朝市の美味しいものとお買い物
6000PV突破しました!
感謝の一話更新です!
それから二日後。
「おい、聞いたか。塩の流通が再開したらしいぞ」
「ああ。バケモノがとたんに姿を消したらしいな」
「よくわからんが、どこかにいったってことかな」
「だといいが……」
なんて噂話を耳にしながら、僕は朝市にやってきていた。
必要なものを仕入れるついでに、塩の流通も確認してきた。あの後、メメコレオウスはもういなくなりましたよって連絡しておいたから、すぐに調査が入って、安全が確認されたから早速始まったんだね。
すごく対応が早い。それだけ塩は大事にされてるんだね。
屋台の美味しさを支えてるから、当然なんだけどね。
ふふ、なんか嬉しいな。
誰かの笑顔が戻ったり、増えたり。心が温かくなる。
でも、まだまだ。
僕は料理で笑顔にしたいからね!
さて、そのためには市場で美味しそうなものを手に入れなきゃ。何がいいかなぁ。あ、でも朝ごはんも食べないとね。作ってもいいけど、朝は朝で特別な屋台があるんだ。
「それでこんな朝早く出てきたんだな」
「ちょっと肌寒いですけどね」
「薄いが、霧まで出てるし」
フィブリアさんはちょびっと跳ねた寝癖を撫でつつ、あくびをする。
意外とフィブリアさんって朝に弱いんだよね。でもお願いしたらしっかり起きてきてくれるあたり、本当に優しい。
さて、そんな早起きに似合いますように。
市場を見ながら、僕らはその屋台に辿り着く。
うわぁ、大きい鍋にいっぱいの湯気! ほかほかとあったかいなぁ。
「ほう、美味しそうな匂いだな」
「朝市限定の屋台なんですよ、ここ」
「よくそんなものを知ってるな」
「これは兄さんからきいたんです。朝早く討伐に出る時、立ち寄ったらすごく美味しかったって」
「なるほどな」
買い物ももう終わってるので、早速二つ購入。
スープ皿になみなみと注いでもらう。わぁ、すごくいい香りだなぁ。近くに座って、早速いただきます。
ほっかほかの湯気から覗くのは、綺麗な琥珀色のスープ。澄み切ってる感じ。ちょっとキラキラしてるのは、きめ細かい脂かなぁ。
具材はニンジンにイモ、オニオンに、ぶなしめじ。おっきいなぁ。それと白い楕円形。お餅みたいだけど、違う。
後はハーブと、とろっとろに煮込まれたすじ肉!
「まずはスープ、っと」
スプーンですくって、ちゅるっと。
「……ほぅ」
あっつあつのスープが口の中に広がる~~~~。
牛骨ベースの出汁だ。この塩気の強い旨味に、野菜の甘さが広がっていく。あ、ちょっとキノコの味もするなぁ。ちょっととろみがあるのが、温まるよね。
後味はハーブのスッキリさがやってきて、口は何も残らない。
これは朝にぴったりなあっさりさだなぁ。
ついついもう一口ってなっちゃう。
あ、野菜も食べよう。
まずはニンジン。はくっと。んん、柔らかく煮込まれてる! スープがよく染み込んでるけど、ニンジンのコクのある甘さもしっかり伝わってきて、とっても美味しい!
次は芋。これは、もっちり食感があるなぁ、くにくにしてて、味わい深い。
オニオンは言うまでもないよね、素直な甘さと、シャキシャキっとした食感がすごく楽しいなぁ。
「美味しそうに食べるんだな?」
「美味しいものには全力で美味しいっていわないと、ですよね」
「そんなものなんだな」
「フィブリアさんも美味しそうに反応してますよ? 見てて嬉しいです」
「そ、そうか?」
フィブリアさんは髪をかきあげながら、顔を反らした。
「こ、このスープは確かに美味しいな、これはなんなんだ?」
「小麦粉だと思いますよ。たぶんしっかりとこねてるんだと思いますけど」
スプーンですくえるくらいのサイズなのが嬉しいな。
早速、と。
くちゅ。もちもちっ。
すごい、もっちもちだ!
