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P18:海と水着と盗賊団【03】

「誰それーーっ!」

『――バイパー団って言ってるだろー! ガハハ!』

『――目立つんじゃねーぞ、バリー! 女と金だけ早く攫えよ』

『――うるせー! 臆病(チキン)のドミーはそこで見てな』

 

 スピーカー越しにがなりたてながら、二十メートルほど沖合から一機だけが近づいてきた。もう一機は神経質そうに辺りをキョロキョロさせながら浜辺に銃を向けている。


『――ったく、早く済ませろよ』


 浜辺は一瞬でパニックになっていった。


「きゃーーーー!」

「バイパー団よー!」

「助けてくれーー、殺さないでくれーー」


 周りの観光客が逃げ始めた瞬間、奥の一機が空に向けて銃を数発撃ち放った。全員ビクッと動きを止める。


『――はい、動いたら全員コロスからなー』


 走り始めた水着の人達も銃声を聴くと震えることしかできない。銃口を向けられるとしゃがみ込んだり意識を失ったりしていた。


「もう終わりだ……」

「殺さないで……殺さないで……」


 悲鳴や諦めの声がそこかしこで聞こえてきた。

 アリア達の目の前までBMを移動させると一機がハッチを開けた。コクピット内に座っているのは如何にも盗賊団といった風体の男だった。


「ウヒョー! たっぷり可愛がってやるぜ!」

『――よし、そこの似た水着の二人、若い方の二人組だ。そっちはバリーのコクピットに乗りな!』

「わ、私達?」


 どうやらアリアとローズのことを言っているようだった。怯えるローズ。そっとイヤホンをするアリア。


「うへへ、そっちのオッパイとモデルみてーな細いヤツはドミーのBMが来るまで待ってなよ」

『――しゃーねー。少し待ってろ』


 流石に恐怖を感じて足が震えているアリア。逆にその怯えっぷりが盗賊達の警戒感を薄れさせた。万一傭兵団のパイロットと知れれば真っ先に撃たれるだろう。


『――アリア、ビーチ、トウチャクマデ2分』

「えっ?」


 突然にオリハの声が聴こえてきたので驚くアリア。すると不審な動きを察したのか近づいてきた一機がアリアに銃を向けた。


『――なんか言ったか? 死体にしてから痛ぶられたいのか?』

「ひぃ……」


 銃を向けたBMからスピーカー越しに聞こえてきた蛇のように冷たく絡みつくような声。アリアは腰が抜けてへたり込んだ。声にならない悲鳴にバリーの方が満足そうに頷いていた。


「そうそう。たっぷり怯えてろ。漏らすなら浜辺でしな。コクピットの中で漏らしたらブン殴るぞ。ゲヘヘ!」


 ニヤニヤといやらしく笑うバリー。沖から近づいてきた一機も波打ち際に到着して二機のBMが並んだ。足首辺りに波が打ちつけているので水深三十センチ程度なのだろう。


『――バリー、女なんざ眺めてないで仕事しろ!』

「けっ、うっせーなー……」


 もう一機もハッチを開けると中には痩せ型で神経質そうな男が顰めっ面で警戒をしていた。こちらがドミーと呼ばれた盗賊で、目が合うだけで撃たれそうな雰囲気だ。そちらに目を奪われていると突然ボロい袋がアリアの目の前に飛んできた。


「そこの女、集金係だ。お前が周りのヤツらから金目のものをその袋に入れさせろ。集めたらこっちに来いよ。お前、タイプだから可愛がってやるぜ。グハハハ!」


 手を伸ばせば手が届く所に汚い布の塊が放り込まれた。どうしようか逡巡しているとオリハからの通信があった。


『――トウチャク。イマ、アリアノ、ウシロ』


 ふと小さな足音がアリアに聴こえた。風の通り方も変わった気がする。とても心強い存在に護られているという安心感に包まれた。


「ほっ……」


 安心のため息を吐くが、盗賊団達はこちらを気にしていない。カミナに注意を向けているように思えた。


「お前……生意気な目つきだな……おい、前に出ろ」

「……」


 今度はカミナが標的になった。横から軽い舌打ちが聴こえてきた。


「よし、オッパイ女。水着を取って全裸に――」

「――汚ーい。それに臭ーい!」


 汚れた袋を親指と人差し指で摘んで持ち上げてみる。勿論そんなことをすれば注意がアリアに向く。バリーは身を乗り出して不機嫌そうにアリアを睨みつけていたが、すぐにいやらしい笑いが浮かんでくる。


