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第16話:苔壁に響く刃の舞

次の日の朝。

悠斗とミリアは再び、ダンジョン第二層「月喰の苔壁」へと足を踏み入れた。


前回のスライム討伐から一夜。

悠斗の風斬りの舞はすっかり体に馴染み、

ミリアも「強靭」変字で身体能力が底上げされていた。


今日は――第二層の奥地に現れるという“中ボス”の討伐が目的だ。



ゴウゥ……ン……。


苔むした空間に重々しい気配が満ちる。

ふたりの前に、青黒い甲殻を背負った巨大な生物が姿を現した。


「カメ……?」


「でも、ただのカメじゃないわ……!」



【魔物名】:苔甲亀たいこうきジャゴン

【種族】:魔甲獣

【特徴】:防御力特化。甲羅は物理無効。

【特殊能力】:自己修復・苔呑み(苔を吸収し回復)

【弱点】:高速連撃・風属性による苔除去



悠斗は顔をしかめた。


「甲羅が物理無効……でも、苔を吸って回復するってことは、風斬りの舞で苔を削げば――」


「わたしが苔の根を固定する! そのあいだに風で削ぎ落として!」


「わかった!」


ふたりは大きく頷き、動いた。



「《育成魔法・根縛の蔦!》」


ミリアの杖から放たれた魔法が、地面の苔とジャゴンの脚を巻きつけ、吸収を止める。


「いまだ、悠斗!」


「風斬りの舞、発動――!」


ザッザッザッ――ッ!


悠斗の剣が風のように走る。

萌芽の剣と鬼剣、二本の剣が交互に苔を削ぎ、甲羅の隙間を狙って連撃を加える!


風属性の刃が苔を断ち、修復の魔力を打ち消す!


「もうひと押し!」


ミリアも援護の魔法を重ねる。


「《緑風の盾・反響転送!》」


守りの魔法が逆転し、相手に反射ダメージを返す!


苔甲亀の甲羅にヒビが入り、ひび割れた箇所から魔力が漏れはじめた。


「……これで決める!」


「うん!」


ふたりの攻撃が交差した瞬間――


パリィィィンッ!


魔甲獣ジャゴンの甲羅が砕け、ダンジョンの床に崩れ落ちた。



【中ボス討伐成功!】

・ガチャコイン×5

・変字素材「堅」「響」×各1

・スキルカード「防壁連結」×1(ミリア専用)



「やった……!」


「おつかれさま、悠斗……」


疲労と興奮の中でふたりは見つめ合い、自然と笑顔になった。



そして数時間後。

ふたりはダンジョン第二層の最奥、次なる階段の前に立っていた。


その石段は、深く、暗く、まるで別の世界へ続いているようだった。


「いよいよ……第三層だね」


「でも、もう少し準備してからにしようか」


「うん。次も、あなたと一緒なら、きっと大丈夫だから」


手を取り合い、ふたりはまたひとつ強くなっていた。


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