しっかりスープを吸い込んでて、弾力がすごい。いももちみたいだなぁ。
「うーん、もちもち」
「これを食べると、いももちが食いたくなるな」
「おやつに作っておきますね」
「ありがたいな」
美味しいのって、また食べたくなるもんね。
どんなアレンジをしようかな、と思いながらすじ肉も食べる。
ん、ぷるっぷる。
この食感だけは、すじ肉じゃないと味わえないよね。
お肉もしっかり柔らかく煮込まれてて、臭みもない。いい下処理したんだなぁ。手間暇かけてる。じわーって濃厚な味わいがいいね。
うーん、ほろほろだなぁ。
最後の一滴まで美味しいや。ごちそうさま。
「ふう。うまかった。これが特別な屋台か?」
「もう一つあるんですよ。こっちです」
今度は目的のものでもあるんだけどね。
屋台を後にして、市場を中央から左に曲がってまっすぐ。あ、あったあった。
「へい、らっしゃい!」
「そこのを一つと、あと、それも、これも下さい。最後に、串を二本もらっていいですか?」
「あいよあいよ! うまいよぉ!」
威勢のいいおじさんにお金を支払って、僕はもらって、一本をフィブリアさんに。
「これは? 黒いが……焦げてないか?」
「はい。それがいいんです。これを横向けにして、半分だけ皮をむくんですよ。切れ目が入ってるんで、ラクチンですよ」
僕は真っ黒な皮をむく。
すると。ほわぁ、っと、あんまぁい香りが広がる。ああ、これか、すごいなぁ!
フィブリアさんも真似て、くんくんと鼻をかいでから、すーっと息を吸い込んだ。ほぅ、と息を漏らした。
「これは、バナナか」
「はい。焼きバナナですよ」
「ん? 何かかかってるな」
ほかほかで、ちょっと透明にとろっとなり始めたバナナをフィブリアさんはまじまじと見る。うん、かかってますよ。思いっきり。
「これがここのお店のこってるトコなんですよ。バナナをあつあつにローストしてから、ちょっとだけ穴をあけて、細かく砕いたナッツを混ぜたハチミツをいれてるんです」
この手間がすっごく美味しいんだよね。
「温かいうちに食べましょう」
「うむ」
ふふ。スプーンですくうように取って、と。
ハチミツがとろーっとしてるなぁ、白いバナナの身に濃い色のハチミツ。キレイ。
さっそく、いただきます。
「はくっ」
フィブリアさんも同じようにスプーンですくって食べる。
口に入れたとたん、反応がすごかった。
目を細めながら、じわーっと味わう。ちょっと上を向いてるとこが可愛い感じ。でもそうなっちゃうのは分かるんだ。
「これは、すごいな」
「美味しくて甘いでしょう?」
「うむ。だがただ甘いだけじゃないな。甘さ、にはまだ慣れてないが、こんなに種類があるんだな」
「ですです」
ハチミツのドンってくる甘さとナッツの香ばしさがあって、とろみがバナナにすごく絡んでるんだよね。熱が入って、バナナがすごく柔らかくなってるし!
しばらく味わうと、バナナの優しくて深みのある甘さがやってくるんだ。
この後引く甘さがすごいんだよね。
「うむ。なんか目がしゃきっと覚めるな」
「甘いですしねぇ。ちょっと高いのと、本数がないし、屋台の方にあるわけじゃないから、あまり知名度ないらしいですけど」
「知る人ぞ知るってことか。しかし美味いな」
「甘さ控えめのハチミツがまた味なんですけどね。これもまた兄さんに教えてもらったんですけど、うん、これを食べて確信しました。屋台に出すメニュー」
僕はバナナを食べて、何度も頷く。
これなら、屋台でもやっていけるかも。
「何をするつもりなんだ?」
「馬車に帰って、試作品を作りますね。その前に役所へいかないと。届け出に必要な書類を揃えたんで」
レシピはもう頭にあるんだ。後は作るだけ。最初は失敗するかもだけど。
「そうか、付き合おう。心配だからな」
「いやですね、一人でも大丈夫ですよ?」
「いいや。お前のことだ、厄介ごとに首を突っ込みまくって絶対本来の趣旨を忘れる」
「……フィブリアさんって、僕を十年くらい覗き見してました?」
「そんな趣味の悪いことするかっ! っていうかやはり図星か」
あ、しまった。
ついつい、ね。森の動物たちのちょっとしたことを解決してたんだ、実は。縁結びしたり、ケンカの仲裁したり。で、本来やろうとしてたキノコ狩りを忘れちゃったり。
「いやぁ、はは」
ごまかし笑いを浮かべるけど、遅かった。
でも、フィブリアさんについてきてもらったら心強いしね。
その後、しばらく買い物をしてから(珍しいもの結構あったからつい買っちゃう)、僕らは役所へ向かった。申請は事前の情報通り、あっさりと通過。なんの問題もなく、許可証をもらった。
ちょっと拍子抜けするくらいだな、ってフィブリアさんがいったくらい。
僕としては楽だったからいいんだけど。
ちょっと役所が混んでたので時間がかかったから、お昼は屋台で軽く済ませて、馬車に戻る。スレイプニルさんにも屋台で買ったご飯を振る舞ってから、いざ!
美味しいものの試作といきますか。
朝市って美味しいものいっぱいですよね。
次回も美味しいもの、用意しますのでお楽しみに。
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