「気の強いとこもタイプだぜ……金なんかイイからこっちに――」

「――嬢ちゃん、仕事の道具にケチをつけるんじゃねーぞ。バリー、サボるな。ちゃんと見張れ。ほら、お前らは集金係に財布を渡せ!」


 ドミーは油断なく辺りを観察しながらバリーに文句を言っていたが、変わらずニヤニヤしているバリーに苛立ち始めた。


「へへへ、たまんねーなー……早く乗りな。で、俺の上に乗れよ……」

「いい加減にしろ、バリー!」


 ここでドミーは右脚を器用に使って隣のBMに蹴りを入れた。突然の衝撃にコクピットから落ちそうになるバリー。


「ちっ、クソ真面目な……さぁ、金を出しやがれ」


 ドミーの『真面目に仕事をしろ』という圧力に慌てて銃弾を中空に放って恫喝した。周りの人達は銃声を聞くや否や財布を渡そうとしていたが、アリアは袋をそのまま海に投げ捨てた。

 周りの海水浴客は驚いて声も出ない。


「嫌よ! 汚いし。何で盗賊の片棒を担がなきゃいけないのよ!」


 盗賊相手に両手を腰にして叫ぶ水着姿のアリア。


「だ、ダメよ。怒らせたら私達、殺されちゃう……」


 横のローズが慌ててアリアに声をかけるが既に遅い。


「クソアマ! 舐めてんのか!」


 一瞬で怒り出すバリー。それを横で見ていたドミーはハッチを閉じて数歩後退した。この場に不自然さを感じたのかもしれない。そんな一触即発の空気に周りの人達は恐怖に座り込んでしまった。


「じゃあ、仕置きだな……」


 舌舐めずりしながら操縦桿を握ると巨大な銃が前を向いた。


『――バリー、全員殺すなよ。お前は手加減ってものを知らないからなぁ』

「うるせー、そん時はそん時よ! そのネーチャンを恨みな!」


 突然に躊躇無く銃を乱射する盗賊団のBM。後ろの方で海の家が数軒バラバラになって燃え上がった。


「なんて事をするの!」


 アリアが叫ぶと、汚いものでも見るような目で睨みつけてきた。


「お前……面倒だな。死んどけよ」


 ライフルを構えて浜辺に固まるアリア達十人ほどに狙いをつけた。怯えるローズ、パティオ、その他の人達。


「あ、アリアお姉ちゃん……」


 アリアの挑発に監視が緩くなったのを感じ取ったカミナは、このタイミングでバイクに跨るや否やスピンターンしてハンガーの方に浜辺を全速力で走り出した。


「バーカ! 少し待ってろ、ぶっ殺してや――」

『――待つわけねーだろ!』


 もう一機がカミナのバイクに狙いをつけ、躊躇なく射撃し始めた。しかし透明な何かに銃弾が防がれた。


『――んー? 何だ、何に弾かれた?』

「へへへ、ドミー、お前バイク一台倒せねーのか」

『――うるせーぞ、バリー。何か嫌な予感がする。ソイツら攫って一回戻るぞ』

「けっ、チキン野郎め。おい、さっきの女三人、早くこっちに来い!」


 今度はしっかりとライフルをアリア達に向ける。周りの海水浴客達は腰が抜けたのか座り込んでいた。しかしアリアは一歩前に出ると腰に手を当ててバリー達を睨みつけている。


「じゃあ、まず私が相手するわよ」


 ローズとパティオの前で水着のアリアは仁王立ちを崩さない。とはいえ流石に生身でBM相手に戦えるわけもない。アリアが注意を引いてカミナを逃す、それがこの女の目的、と判断したドミーもコクピット内で安堵していた。


