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Appendix04:P13数十分後

「すーっすーっすーっ……」


 辛うじて上半身だけベッドの上で自分の腕を枕に熟睡しているアリア。


「すーっ……うーん……すーっ……うーんんんっ」


 少し寝苦しそう。しかし起きることはなく、逆にのそのそと動き出して下半身もベッドの上に移動する。白いシーツの上に白いワンピース姿で姿勢を正すことに成功。


「……すーっ……」


 またも完全に熟睡に入った。



◇◇ 更に数十分後



「すーっすーっ……うーん、や……やめてー、やめ……」


 いつの間にかブランケットをお腹に掛けて熟睡している。しかし、夢見が悪いのか左右に寝返りを打ち始めた。


「……んわっ? ぎゃっ!」


 案の定、何度目かの寝返りでベッドから転げ落ちて目が覚めた。


「おおお墜ちた、どどど何処に? ん……んあっ! 寝てただけ……か」


 寝ぼけて辺りを見回す。コクピットに居るはずの自分が何故にベッドの上で寝ているのか、と焦ったがほっと溜息のアリア。


「ん? 何か忘れて……あっ!」


 ここで机の上に置いてある対Gスーツを発見した。オリハが例のベースから帰投する際に渡すと言っていた。歩いて近づく。置き手紙などは無くそのまま置いてあった。


「使い方……着るだけかな?」


 そっと持ち上げてよく見てみると救命胴衣のような形状をしている。やはり着るだけで良さそうと判断して更に観察してみる。


「へー……裏地は柔らか素材なんだ……へへへ……」


 オリハの気配を部屋に感じた。マシンオイルの匂い、火薬の匂い、そしてほんの少しだけの電子回路が焦げる匂いがする。ふと先ほどの熱いほどに濃密で幸せなコミュニケーションを思い出して頬が紅に染まっていく。ギュッと対Gスーツを抱きしめただけで身体の中も熱くなる。そのまま一人エロい気分になっていく。


「んふふ。私……何してんだろ……って、あれ? あれ?」


 抱きしめたままベッドに戻ろうと片膝をベッドについたところで、ふと幸せな気分が吹き飛んで宿題を忘れたことに教室で気付いた時の感覚が呼び起こされた。

 幸せホルモンの過剰分泌はアリアをしっかりと覚醒にも導いてくれたらしい。


「あれ? 何か引っ掛かるなぁ。何だっけ……うげっ! 作戦ーーっ!」


 ここで遂には作戦前一時間だったことを思い出した。時計を見ると作戦時間まで残り五分だった。


「終わった……終わった……もうダメ……じゃない!」


 ベッドに四つん這いになって頭をブランケットに押し付けながら自暴自棄になるアリア。しかし、瞬時に復活して一気に部屋着のワンピースを脱ぎ捨てた。

 何故か上も下も下着をつけていない。


「そりゃそうか。一戦交えて……てへへー……じゃないって!」


 素っ裸で照れてモジモジしていたが、そんなことに時間を使っている暇もない。また即時復活すると落ちている下着をかき集め始めた。


「ぬーん……なんか気合い入らない……あっ、そうだ。こういう時は新しいのを下ろすべきよね!」


 ベッドの脇にあるクリアボックスから新品の上下セットを出すと慌てて身につけた。そのまま姿見に映すと、髪は乱れて肌はほんのり赤い『如何にも事後』という少女が居る。アリアの思うエロいポーズ、一昔前のグラビアのように身体を捻って髪をかき上げるポーズを取って、そのままウインクを決めた。


「よし! これなら一撃よ!」


 そのままパイロットスーツを着込んで扉に向かう。ドアノブに手をかけたところで忘れ物に気づいた。


「いけない、いけない……っと」


 対Gスーツを手に持ち颯爽とドアに向かう。その途中で引っ掛けてあったスカーフを手に取ると、対Gスーツを口に咥えて後髪を纏めてポニーテールにした。


「もう負けないんだから!」


 そして部屋の外から鍵のかかる音がすると、廊下を走って駆け抜けていく音が少しの間だけ部屋の中にも響いていた。

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