〜4章: 勇者一行は不思議な運命へと誘われる〜 9話: 潜入!『陽光射す地下迷宮』!!!
9話: 潜入!『陽光射す地下迷宮』!!!
リオ「はぁ…行きたくなかったのに……」
アリス「ほーら、いつまでもうじうじしないの。 もうすぐ着くんだから」
姫乃とアリスにダンジョンへ行くと言われた直後、姫乃に「最低限の身支度だけしてきてください」と言われ武装してきたのだが…
リオ「……姫乃、あの、」
姫乃「…? なんでしょうか?」
先程迄メイド服だった姫乃だが、今は武装していて華麗な剣士のような格好をしている。
リオ「その…めっちゃ綺麗ですね」
姫乃「なっ!? いきなり何を言うんですか!!! ただでさえおかしい頭が更におかしくなったんですか!?」
リオ「いやお世辞とかじゃなくて…なんか華麗で可憐と言いますか…」
姫乃「華麗とか可憐とか…良くそんな言葉知ってましたね。 ……でも褒められるのは悪い気はしないです。 ありがとうございます…」
姫乃はもじもじと恥ずかしげにそう言う。
…可愛い。
アリス「ふぅん……姫乃にはそういう事言うのに私には無いんだ」
アリスが不貞腐れたように頬を膨らませ俺を睨めつける。
リオ「お前は…なんか…なんだ? その格好、盗賊…でもないし剣士に見えるけど剣は持ってないから剣士でもない。 何その格好」
アリス「何って言われても…昔私専用に繕って貰った装備です〜。 何か特殊な効果があるらしいんだけどよく分からなくって…でも武器はナイフあるから大丈夫! 戦えるよ!」
リオ「まぁそれなら大丈夫だろ」
姫乃「あの……そういうリオ様はどうやって戦うつもりなのですか? 武器は…見当たらないですけど」
姫乃はそう言いながら俺の格好をまじまじと見つめる
リオ「武器はないよ。 俺は拳で戦うから」
アリス・姫乃「「……え?」」
2人は驚いた声をあげると困惑気味に俺を見る
リオ「…? なんだよ」
アリス「リオは勇者……だよね?」
リオ「おう。 そうだぞ」
姫乃「偏見かもしれないんですが勇者って魔法や剣、スキル等色んな能力を駆使して戦うんじゃ?」
リオ「武器は持ち歩くのが面倒くさいから嫌だし、魔法はそもそも俺素質がないから無理らしいし……おい、そんな顔で俺の事見るなよ…あ、でもスキルは色々あるよ」
アリス「私の想像してた勇者様は伝説の剣を持ってて色んな魔法やスキルを駆使して困ってる人を助けてくれる……そんなカッコイイ人だったんだけどな……」
リオ「……なんかその言い方だと俺が人助けしないかっこ悪いやつみたいに聞こえるんだけど?」
アリス「そう言ったんだよ」
リオ「このアマァ…」
俺がアリスを睨めつけギリギリと歯ぎしりするもアリスはそっぽを向く
姫乃「アリス様…それは夢見過ぎです。 世の中にはこういう人の方が多いんですよ」
こいつらはさっきから失礼な事しか言わないな。
姫乃「ほらリオ様、アリス様、着きましたよ。 ココがヨルマの言っていた神代の器がある『陽光射す地下迷宮』です。 どうやら強い敵がうじゃうじゃいるようですが……まぁ勇者様も王女様もいる訳ですし問題ないですよね」
アリス「任せて姫乃。 貴方に遅れは取らないから」
リオ「お…おぉぅ……」
こんな期待を寄せられてしまったら今更昨日スライム相手に逃げ出したとは言えない……
姫乃「さぁ、時間も限られていますし早く入りましょう」
アリス「姫乃の言う通りですね。 さ、リオ。 行こうか」
リオ「はぁ〜…めんどくさいな……っておい無理やり押すなって! 自分で歩くから! 入るから!」
アリスが俺の背中を押しながら姫乃と共にダンジョンへと入っていく。
リオ「そういや星のペンダントは持ってきたのか?」
姫乃「持ってきましたよ。 私が持ってるのも何ですし、アリス様に預けてあります」
アリス「私が保管しとくよ。 リオが持ってるとなんか持ったまま逃げられそうだし」
リオ「お前は俺の事をなんだと思ってるんだよ……はぁ…まぁ面倒事に巻き込まれなきゃいいんだけどな……」
???「アレが魔王様の言っていた勇者リオ……そして一緒にいるのはフィーニスタウン王女アリス。 その隣にいるのは恐らく護衛かなにかであろう」
???「おい、あまり声を出すな『腐剣』リオは敵サーチスキルを持っているから近づくなら悟られぬよう近づけと言われていただろう」
腐剣と呼ばれた男「おぉそうだったな…ではここからは俺の出番というわけかな?」