『――天晴れだぜ、ねーちゃんよ。なら望み通りお前からヤリまくってやる。バリー、三人乗せろ』

「うへへ、早く俺のBMに乗りな。ここでもアジトでも気持ちイイこと死ぬほどしてやるぜ!」


 アリアはここでニヤリと微笑みながら叫んだ。


「オリハ、来なさい!」

『――アイヨー』


 アリアの後ろの空間が割れてコクピットが現れた。ふわりと浮き上がったアリアがコクピットに吸い込まれると、また空間が閉じるかのように見えなくなった。実際には熱光学迷彩を纏って待機していたオリハがアリアを乗せただけだ。ハッチを閉めてしまうと手品よろしくアリアは完全に消えてしまった。


「な、なな何だ! どこ行った!」

『――センサーからも生体反応が消えた! 魔法かなんかかよ?』


 バリーも流石に危険を察知してか、後退しながら無闇に乱射し始めた。が、その瞬間ライフルが爆発した。それを見たドミーがライフルをローズ達に向けるが、今度は撃つ前にライフルが爆発した。

 オリハが正確にライフルを射撃していた。一瞬で二機とも右手ごと武装を失った。


「流石オリハ!」


 アリアはオリハの中でブンブン腕を振り回してバリーとドミーを威嚇していた。オリハの正確な射撃に感激して、今度は身体を左右に揺らしてオリハを誉めまくり。


「キャーー! オリハ、カッコいいー! 素敵よー!」

「ソレホドデモ……アルヨー」


 水着にパレオ姿のアリアがコクピットではしゃいでいると、何故かコンソールの中のオリハが挙動不審になっていく。


「ハァハァ、アリア、スコシダケ……」


 どうやらアリアの太ももの感触に興奮するオリハ。それに気付くがアリアにはどうすることもできない。ハートマークの蓋が徐々に開いていく。


「きゃーー! ヘンタイー!」


 違う声色の『きゃーー』がコクピットに響く。太ももを椅子から浮かすとアングル的に絵面がエロくなる。それはそれで興奮するオリハ。


「オネガイ、サキッチョダケデ、イイカラ……サキッチョ――」

「――やめろ、バカーー!」


 ハートマークの付いた蓋から出てこようとするマジックハンド。それを阻止しようと蓋を閉じようとするアリア。


「イタイ! フタニ、ハサマッテル、イテテ!」

「こらーーっ! 今はダメに決まってるでしょ!」


 ドタバタしているうちにカミナ機もやってきた。スピーカーで威勢よく叫んでいる。


『――お待たせー! 動くなよ、動けば撃つ』

「へっ、言うこと聞くバカがいるかよ!」


 キャノピーを開けたままバリーは大声で叫ぶと左腕に装備されたグレネードの砲身を向けようとした。瞬時に反応したカミナのライフルが容赦無く開いたままのコクピットに銃弾を叩き込む。


「死ぃ……ゲフッ!」


 一瞬血煙が舞い上がると刹那に火花が散った。一瞬の静寂の後、BMの上半身が爆散した。


『――バリー! この野郎、仇討ちだ!』


 ドミーがスピーカー越しに叫ぶとバリーと同様に左腕に装備された二十ミリ機関砲をカミナに向けた。予測していたオリハは銃をコクピットに向けるが、刹那にアリアは操縦桿を触って照準を左腕に逸らした。


「人が乗ってるのよ!」

「アリア、ソレハ、ダメ!」


 熱光学迷彩に隠れたオリハが左腕を正確に撃ち抜く。しかし、今度は胴体に設置された銃口をローズ達に向けた。


「私は警告したぜ!」


 殆ど同時にカミナが粒子ビームを敵BMの上半身に直撃させると、銃口が火を噴く前に爆散した。


『――辺りに反応は無い。もう大丈夫だ!』


 カミナがスピーカーで叫ぶと周りから歓声が上がった。すると、オリハも熱光学迷彩を解除した。突然現れるBMに驚く周りの人々。

 カミナは危険が無くなったことを確認すると、コクピットハッチを開けてローズとパティオの前に降り立った。オリハも続いてハッチを開く。中には震える身体を押さえ付けるように自分を抱くアリアがいた。降りてくる気配はない。


