第5話 戦闘 ゴブリン
北門の近く、村の外れに小さな影がうごめいていた。
それは、古典的な――けれど油断できない魔物、ゴブリンだった。
背は小さいが、爪も牙も鋭く、狡猾な眼光を光らせている。
「魔物、ゴブリンか……」
悠斗は背中のポケットに手を入れた。
まだ今日のガチャを引いていなかった。
「……よし、引く!」
空に透明な画面が現れ、カプセルが降ってくる。
パカッと割れた中から現れたのは――
【木剣】
→ とても軽く、初心者向けの武器。耐久力は低いが扱いやすい。
「うん、使える!」
悠斗は木剣を手に取り、まず鑑定を発動。
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《鑑定 Lv.1》発動中
【武器名】木剣
【材質】木製
【攻撃力】低
【特性】軽くて素早いが、強度が低い。魔物にはあまり効果なし。
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「このままだと、ゴブリンには効きにくいな……」
悠斗は木剣の名前に意識を集中した。
「“木”……“き”……変字!」
木の「き」を、力強い「鬼」に変える。
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《変字実行》
木剣 → 鬼剣
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その瞬間、木剣が赤黒く光り始めた。
刃に鬼の形をした模様が浮かび上がり、ずっしりとした重みが増した。
「これは……強い!」
悠斗は鬼剣を振ってみる。
スパッ、と空気を切る音が鋭く響いた。
そのとき、ゴブリンが襲いかかってきた。
悠斗は構えを取り、一気に斬りつける。
「くらえ!」
鬼剣がゴブリンの身体を深く切り裂き、魔物は叫び声をあげて倒れた。
「木剣のままだったら勝てなかったかも……変字のおかげだな!」
悠斗は拳を握りしめた。
ガチャと変字の力で、これからどんどん強くなれる。
「次はもっと強い武器を狙うぞ!」