???「そうだ。 こういうのはお前が1番得意だろ? さっさと行ってこい」
腐剣と呼ばれた男「へーへー。 じゃあ悪いがリオ、星のペンダント奪わせてもらうぜ!」
???「だから声デカいと言ってるだろ!」
姫乃「アリス様! 後ろ!」
アリス「オッケー姫乃! 『バーストインフェルノ』!!!!!」
リオ「あちちちち!!! ちょ、アリス! 俺も焼けるって!!!」
姫乃「こっちにも敵が…消えろ! 『不知火烈斬』!」
リオ「うぉぁあ! 姫乃ストップストップ! ダンジョンが崩れそうになってるって!」
ダンジョンに入って早10分。
ゾンビやミイラ等アンデッド系のモンスターに襲われていたのだが……
アリス「よし、片付いたかな?」
姫乃「そうですね。 お疲れ様ですアリス様」
さっきからアリスは威力がデタラメな魔法を連発してモンスターを消し炭にし、姫乃は剣を振り回すとそこにいたはずのモンスターが粉微塵にする。
俺はと言うと……
アリス「というかさっきからリオ何もしてなくない?」
2人から戦力外通告を受けていた
リオ「そっ、そんな事ないって! な? 姫乃」
姫乃「うーん…確かにアリス様の言う通りダンジョンに入ってすぐに敵サーチスキル使ったくらいじゃないですか?」
アリス「戦闘には参加してないよね。 ……もしかしてリオって戦えないの?」
リオ「そんな訳ないだ……」
……言われてみれば今まで戦闘はゲンとカイが一緒についていた。 基本的に俺が前に出て2人から支援魔法を貰い、俺は自慢の筋肉で敵を捩じ伏せ、カイは軽やかな格闘術を使い敵を翻弄し制圧。そこにゲンが魔法で追撃する感じだ。
カイは俺が立ち回りやすいように敵を引き付けてくれて、ゲンは俺が危なくなったら魔法でサポートしてくれる。
でも俺は?
考え無しに突っ込んでとりあえず筋肉で何とかして危機に陥ったら2人にいつも助けて貰っている。
そしてその2人は今いない。
リオ「……もしかしたら俺は役立たずなのかもしれない。 本当になんかごめんなさい」
アリス「急にどうしたのリオ!? ご、ごめんって! 私もちょっと言い過ぎたって!」
リオ「いや、違うんだ……俺が悪いんだ」
普通に考えたらそうだ。 アリスは勇者の血を引く王女。 姫乃はその王女直属の護衛だ。 アリスはきっと昔から勇者の血を引く者として訓練を受けてきたのだろう。
俺はと言うと勇者の血を引いているってだけで調子に乗り遊んでばかりで訓練など一切して来なかった。
実力差が開くのは当然だ。
これ以上迷惑はかけられない。
リオ「足は引っ張らないよう頑張るから…敵サーチスキルとかの索敵スキルや隠密系のスキルはあるから」
姫乃「正直私としては消耗を防ぐ為これ以上の戦闘は避けたいです。 なのでここはリオ様の隠密系スキルを使いながら最奥を目指した方がいいかと」
アリス「うん。 姫乃の言う通りだね。 じゃあリオ、頼める?」
リオ「おう! 任せてくれ! じゃあ俺の手に触れててくれるか?」
姫乃「分かりました」
アリス「わかったよ〜」
2人は俺の隠密スキルの効果を受ける為俺の手を握る。
リオ「……コレって両手に花じゃ」
アリス「変な事言ってないで早くして!」
姫乃「リオ様は落ち込んだと思ったら急にセクハラ発言したり、本当に忙しい人ですね」
リオ「わかったって。 行くよ、『隠密』!!!」
そう叫ぶと俺と手を繋いでいたアリスと姫乃の身体が透けて視認しずらくなる。
アリス「よし。 じゃあコレで奥にすすも……」
リオ「更に…『忍び足』!!!」
姫乃「えっ」
リオ「よし、隠密スキルで姿を隠して、忍び足スキルの効果でゆっくり歩かなくても足音がしなくなったはずだよ。 コレで一気に奥まで進んじゃおうか」
アリス「……リオ? あの、もしかしてだけど」
姫乃「隠密系スキルの重ねがけしませんでした…?」
2人が珍しいものを見るような目で俺の事を見つめてくる。
リオ「え? したけど何? なんかあった?」
姫乃「隠密系スキルの重ねがけはすごい高度な技術が必要で難しい…というか無理な筈なんですけど」
リオ「……普通に出来てるんですが」
アリス「出来てるね」
リオ「というかそんなの俺知らないし。 出来て当たり前だと思ってたんだけど」
アリス「……」
リオ「……」
姫乃「……まぁ考えていても分からないですし、隠密スキルが切れてしまう前に早く先に進みましょう」
沈黙が続き気まずかった空気を姫乃がそういい紛らわしてくれる。