「人が乗ってたのよね、アレには……」


 血煙を上げながら爆発するBMの姿がまだ脳裏に焼き付いていた。


「自業自得だよ」

「カミナさん……」

「見なよ、アレを」


 カミナが指差す方向には海の家の残骸があった。そこでは身内や友達の死を悲しむ悲鳴にも似た叫びが上がっていた。


「何人かが死んだらしい。私達はその仇を討ったんだ」

「そんな……」


 ローズやパティオも胸を撫で下ろして喜んでいる。この騒動でカミナとアリアはこの街のヒーローになっていた。皆が笑顔をこちらに向けている。皆が褒めてくれる。

 でも、アリアの心は晴れなかった。

 アリアは武器を壊せば両手を上げて降参してくれると思っていた。そうしたら警察が来て逮捕してくれると思っていた。


(実際は違った。盗賊団は優しい人達に容赦無く銃弾を浴びせる。だから、カミナもオリハも盗賊団に容赦無く銃を向けた)


 アリアの身体の震えは止まらなかった。


(私も……同じことをする時がくるのかな。その時、私は……どういう決断をするのかしら……)


 その答えは、まだアリアには出せなかった。



◇◇◇ 数時間後、ホテル・メサイヤ前



 ローズの実家の宿屋の近くまで来たオリハとアリア。熱光学迷彩を使ったまま、宿屋の近くの道路の植え込みまで来ていた。透明なままBMを降着ポーズにする。


「ツイタヨー」

「もう……ローズのとこに着いたんだ……」


 アリアは水着から着替えてもいなかった。オリハから降りてローズや皆と会話する気にもなれなかったので、そのまま少し遠くの砂浜でオリハの中から夕陽を見つめていた。日も落ちて暗くなってきたので、宿屋に戻ろうということで、オリハに連れてきてもらっていた。


「ゴホウビー」

「……ゴメンね。そんな気分じゃ無いの……」


 少しだけ、自分の考えに折り合いをつけることができた。とはいえ気分が晴れたわけでは無い。一刻も早くシャワーでも浴びて一眠りしたかった。

 そんなアリアの暗い回答に不機嫌になるオリハ。


「エーーッ」

「送ってくれてありがとう……少し休ませて」


 賑やかな通りがアリアの心を逆に寂しくさせた。シートベルトを外してコクピットから降りようとするが、何故かアリアにゴーグルをはめるオリハ。


「えっ、コラッ、降りるんだって」

「サンザン、ジラシテオイテ、オアズケハ、ダメ」


 ここで久々に椅子から拘束ベルトが出てきて両手両足を縛られてしまう。


「お預けって……ちょっと、何するのよ!目隠しプレイなんてマニアックなのは――」

「――ジャア、コノママ、ミンナニ、アリアノ、カラダヲ、ミテモラオウ」

「へっ?」


 ゴーグルのVRモニターの電源が入ると、まるで植え込みの上で透明な椅子に座っているようだった。膠着ポーズをとっているのでコクピットは三メートルくらいの高さに位置する。周りの人たちの表情も食べている皿の料理すらしっかり分かる距離感だ。


「ちょっと、どうするつもりよ!」


 見えないのは理解しているつもりだった。しかし、話し声もリアルに聴こえてくるし何より距離が近い。そうなると急に水着でいることが恥ずかしくなる。アリアは下から覗かれているように思えたので反射的に手でお尻を隠そうとした。しかし拘束されているので手を動かすこともできない。


「ねぇ、オリハ! 怒るわよ!」


 宿屋の周りは人だかりが徐々に増えてきた。どうやらローズの無事を祝って盗賊団撃退パーティーを開催しているらしい。皆が喜びオープンカフェで酒を酌み交わしている。


「ちょっと、ヘンタイ! 手を外してよ!」

「ハァハァ……アリア、ミズギ、カワイイヨ……」


 椅子に当たる柔らかな太ももの感触に興奮しすぎのオリハ。ここでオリハはとっておきの作戦を実行する。まず、アリアのゴーグルには自身を八頭身イケメン姿で登場させた。何故かホストのようなスーツを着込んでおり、宙を飛んでアリアに近づいていく。


「あら、イケメンの方のオリハさん……」


 次にハートマークの蓋からマジックハンドをスルスルと伸ばしアリアの太腿を撫でる。そして、アリアのゴーグルに映るオリハの手の映像とマジックハンドの動きをリンクさせた。


