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アプデにともないあらずじ変更しました

A型に対する挑戦ですね

 暗闇のような荷馬車の中は、しばらくじっとしていれば目も慣れるというもの。

 俺は指先で天使ちゃんの鼻をサスサスしながら、馬車の到着を待つ。ちなみに馬車に乗っているNPCは2人。そのどちらも舟を漕いでいるため、逃げようと思えば逃げられる。そこも含めて、面白いイベント、なのだろう。


 それはさておき、馬車で揺られること10分近く。なるほど、これは逃げ出したくもなる。このままログアウトしてもいいものかどうか……。

 そういえば、ここでログアウトした場合、この天使ちゃんはどうなるのだろうか。いままで目の前でログアウトした人を、詳しく観察したことがない。街でログアウトするぶんには、アイテムは無事だ。間違ってログアウトしてしまった場合には、すぐ戻ればそのログアウトした場所に出るし、一晩経てば自室に戻るらしい。


 だが、この子はどういう扱いになるのだろうか。アイテム? 討伐可能なモンスター?

 実際、このゲームで唯一ドラゴンを飼っていたpoipoは、そのドラゴンを誰かに殺されたらしい。特殊アイテムで復活したとも聞くが、詳しくはわからない。


 フルダイブをオフにして、その辺りを調べているうちに、いつの間にか天使ちゃんの種族を探していた。だが、まだ幼体のためいまいち探しづらい。まず白いネコがいなかった。

 まさかまたレアなのか? という淡い想いを抱きつつ、モンスター一覧をスクロールし続ける。


 〈グランドタイガー〉か〈白虎〉辺りがレアになるらしいが、白虎は卵の発見がないので却下。グランドタイガーは白っぽい感じではないし、顔が非常に不細工なので、気持ち的に却下したい。この子は天使のように成長するんだ。


 名前はなんにしようかなー。

 名付けるシステムはないようだが、カッコイイ名前で呼んであげたい。


 やはり俺がクロカゼであることから考えて、対になるようにシロカゼとか……。安直すぎるな。

 ガトーやアームストロングやレッドフィールドなどなど! つけたい名前は色々浮かんだが、はて、と思い直す。男なのかキミ。雌雄の区別があるのか? 女ならカンナくん一択なのだが。


 どっちなんだろーねーと鼻をサスサスしていたわけだ。

 

「着いたっすよー」


 御者だろうNPCが、外で声を上げた。

 眠りから覚めた馬車内のNPCたちが、あくびをしながら背伸びをしている。リアルすぎるだろ……。

 馬車が止まると、太陽光がゆっくり入ってくる。その眩しさにビックリしながら、腕の中の天使ちゃんが目を覚ました。俺の胸板を利用して、思い切り背伸びをする。


「ぎゅー」


 可愛いー!! 愛してる! なんだよもうなんだよもう!

 腕の中で暴れだした天使ちゃんをよしよししながら、馬車を降りることになった。


 すでに街の中だったのか。

来たことのない街に感動して、ちょっとクラクラする。街並みは「和」のテイストが強いようで、教科書で見る江戸時代のような雰囲気がある。

 順番的にいえば〈ジョカ領ウェルカムパオ〉という街に来るはずだが、ここがそうなのだろうか?

 4つ目の街〈夕日の街〉にしては、さほど夕日な感じはないのだが……。


「こっちだ。こい」


 NPCに促され、歩き出す。

 そのとき後ろから声をかけられた。


「新人くんー! 頑張ってねー!」


 何事か! 後ろを向くと、御者のキャラクター……違う、アイコンがない。プレイヤー?

 パタパタ腕を振るいながら、器用に馬車をUターンさせてみるみる小さくなる馬車。え、あれ仕事の一つなの!? 自由だなこのゲーム!


 予想外な出来事にテンションが上がる。NPCだと思い込んでいた。


「こっちだぞクロカゼ伍長」

「はーい」


 NPCに前後を挟まれ、連行される。周囲のプレイヤーたちの目が痛い……。ただでさえ巨体が目立つというのに。腕の中で暴れる天使に見とれるプレイヤーもいなくはないが、その視線を木の幹のような二の腕で阻んでしまい、やはりただ目立つ存在へと成ってしまう。


 湾曲した真っ赤な橋や、お茶屋の前を通ってしばらく進むと、大きなお屋敷が見えてきた。他にもめぼしいお屋敷はあったが、


『夕日の街奉行所』


 と書かれているため、ここなのだと判断する。

 俺、これから裁かれるのかなー。

 そしてダンジョンある街過ぎちゃった。いいのかこんな進め方で。


 ゲイルが言っていた、「明後日まで掛かるようなら」という言葉の意味がいまだに理解できない。

 奉行所かー。桜吹雪が見られるなら面白いのだが、いまいちこれからどうなるのか理解できない。


 屋敷の中、土間まで俺を連行していたNPCはどこかに行っていしまった。受付嬢らしき派手な着物のNPCが、トコトコやってきた。


「いらっしゃいませー。あなたはクロカゼ伍長さんでいいですか?」

「は、はい。えっと、俺はなにをすればいいのかな?」

「まぁ、こちらへどうぞ。あ、靴は脱いでくださいねー」


 俺は彼女の指示に従い、土間に靴を置いて屋敷に入る。和のテイストどころじゃない、襖といい障子といい、このお屋敷といい、本当にNIPPONって感じだな。〈夕日の街〉というネーミングの意味がわからないが、あれか、日の丸的な? あれ朝日じゃないの?


