〜4章: 勇者一行は不思議な運命へと誘われる〜 8話:アリスと姫乃とリオ
8話:アリスと姫乃とリオ
リオ「なぁ悪かったって。 てゆーか混浴なんだし俺何も悪いことはしてないだろ」
カイ「……ぷいっ」
姫乃と混浴した事を軽く謝罪するが、カイはさっきからそっぽを向いている
ゲン「お前な…気持ちは分からんでもないが一応勇者なんだぞ? 城に使えるメイドに混浴でセクハラとかシャレにならんから本当にやめてくれないか…」
リオ「混浴は男の夢だろ!」
ゲン「いや、知らねぇよ!」
全く…ゲンは男のロマンが分かっていないな
ゲン「ほらカイ。 もう部屋着いたからいい加減許してやれって」
ゲンがカイの事をそうあやすとカイは頬を膨らませながら
カイ「……別に怒ってないもん」
リオ「いや、どう見ても怒ってるやん」
カイ「怒ってない」
リオ「怒ってるって」
カイ「怒ってる」
リオ・ゲン「いや、結局怒ってんのかい」
何だこのベタなツッコミは
カイ「ウソだって。 本当に怒ってなんかいないから!」
リオ「本当か? そんな事言って後で罰として顔面パンチとか飛んでこない?」
カイ「本当だって! そんな事しないから! それとも何? 私の顔面パンチ喰らいたいの?」
リオ「嫌です喰らいたくないですごめんなさい許して」
ゲン「お前…最近俺はお前の事本当に勇者かって疑う時あるぞ」
ゲンはそんな失礼な事を言うと部屋の中に入り、いつの間にかひいてある布団の上に寝っ転がる。
リオ「俺入口側がいい! トイレ近い方がいい!」
カイ「リオは夜お腹痛くなりがちだもんね」
ゲン「別に構わないが多分その腹痛は暴飲暴食によるものだと思うから食事に気を使った方がいいと思うぞ」
リオ「失礼な。 コレでも気を使ってるつもりなんだけど?」
カイ「気を使ってるなら今日の晩御飯3人分平らげるなんてしないと思うけど…」
ぐぅのねも出ない。
ゲン「まぁ沢山食べるのはいい事だし気にしなくていいか。 まぁその食った分を少ない頭に回して欲しいというのはあるが」
リオ「おい待て。 ゲン、お前今なんつった」
カイ「さ、寝よ寝よ。 明日も早いだろうし」
ゲン「そうだな。 俺は窓際で寝るからカイは真ん中でいいか?」
カイ「いいよ」
リオ「おい。 何も無かったように話してるんじゃねぇ。 おいって」
カイ「ほら、リオ寝るよ。 もう23時45分だよ」
……姫乃との約束は0時からだったはずだ。
みんなが寝静まってくれないと部屋から出られない。
リオ「よし。 寝よう! お前らも早く寝ろよ!」
ゲン「あぁ。 じゃあおやすみ」
カイ「おやすみ〜」
カイとゲンがそう言うとパチッっと言う音と共に部屋の電気が消える。
リオ「……」
カイとゲンは寝つきがいい方だったはずだ。寝たタイミングを伺って部屋を出るとするか。
カイ「……ねぇリオ。 起きてる?」
みんなが寝るのを待ってたらカイが眠たそうな声で呼びかけてくる
リオ「起きてるぞ。 どうした?」
カイ「あのね……今日雑貨屋の外でリオ達を待ってた時にシノブと話してたんだけどね」
シノブ……そういえばアイツはトイレに行くと言ったっきり結局どこに行ってんだ?
