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06:王都に到着


 馬車から降り、運転手にお金を払った。計画より2日も時間がかかってしまったせいで、旅費は大幅にオーバーしている。あぁ、メリアさまがくれたお金があって助かった……。


「ベルス先生、ありがとうございました!」

「きゅるん」


「……ああ。学園へは、このまま真っ直ぐ行けば着くだろう」


 真っ黒に戻ったベルス先生は、大きな荷物を片手に持ちながら、ヴェロニカに道を教えてくれた。そして、その道とは反対の方へ歩き出した。


「俺は、ドルフリーの元に帰る。魔語のこと以外にも、困ったことがあれば尋ねてこい」


「は、はい!」


 どうしてベルス先生は、私にこんなに親切にしてくれるのだろう。面白い、とは言っていたけれど、ここまで親切にするかな。意外と世話好き……だったり。


 ベルス先生は、ぴたりと足を止め、振り向いた。失礼なことを考えていたのがバレたと思ったのか、ヴェロニカは、身体を強張らせる。


「そういえば、そのスライムもどきをお前はモモちゃん、と呼んでいたが、ソレはオ……」

「きゅー!!」


 怒っていないことはわかったが、モモちゃんの大きな鳴き声で、最後の言葉が聞きとれなかった。


「えっ!?モモちゃん、急にどうしたの」


「きゅー、きゅう!」


 何かベルスに言っていることはわかるのだが、かなり早口で全く聞き取ることができなかった。


「フン、生意気を言うな。約束を違えるなよ」


「あ……」

「キュー!」


 そう言い残すと、ベルス先生は早足で人混みに入ってしまった。よく知らない王都でヴェロニカが、あの人混みの中で彼を追いかけるのは無理だろう。


「……仕方ない。入寮手続きに行こっか」


「きゅ!」


 なにやら満足気なモモちゃんは、たぶん「早く行きなさい!」って言っているんだろう。


「もう、モモちゃんってば!学園の敷地内に寮がいくつかあるんだよね……すごく大きな学校だろうなぁ……」


 好きな寮に入れるらしい。寮費もそれぞれ異なっていて、ヴェロニカは資料が届いたとき、1番安い寮に行くことを決めていた。


「まぁ、寝る場所があれば大丈夫。あ……、2日も予定が遅れてるから……入寮受付って今日までじゃないー!?」


 ごそごそと、大きな荷物を漁って資料を慌ててみる。


「うわっ!5時までって……あと2時間しかない!走るよ!モモちゃん!」


 ヴェロニカは涙目で大荷物を背負って、走り出した。計画通りに2日前に着いていれば、余裕を持って寮を選ぶことができたはずだった。


 余裕さえあれば、いくら1番安い寮だと言っても"ナサニエル寮"なんかに、ヴェロニカは入寮しなかっただろう。



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