第10話 出会いと取引と進展 前編
「「変身!」」
細い路地での戦闘が始まる
開始して、体感30秒ほどで確信する
強い。
「どうしたンですゥ!?」
相手はまだ『魔法』も『異能』も使っている様子はないのに、攻め込めない。『超握力』を遺憾なく発揮できる超接近戦、『不死』の異能によって防御を捨てた戦闘。なのに攻め込めない。
握撃で相手を掴もうとすれば手首を手刀で弾かれ、縮地で一旦距離を取ろうとすれば手を掛けようとした地点を先に破壊され。フォンを呼ぼうとすれば喉が破壊され。再生しても再生しても最小の動作で無効化され、やがて打つ手が無くなる。
と、言うとでも思ったか?
そして俺は何にも手をかけずに叫ぶ
「縮地・改!」
「なにっ!?」
相手は警戒し、一歩下がる。
俺はその隙を見逃さず、『逃げる』!
レンガ造り程度の凹凸なら『超握力』で爆速で登れる。もちろん縮地・改なんて存在しない、ただのハッタリだ。
「このまま逃すとでも思いまスかあ!?」
俺は振り向いて確認するが、どうやら移動系の能力は持っていないようだ。俺の速度には到底追いつかない。
そして俺は正面を向きなおし、「スパッ」
———首を切られた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「いや〜一時はどうなるかと思いましたよほンと!」
俺は首を切られ、体の自由がきかないまま必死に状況を確認する。
(敵は二人—? さっきの奴と、もう一人…こいつに切られたのか?)
「あなたならこの程度の奴、拘束まで一人で行けるでしょ、、」
「そうは言いまスけどね!? こっちにも色々あるンですよ!?」
「まあ別に良いんですけど…で、どうしますコイツ」
「とりあえず話つけますンで、こっちに頭渡してくれマす?」
「分かりました」
俺は放り投げられ、見事キャッチされる。人の頭をなんだと思っているんだ
「で? あなた負けちゃったわけなンですけど? こっちの要求を飲んでもらいマしょうか?」
「これで負だとでも? さっきの戦いからして、お前俺の『能力』を分かっているんだろう?」
「ええ♡ あなたの『不死』は頭を中心に再生、老化はして、寿命で死ぬ、欠損部位がある場合はその部位が生えてくるタイプでシょう?」
「つまり首から下を切り刻み続ケれば、いつかは老衰で死ぬってわけなンですよ!」
アホか! その前に発狂するわ! とツッコミたくなるが一つの疑問を覚え、抑える
「なんでそんな詳細な情報までわかるんだ…?」
「あ〜はいはい そういえば教えて無かったでスね! 私の『魔法』は『目』でス
それも単純に『視力の強化』ってんじゃなくて『見た物の情報が分かる』能力なんでスよ! 健康状態、能力の有無、能力の詳細、
そしてその者の『歴史』」
「もちろンあなたの「前世」、そして「神との会話」も見させてもらっテます!」
あああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!(ブリブリブリブリュリュリュリュリュリュ!!!!!!ブツチチブブブチチチチブリリイリブブブブゥゥゥゥッッッ!!!!!!! )(脱糞はイメージ)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「落ち着きましたカ?」
「ああ…取り乱した…」
「大丈夫ですヨ! あの位」
少女は気さくに答えるが、本心を聞いてみる
「でも本当は?」
「クッッソ引きました」
ああああああああああああああああああ!!!!!!(ブリュ
聞かなきゃよかった
「では、取引に入りましょうカ!」
「取引? 俺を殺すんじゃないのか?」
「いえ、私もそんなにバカじゃないのデ。そんな勿体無い事はしませんヨ」
遠回しにバカって言われた? 確かにさっき「スカウトしに来た」って言ってたな…
「俺を仲間にしようって事か?」
「そうですネ! しかし少々説明説明させて頂きまスと———」
ふむ、どうやら彼女がいうにはこんな感じだ。
魔法少女にも派閥があり、その中でも最近「Lovers」と「ミステリオ」という集団が対立している。
彼女自身はLovers陣営の幹部であり、主にフリーの「魔法少女」や「能力者」のスカウトに奔走している。なんでも「ミステリオ」はこの世界を管理している「神」を倒すため「魔法少女」及び「能力者」を集めていて、それを阻止せんとLovers側も最近活動が活発化しているらしいのだ。
「で 『アリス』の目標は達成できたか確認しに来た所、あなたとグリフォンが二人殺しちゃってるじゃないですカ!」
「すまん…」
こればっかりは謝るしかない。相手から仕掛けて来ようが、殺したのは事実なのだから。
何より今の俺の生殺与奪権は相手が握っている。怒らせてはいけない
「いやいやいや良いんですヨ! むしろあの二人組の正体を見破り、あまつさえ殺してしまう程の逸材を見つけたんですかラ!」
もう組織に入る事は確定なようだ。
そして俺は解放され、(今まで首から下は生えてはナイフで切られていた)やっと体が自由になる
「まあ…これからよろしく頼む」
俺は手を彼女に向け、彼女もそれに握手で応える
「こちらこソ」
「準備もあると思うので、また明日街の入り口で待ってまス」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
翌日
フォンに事情を話したが、快く認めてくれた。なんでも主人のする事なら自分は文句は一切言わないとの事だ
準備を整え、入り口へ向かう。
「それじゃア、行きましょうか。」