「こっちですよー」


 廊下を観察していると、襖から女性が顔を出した。うむ、結い上げた髪が重そうというイメージしか湧かないが、これがエロいと感じるのか大人ってやつは。


 部屋に入ると、お茶とお茶菓子を用意された堀りコタツに座るように指示された。ようやく降ろしてもらった天使ちゃんは、部屋をヨタヨタと走り回り、最終的には俺の膝下へ帰ってくる。――これはやばい。


「ど、どうかしました?」

「いえいえ、興奮しただけです」


 完全にセクハラでしたすみません。

 お説教モードは回避されたが、NPCからの視線の痛みが増した気がした。


 俺と同じように堀りコタツに座る彼女は、なにから話して言いものか、と語りだした。


「まず、あなたがなんの容疑でここに来たのかわかりますか?」

「えぇと、殺人?」


 殺人――という言葉は使いたくなかったが、たぶんNPCにはこの言い回しのほうがいいのかもしれない。このゲームをしていると、まるでNPCが人間のように扱わなきゃいけない気がしてくる。

 お茶を促されながら、彼女の説明を待つ。


「はい。被害者、覇王ダークディステニーさん。目撃者、〈ネンベッツァ〉のギルドメンバー、パーマイヤーさん。容疑者、クロカゼ伍長となっています」


 ……失笑を禁じえない。

 なんてタイミングでお茶勧めるのかね! 覇王キルしちゃったよ!

 クロカゼもなかなかだと思ったが、上には上がいるものだ。よく臆面もなく付けられたなそんな名前。


「あなたにはこれから裁判を受けてもらうことになるのですが、日程は大丈夫ですか? 長い時間裁判を欠席しますと、完全敗訴になってしまいますが」

「はぁ……。あの、裁判の流れって詳しく説明してもらえます?」


 そうですねーと言い渋ったわりに、彼女はチュートリアルばりに解説を始める。


「まず、本来の裁判とは形式が違います。

被害者、つまり攻撃された人が、加害者、攻撃した人を訴えるのが通常ですよね? でも、今回の裁判では、あなたを訴えるのは、我々NPCたちです。

 よって、殺された人にはとくになにも得ず、あなたは負けるとペナルティーを与えられるだけです。

 たとえば、いまのままだと、あなたは初犯なので、〈外道〉スキルにレベルが追加されますね。そうするとNPCたちの敵愾心が増していって、レベル10にもなると、王国兵のいる街に入りにくくなります。盗賊ギルドが存在する街には入りやすくなりますが、そういう街では〈外道〉のスキルレベルが上がりやすいので気をつけてください。

 さて裁判の話に戻りますが、ここでは裁判員であるNPCを説得して、自分の罪の重さを証明する必要があります。刑を軽くすることもできますし、それこそ無実にすることも可能になっています。

 ただ、あなたは今回訴えられているので、基本不利であると考えてください。それと、訴える側の代弁者、今回は検事ということになりますが、検事の言葉に裁判員たちが促されてしまうと、あなたに対する罪は重くなってしまいます。ここまではいいですか?」


 お茶うめー!!

 お菓子サクサクー!!

 なんだろう、口の中に広がる味に感動してしまう。マカロンのようなお菓子はいくらでも食べられてしまう。おー、ほしいのー。あげようねー。

 現実なら、猫に人間の食べるものを! という考えにもなるが、ゲームだしいいだろう。

 天使ちゃんの手にマカロンのようなお菓子を挟ませると、アグアグと食べ始めた。可愛いよー!!!


「ここまでは、いいですか?」

「えっ! あ、はい! えっと、とりあえず、異議ありっ! と言い続ければいいんですよね?」


 受験勉強で裁判の流れなんて触れないですし……。テレビやゲームでくらいしか、裁判を見たことはない。


「間違えていますが、なにごとも体験です! それに〈外道〉スキルにレベルが追加されても、悪いことしなければ大丈夫ですからね。今回のことを反省してくれれば大丈夫ですよ」

「了解です」

「あ、確認ですが、弁護できるお知り合いはいらっしゃいますか?」


 弁護できる人とな? 俺じゃダメなの? 弁護士的な?


「あぁ! 弁護士っていうライセンスですか!」

「ええ、スキル〈弁護〉があれば、裁判員のNPCを説得しやすくなります。でも、巧みな話術で説得すれば、あなたでも〈弁護士〉を取得できますよ。今回だけでは無理ですが」


 へぇー!! 弁護士になりたーい!

 でもいまは〈調教〉のスキルが一番ほしいんだが。


「ここまでわかっていただけならな、あとは日程の説明に移りたいと思います。よろしいですか?」

「yes」

「ありがとうございます。本日は裁判の説明のみとなっていますので、帰っていただいて大丈夫なのですが、問題は裁判の日程になります」


 裁判自体はアクシデントさえなければ一日で終わるようだが、今回の裁判の三日間のうちに始めなければならない。

 これを過ぎると、俺は完全敗訴となる。そのとき、俺のスキルがどのくらい変化するのかは不明。今回は、負けても金や周囲の環境は変化しないらしい。


 明日から三日間のうちの一日か。7月31日、8月1日、2日。

 早めに終わらせたほうが、4日からの合宿に集中できるかな? それに明日の昼には終わるってゲイル言っていたし。


 とりあえず、31日に予約をする。


「では、明日の朝10時に、ここに来てくださいね。ほかの街の裁判所じゃダメですよ? 来なきゃ負けですからねー!」


 江戸の町娘に見送られ、その場をあとにする。

 天使ちゃんの名前は、もう少しだけ天使ちゃんにしておこう。



説明会になってしまいました……


あと、白猫の名前が決まらなすぎて困りました

オリバが一番シックリきて、

自分のネーミングセンスの無さに泣きそうです

↓

龍刀さんの意見で解決させていただきました

パーマイヤー以外で、名前に意味を付随させられそうです


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