カイ「どうやらシノブのお父さんは門番さんの言ってた瘴気に侵されて体調を崩しちゃってるらしいんだ。 それで星のペンダントを探して旅をしていたらしいの」
リオ「……そうだったのか」
カイ「だからね…リオ…シノブが困ってたら……助けてあげようね……」
そう言いながらカイはスースー寝息を立てて寝てしまった
リオ「……わかったよ。 カイ」
俺はもう寝てしまったカイさっきの話の返事を返すと布団から身体を起こし外へ……
ゲン「……どこかへ行くのか?」
リオ「ッッッ!!!!! ゲン!!! 起きてたのか」
ゲン「悪かったな起きてて…それで、こんな時間にどこへ行く気だ?」
リオ「い、いやぁ…その……」
姫乃に他の人には絶対言うなと言われてしまっているから流石に言う訳にも……
ゲン「……まぁいい。 行ってこい」
リオ「えっ」
俺がそんなに間抜けな返事をするとゲンは妙に落ち着いた声で
ゲン「お前とはもう何年の付き合いになると思ってるんだ。 何か大事な用事なんだろ、行ってこい。 コレでもお前の事は信頼してるんだぞ」
リオ「ゲン……お前……」
ゲン「なんだ?」
リオ「何怖、急に気持ち悪いんだけど…」
ゲン「お前なぁ……まぁいい。 早く行ってこい。 何か困ったら俺に出来ることがあれば言ってくれ」
リオ「おう。 その……サンキューなゲン」
ゲン「お前も気持ち悪いぞ。 とっとと行ってこい」
そんな心強い言葉を聞き、俺はエントランスホールへと急いだ。
姫乃「遅かったですね。 2分遅刻ですよ」
リオ「はぁ…そのくらい許して…はぁ…ください……よ……はぁ……」
方向音痴な俺はエントランスホールへの行き方が分からず訳の分からない所をウロウロしてしまい約束の時間に少し遅れてしまった。
姫乃「迷うような複雑な構造はしていないはずなんですが…ただ階段を降りてこれば良かっただけなはずなのに」
リオ「あっ、階段を降りればよかったんだ!」
姫乃「えっ? ……階段じゃないなら何でここまで来たんですか」
リオ「窓から窓へとジャンプして…」
姫乃「何やってるんですか!? 逆にどう考えたら窓から行こうって思うんですか!?」
リオ「いや…誰かに見られちゃいけないかと思って……」
姫乃「だとしても窓を渡ってくるって…ぷっ…あはは! やっぱ面白いね、君」
姫乃は吹き出すように俺の苦労をそう笑う
リオ「一応苦労してきたんだぞ…ほら、本題に入ろうぜ」
姫乃「それもそうですね。 では本題に入りましょうか」
また敬語に戻った……
姫乃「まず星のペンダントを渡して貰ってもいいですか?」
リオ「おう。 え〜っと部屋に戻った時にどっかに入れたはずなんだけど…どこに入れたっけな……お、あったあった」
そう言い胸ポケットに入っていた星のペンダントを姫乃へ手渡す
姫乃「……間違いなくこれは星のペンダントですね。 確かに受け取りました。 では私も約束を守りましょう。 私の言っていた私情についてで間違っていないですよね?」
リオ「間違ってないぜ。 俺はそもそも星のペンダントを何に使うのかすら知らないからな」
姫乃「……ではリオ様。 これから私の言う私情について話しますが…結構長くなるので覚悟しておいてください」
リオ「出来る範囲で頑張るます」
姫乃「結構心配ですけど…まぁ良いです。 まず、この話をするにあたってリオ様のお仲間の『シノブ』についてお話しなければなりませんね」
リオ「シノブだって? え? シノブと何か関係があるのか?」
姫乃「リオ様、こちらについて来てください。 真実をお見せしましょう」
姫乃はそう言うと城の出口の方へ歩いていく
リオ「え? ちょ、姫乃? そっちは出口じゃない…の……」
姫乃は出口の横の地面にある石タイルをリズム良く踏むと、ゴゴゴゴと重たい音を立てながら壁だった場所が横へと開き地下へと続く階段が現れる。
姫乃「こっちですリオ様。 ……リオ様?」
リオ「めっちゃ冒険してる感出てる!」
姫乃「ちょ、声が大きいですって…」
リオ「いやだってテンション上がるだろ! 城の隠し扉が開いてそこにあるのが地下へと続く道とか! これこそ男のロマンよ!」
姫乃「こんな所で立ち止まってる場合じゃないんですよ。 ほら、早くこっち来てください」
テンション爆上がりの俺の手を引っ張りながら姫乃はため息混じりにそう言う
姫乃「ふぅ、なんでここまで来るまでにこんな疲れないといけないんだか…リオ達、この扉の向こうに真実があります」
姫乃に手を引っ張られて地下への階段をおりてくるとそこには太陽の印が刻まれた扉があった
リオ「だから真実ってなんの事だよ。 さっきからさっぱりだぞ」
姫乃「リオ様の手で開けてください。 開けてみれば分かります」
姫乃にそう言われたので、俺はドアノブへと手を伸ばし扉を開けてみるとそこには……!!!
