36 エピローグ
俺はエリーゼを伴い、自室へ戻った。
部屋に入ってからも、エリーゼは何も言わない。
部屋の隅に座り込み、ただ俯いている。
アンナを失った。
その事実が、彼女から最後の支えを奪ってしまったのだろう。
俺がエリーゼに近付くと、エリーゼは警戒してか、俺を睨み、身を固くしている
そんなエリーゼに
「さて、そろそろお前から報酬をもらおうか」
「死に直面していた子供を二人、ダントン連合国から救い出した報酬をな」
と言って、髪を掴んで、ベッドまで引きずっていく
エリーゼは、必死に抵抗するが、俺の力にかなうはずもなく、ベッドに放り投げられる
ベッドの上に転がされたエリーゼのスカートが勢いで捲られた
腰のあたりまで捲られたスカートの下から、白い雪のような二本の太ももが脚の付け根まで露になる
その脚の先に純白の絹の下着が覗く
俺は思わず生唾を飲む
一瞬、何が起こったのか理解できていないエリーゼが、そんな俺を見て、自分の恰好に気付く
全身を赤くしたエリーゼは、スカートを必死に直して逃げようとしたが、俺はその上に覆いかぶさった
エリーゼが小さく悲鳴を上げたので、俺は
「おいおい、夫婦だろ?」
「逃げるなよ、それにお前が言い出したことだろ?」
と言って、スカートの中に手を入れるとエリーゼの身体は硬直した
エリーゼの全身を愛でながら、俺はエリーゼの耳元で様々なことを語る
「ゴージマを看守たちに可愛がるように伝えたのは、俺だよ」
「あいつは去勢され、看守たちに云われなき罪で拷問を受け、あんな身体になった」
「ざまぁねぇよな、使い捨てようとした異世界人に、人生を壊されたんだからな」
と言うと、愛でられながら身を捩らせるエリーゼは涙を流して俺を睨みつける
「ジャックが、ダントン連合国との戦いで死ぬとは、思いもしなかったよ」
「まぁ実際、死んだのは俺の魔法のせいかもな」
「ニックは、死んだジャックを探しに焦土と化した地を旅している」
「俺のあの魔法で燃やされたら灰すら残らねぇよ、ニックは永遠に旅することになるな」
「兄弟そろってマヌケな奴らだよ」
と言いエリーゼを突きながら俺は笑う
エリーゼは、俺を睨み、泣きながら、ジャックとニックの名を獣のように何度も叫ぶ
「魔国の王は、この王国に強い恨みをもっていてな」
「アンナはまともな扱いは受けねぇだろうな」
「でもうまくいけば、子種ぐらいは授けてもらえるんじゃねぇか?」
「魔族の子を孕んだ人間が、世間でどんな扱いを受けるか?楽しみだよ」
と言うと、エリーゼは俺の下で、俺の動きに自分の身を任せながら、嗚咽している
」アンナ、ごめんなさい・・」
と何度も、何度も呟きながら
エリーゼは相変わらず俺を睨んで、唇を噛んでいる
が、しばらくすると、エリーゼから短い吐息が漏れるようになる
普段は雪のように白い肌のエリーゼが、少しずつ桃色に染まっていく
一瞬「あっ」と声と共に、全身に力が入り、のけ反るような姿勢になる
それと同時に動きが激しくなっていた俺の動きがゆっくりとなり、やがて止まる
俺とエリーゼの心の相性は最悪だが、身体の相性は抜群のようだ
放心状態のエリーゼを、またすぐ、俺は貪った
終わったと思っていたエリーゼは、俺の行動に驚き「ひっ」と声を出す
向こうの世界にいたときは、女性に見向きもされない生活を送っていた
こっちの世界に戻ってきてからも女性には縁がなかった
その何年も溜まり、屈折した女性への思いを全てエリーゼにぶつけた
一回では終わらない、何回も何回もその思いをぶつけた
俺が満足した頃には、エリーゼは裸であるにも関わらず、全身の力が抜けたように、だらしない格好でピクリとも動かなくなった
俺から言われたことがショックだったのか、体力が尽きたのか、分からない
そんなエリーゼを見下した後、外を眺める
眼下に王都が広がっている
人々が楽しそうに暮らしている
俺の人生を搾取して成り立った平和を謳歌してやがる
無性に腹が立つ
苛立ちが収まらない
すると姿勢はそのままのエリーゼが掠れた声で
「私たちが、何をしたと言うのですか?」
「少し力を貸してほしいとお願いしただけではないですか?」
「力ある者が弱き者を助けるのは当然ではないですか?」
俺は、「力ある者が弱き者を助けるのは当然」と言う言葉を聞き、やっと理解ができた
こいつらは、俺の犠牲で、自分たちの平和が維持されることが当然だと思っている
犠牲になる俺の人生なんて、なんとも思ってはいない
ただただ、俺が犠牲を払い、搾取されながら、得られた平穏な生活を享受することが当たり前のことなのだ
俺は深い溜息を吐いた後、
裸のまま横たわり動かないエリーゼを見下ろし
「俺の怒りは、お前たちには一生分からねぇよ」
と言って、エリーゼを抱えて、空に飛び立つ
ゴージマ王国城を眼下に見下ろし魔法を唱える
≪アポカリプス・フレア≫
業火が城を包む
城を焼き、街を焼き、森を焼く
絶叫、悲鳴が響く
炎は止まることなく広がり続ける
エリーゼはそれを涙を流して見ている
そんなエリーゼを炎の中に落とす
「さらばだ、エリーゼ」
小さく呟く。
そして西へ飛び去った。
その後も国は滅び続けた。
一年後にはユーグス帝国も消えた。
二年後には、かつて栄華を誇った国々の名は歴史から消えた。
生き残った人々は語る。
勇者が現れたのだと。
だが、その勇者は世界を救わなかった。
世界を滅ぼした。
だから人々は彼をこう呼ぶ。
勇者ではなく。
災厄と。
そして長い年月の後。
誰もゴージマ王国を覚えていなくなっても。
誰もエリーゼを覚えていなくなっても。
その名だけは残った。
――災厄の英雄コウスケ。
終
読んで頂きありがとうございました
完結させました