アリス「そうだね。 リオ、行こう」
リオ「お、おぉう。 そうだな。 スキルは10分位もつはずだ」
姫乃「10分ですか…ヨルマが言うにはこのダンジョンは地下10階まであるらしいので、今5階だから…せめて8階か9階までは行きたいですね」
姫乃の意見に賛同した俺とアリスはダンジョンの奥へと走った。
アリス「ふぅ。 何とか間に合ったね」
姫乃「リオ様の『忍び足』スキルがなければここまで来れませんでしたね」
リオ「役に立てたようでよかったよ」
俺の『隠密』スキルと『忍び足』スキル重ねがけのおかげもあってうじゃうじゃといる敵達をスルーして9階まで来ることが出来た。
アリス「隠密系スキルは消耗を避ける事が出来るから便利だね。 私も覚えてみようかな……」
リオ「便利だぞ〜。 戦わずして勝つとはまさにこの事だからな」
俺がそう自慢げに誇っていると姫乃が歩きながら真面目な顔で俺に
姫乃「リオ様、さっきの話に戻るのですがリオ様の『固有スキル』はなんなのですか?」
リオ「固有…スキル……?」
アリス「確かに気になる。 勇者だし光系統のスキルとか? それとも重ねがけ出来てたし隠密系スキル?」
リオ「待て待て待て。 なんだ固有スキルって。 スキルに固有なんてあるの?」
俺がそう問いかけるとアリスと姫乃は何を言っているんだと言いたそうな顔で
姫乃「固有スキルはその人の元となるスキルです。 簡単に言ってしまうとその人が1番得意なスキルです」
アリス「基本的にスキルは教えて貰うことによって何でも習得は出来るんだけど……例えば火炎系統のスキルが固有スキルの人はその弱点である水系統スキルは覚えずらい、または覚えられても威力が低いんだよね。 常識だよ? これ」
リオ「いや、常識と言われましても聞いた事がないんですが……」
姫乃「私は剣術系スキルが固有スキルです。 アリス様は炎と光系統スキルが固有スキルです」
リオ「あぁ…確かに言われてみれば使ってたスキルも姫乃は剣術スキルでアリスは炎か光系統のスキルだったな」
アリス「そう。 だからリオの固有スキルはなんなのかな〜って。 索敵スキルとか隠密スキルとか色々使ってたから固有スキルが何なのか気になってさ」
俺の…固有スキル……
リオ「俺今日使った索敵スキルや隠密スキル以外にも鍛冶スキルや料理スキル、掃除スキルと色々あって……」
アリス「いや、そのスキルはもはや戦う気ないでしょ!!!!!」
リオ「いやあるから! 便利だから覚えただけだから! というか色々覚えすぎて何が固有スキルなのか知らないし!」
姫乃「じゃあつまりリオ様は気づいたら様々なスキルを使えるようになっていたと」
リオ「そういう事になるな」
確かにそう考えてみたらおかしな話だ。
姫乃とアリスが言うには生まれつき固有スキルがあってそこからどんどん色々とスキルを覚えていくはずなのに俺は気がついたらたくさんのスキルが使えていた。
アリス「でもおかしいな…なんでもスキルは覚えられるとはいえそんな複数個、それも沢山覚えるなんて不可能なはずなんだけど……少なくとも私は今までリオ以外でそんな人見たこと無かったな」
姫乃「アリス様の言う通りですね。 私も今迄様々な人達と接してきましたがリオ様ほど多彩なスキルの持ち主は初めて見ました」
リオ「そうなのか…? 俺はてっきりスキルはみんなこれくらい使えて当たり前だと思ってたから…」
姫乃「この件についても後で話し合いましょう。 さて、地下10階へ降りる階段に繋がる部屋に着いたわけですが……リオ様」
リオ「あぁわかってる。 敵は1人だな。 それにこの反応はモンスターではなく人かな」
最奥の10階へと繋がっている扉を前に、俺の敵サーチスキルは今までに無いほど反応している。
というかこれは…
アリス「敵サーチスキルなくても分かるねこれは…殺気がヤバいもん」
扉越しにも伝わってくるとてつもない威圧感と殺気……今迄に感じた事のない気配……
リオ「今まで戦ってきた奴らとはレベルが違うぞ…気を引き締めていくぞお前ら!」
俺がそう気合いを入れ叫ぶとそれに続けて2人も元気よく
アリス「おっけー!」
姫乃「了解です!」
リオ「よし、いい返事だ! お前ら行くぞ!!!!!」
俺はそう叫び扉を開けようとする2人を見届け……
リオ「『隠密』」
アリス・姫乃「「は???」」
隠密スキルを使い息を潜めた
To Be Continued→4章10話