シノブ「……えっ?」
リオ「……ん?」
姫乃「……は?」
何故か裸のシノブがいた。
シノブ「うわぁぁぁぁぁぁあああ!!!!!!!!! ちょ、ちょ、ちょっと! ノックくらいしてよ変態!!!!!」
リオ「えぇぇぇえ!? いや、俺姫乃に開けろって言われて開けただけなのになんでそんな事言われないといけないのぉッ!?」
姫乃「アリス様!!!!! なんでまだ裸なんですか!!!!!」
シノブ「だってだって! さっきお風呂上がったばっかりなんだもん!!!!!」
姫乃「はぁ!? 私がお風呂入りに行ってる時から入ってますよね! 40分もお風呂入ってたって事ですか!?」
シノブ「姫乃は知ってるでしょ! 私長風呂なんだもん!」
リオ「いやぁ〜…これが姫乃さんの言ってた真実ですか。 確かにボディラインがとてもえっ……」
姫乃「それ以上は言わせませんよ! それに違いますよ!!! 私ならまだしもアリス様にまでセクハラ発言はやめてください!!!!!」
シノブ「ちょっとリオ! ジロジロと私の事見ないで! てゆうか恥ずかしいから1回出てってぇぇぇッッッ!!!!!」
閑話休題、俺はとりあえず扉の外で待機することになった。
姫乃「はぁ……お待たせしましたリオ様……」
疲れきった様子の姫乃がそう言いながら扉を開ける。
シノブ「……おまたせしましたねリオ。 さぁ、こちらへどうぞ」
リオ「いや、さっきのいざこざあった後にその上品キャラは冗談キツイって」
高そうな椅子に腰かけていたシノブにそう言うと、シノブは顔を真っ赤にし、俯いたまま俺の事を椅子へと誘導する。
姫乃「もっとピリピリした空気感になるかと思ったんですが…こんな事になるとは誰も予想してなかったのでもう気楽に緩くやりますね」
リオ「わかってるじゃないか姫乃。 その方が助かる」
シノブ「うぅぅ……男の人に裸見られるとか……もうお嫁に行けない……」
姫乃「コレばっかりは私達も少しは悪いですけどアリス様も悪いと思います。 こういう事にならない為に0時過ぎたら来るって言ってたのに」
リオ「そうだそうだ! 俺は完全に被害者だ!」
シノブ「リオはさっきの状況楽しんでたようにしか見えなかったけど? ほら、被害者だって言うなら私の目を見て言ってよ」
目を逸らす俺をシノブはそう問い詰めてくる。
姫乃「ほら、話を戻しますよ。 まずリオ様、こちらにおられるのはシノブですよね?」
リオ「うん。 え? どう見てもそうだけど?」
姫乃「ですがその『シノブ』と言う名前は世を渡り歩く為の偽名。 本当の名前は……」
姫乃がシノブへと目配りするとシノブは立ち上がり、
アリス「はい。 私の本当の名はサンディアス・フォード・アリスと申します。 このフィーニスタウンの次期王女となる者です」
リオ「アリスって…え!? あの街の入口前に置いてあった行方不明の王女様!?」
アリス「如何にも。 私がその王女です。 まぁ驚くのも無理はありません」
リオ「いや…お前が王女とかこの国大丈夫か? それにそのお嬢様みたいな喋り方……ぶふっ!」
アリス「この男!!!」
俺が吹き出すとそれにアリスは食ってかかる。
リオ「いや、だって初対面の人にナイフ突き立てて殺害予告して星のペンダント取ろうとする人が国のトップとか、そりゃそう思っちゃうでしょ」
アリス「だからそれには理由があったんだって!!!」
姫乃「それについてもお話しなければなりませんね…アリス様の父親が体調を崩しているのは知っていますか?」
リオ「あぁ、それはカイから聞いてるぞ……ん? 待てよ、王女の父親ってつまり」
姫乃「はい。 フィーニスタウン国王になります。 ですがつい2週間ほど前、魔王の黒いオーラに侵されてしまった魔法使いがフィーニスタウン城下町で暴れてしまい、それを止めるべくフィーニスタウン国王は立ち向かったのですがその際に国王も瘴気に侵されてしまいそれ以来は元気がなくなりどんどんやつれていってしまい……」