「えっ、オリハ……あなた私の身体に触れられるの?」


 ニッコリしたままアリアに近づくイケメンオリハ。解像度はどれだけ近づいても荒くはならない。Vチューバーのクセして皮膚の下の血管まで見えるようだ。

 オリハは目を瞑るとそのままアリアと唇を合わせた。


「んっ!」


 抵抗らしい抵抗もないアリア。勿論、柔らかな唇の感触もマジックハンドで巧みに演出されている。


(ウソ? 私……ファーストキスよ……)


「アリア……ウレシイ」


 言葉はネイティブ発音じゃなくカタコトの機械音声(マシンボイス)だった。しかし耳元で囁くように呟くとアリアの身体がビクッと跳ねた。3Dスピーカーは完璧に位相を再現している。映像、音声、感触、全ての感覚がオリハをこの場に存在させていた。


「あんっ! だ、ダメ。ダメだって。みんな見てる!」

「メイサイ、ツカッテルカラ、ミエナイヨ」


 アリアは身も心もトロトロだ。興奮を鎮めるために一旦、手でオリハを跳ね除けようとした、が勿論四肢を拘束されている。


「ダーメ。コノママ、イイヨネ?」


 ネクタイを緩めるオリハ。シュルシュルと衣擦れの音だけが響くとアリアが思わず唾を呑んだ。


「ねぇ、お願い。ちょっと……ねぇ……」


 辺りを見回すと、そこら中で陽気にグラスを傾け笑い合っている。そんな中、優しく椅子に縛られたままのアリア。自らの身体を見ると仄かに上気したピンクの肌は辛うじて水着で隠れている。

 VRゴーグルの完璧な仕事にアリアは何が現実か仮想空間か分からなくなってきていた。


「これは恥ずかしいって! 現実だったら犯罪……えっ? 現実じゃないよね?」

「アレー? ミラレテ、コウフンシテルノカ?」


 とうとうマジックハンドが水着をそっと外していく。アリアからするとイケメンオリハが人通りの多い通りの真ん中で水着を脱がそうとしているようにしか思えない。あまりの羞恥におかしくなりそうだったが、頭の中ではコクピットの中にいることを理解していた。

 だからこそ、暴れたりはしない。こんな状況でも、オリハに身を任せていた。


「あっ、あっ……取られちゃった」


 水着を剥ぎ取るとマジックハンドで優しく触るオリハ。映像と感触のシンクロは完璧だ。アリアは指先で胸を弄(まさぐ)られながらオリハの優しい呟きを聞いていた。


「ゼッタイ、ミエナイカラ、アンシンシテ。デモ……アリアモ、スゴイ、コウフンシテルヨ……」

「あんっ、こんなとこで……ダメーッ!」



♡♡♡



「はぁはぁ……うぅ、変な趣味に目覚めちゃう」

「スゴク、ヨカッタヨ、アリア」


 ゴーグルが外れると、見慣れたコクピットの中でマジックハンドが脱がせた水着を着せてくれているところだった。コンソールの中ではちびオリハがタバコを吸っている。


(余裕ぶって! この時間(賢者タイム)が一番ムカつくわ!)


「ヘンタイ! この露出狂、バカ!」

「デモ、ドチラカト、イウト、アリアモ、ノリノリダッタヨ」


 アリア、直前の情事を思い出す。確かに『もっと見てー』とか、『私の恥ずかしいとこを見てー』とか叫んじゃってたことを思い出した。


「あ、アレはちょっと気分が昂って、そうよ、ノリで言っちゃっただけよ!」

「エロイ、アリア、カワイイ」


 鼻の下を伸ばしまくったコンソールの中のオリハ。真っ赤になってプンスカのアリアがコンソールのちびキャラに向けてデコピンするが全て避けられた。


「うーーっ……避けるな! もう当分ゴホウビはお預け!」

「エーーッ、ユルシテー、ユルシテクダサイー、」



Sector:05 End



――新たに露出趣味を目覚めさせてしまうアリア。クセになると大変だぞ



――でも悲しい出来事を忘れる為に、偶には気持ちイイことも必要だ



――イケ、アリア。オリハとなら乗り越えられる。悲しみも、新たな性癖も、二人で乗り越えていけ



二人の絆の回数:五十一回


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