲気をアリアは邪推して更に不機嫌になる。
「ねぇ!」
それを無視するオリハ。
「ソノ声ハ、ひひいろかね、カ……」
To be continue……
この物語は第一部完となります。少しでも楽しく過ごしてもらえていれば幸いです。