アリス「……」
リオ「なるほど…つまり星のペンダントを使えば、フィーニスタウン国王の状態を治せるかもしれないと思ってアリスは星のペンダントを狙ってたわけか」
アリス「はい……」
……アリスのつらそうな表情を見るからにどうやら嘘では無いようだ。
アリス「もう最近父の様子が一段と悪化していて……」
リオ「とりあえず状況は分かった。 で、星のペンダントは姫乃に渡してある。 なのにすぐにフィーニスタウン国王の元に行かず俺にこんな話をするって事は何か星のペンダントを使うための条件か何かがあるんだろ?」
姫乃「おぉ…リオ様、私は貴方のことを甘く見ていたようです。 私はてっきり物覚えの悪い理解力の乏しい筋肉バカかと……」
リオ「ざけんな」
最近俺の事を舐めているやつが多い気がする。 1回痛い目に合わせてやった方がいいんじゃ…
アリス「姫乃、からかうのはその辺にしておきなさい。 リオの言う通り星のペンダントを父に使うにはどうやら条件があるらしくて」
リオ「でも俺はただ持ってるだけなのに効果が発動してたけど?」
アリス「それはリオが勇者の血を引いているからです。 神器の効果を無条件で受けられるのは神器に選ばれた勇者の血を引く者だけだからね」
リオ「なるほど……じゃあ俺はなんもしてないのに星のペンダントに選ばれて神器の効果を受けてたって事?」
アリス「そういう事になるね」
……俺、星のペンダントの凄さ知らなくて旅に出るまでタンスの奥にしまってあったとか言えない。
姫乃「それでですね、この星のペンダントを国王に使うには『神代の器』という大変希少なアイテムが必要でして」
リオ「神代の…器……? 何それ」
アリス「神器の効果を分け与えられる器だね。 例えば星のペンダントの効果を神代の器に移すと呪い解除、状態異常解除、運気一定時間上昇って感じで星のペンダントの効果を常時発動から1回きりにして効能を少し弱くした感じだね」
……つまり神器の効果を1回きりだけど分け与えることの出来る器ってことか。
俺にしては今回結構頑張って理解している方じゃないか?
リオ「よーし概ね理解したぞ」
姫乃「それは良かったです。 ですがココからが本題です!」
姫乃は急に大声を張り上げそう言うと椅子から立ち上がり
姫乃「神代の器…先程も言いましたが大変希少なアイテムなのですよ。 そしてその希少なアイテムがフィーニスタウン付近のダンジョンにあるとの情報を私の知り合いのヨルマという方から聞きました!」
リオ「ヨルマだって? 姫乃さんあの変態店主ヨルマと知り合いなのか?」
姫乃「おや? リオ様も知り合いなのですか?」
リオ「おう。 まぁ今日初めて会ったばっかりだけどとりあえず変なやつってのはわかってるぜ」
……そういえばヨルマが満月がどうこうしたら会おうとか言ってたな。 なんだったっけ?
姫乃「知っているなら話は早いです。 ヨルマは確かにリオ様の言う通り変なやつかもしれませんが商品を見る目やダンジョンや洞窟、それに情報の収集、鑑定力はプロです。 そんなヨルマが言っていたのですからデマでは無いはず。 つまり! 本当に神代の器があるって事です!」
アリス「そしてその神代の器を回収出来れば父を助けられるかもしれない……行かない手はありません」
リオ「なるほど…じゃあ早くとってこればいいんじゃないのか?」
姫乃「何言ってるんですか。 リオ様も一緒に行くんですよ。 自分で言ったんですよ? 私の私情に手助けするって」
リオ「……あっ」
言った。 確かに言った。
姫乃「という訳でリオ様」
そういうと姫乃とアリスは怪しい笑みを浮かべ俺の事を見つめる。
……とても嫌な予感がする。
姫乃・アリス「「これからダンジョン、行きますよ!!!」」
俺は全てを諦め、そっと目を閉じた。
To Be Continued→4章 9話




