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48 忘れてた

評価、感想ありがとうございます。

 時刻は午後8時を回った。

 今日も相変わらず水樹が一人で作った料理を楓と水樹は向かい合って食べている。

 水樹は内心いつになったら楓の生活が良くなるのかと呆れていたが、最近ではこんな日常が当たり前のように感じるようになっていたのも事実である。


 そして水樹は不意に気になったことを口にした。


「あれ?そう言えば水面って前のアパートってどうなったんだ?」

「はい?」

「いや、だからなアパートの家賃とか払ってるのか?今はこっちで生活してるけど」

「....家賃?」


 楓は水樹の言葉にまるで初めてその言葉を知ったように首を傾げていた。


「ちょ、ちょっと待て!!家賃は知ってるよな?」

「はい。家に運賃の賃です。それくらいは分かります」

「当たり前だ!!俺が聞いてるのはそれを払ってるのかってこと!」

「払う。ああ、それでしたら毎月私の口座から自動で引き落とされてるので心配には及びません」

「自分の口座....だと!?」


 高校生にして自分の口座があり、しかも家賃を毎月引き落とされているのに何の心配もしていない楓の神経が水樹には考えられなかった。

 果たして楓の口座には一体いくらはいっているのだろうか。

 水樹は内心これだから金持ちは!と悪態をついた。


「あのさ、流石に生活もしないのに家賃を払いっぱなしって勿体なくないか?」

「言われてみればそうですね」

「ごめん。完全に俺の不注意だったわ」


 まさか生活ともなれば金銭の感覚も楓は崩壊しているらしい。


「ですが、両親のところに荷物を戻したくはありません。別に困っているわけではありませんし.....」

「いやいや!その感覚がおかしいの!!」


 水樹は深くため息を着いた。そしてある提案を持ちかける。


「もういっその事ここに荷物運ぶか」

「ここ、ですか?」

「ああ。お金を無駄に浪費するのは今後の水面の生活感にも大きな影響を及ぼしかねないしな」

「でも、置く場所が」

「あ〜そこは気にしなくていい。元々春姉の私物なんてほとんど部屋にないし、いざって時は移動させればいいだけだから」

「いいのですか?」

「いいも何もこっちが見てられない」

「う....すみません」


 こうして週末に楓の引越し作業が計画された。




「てな訳で週末空いてるか?」


 時と場所は変わり、翌日の学校。水樹は春馬にこのことを話していた。


「ああ。特にデートの予定も入れてなかったし、手伝ってやるよ」

「そうか。悪いな」

「気にするなって!でもそんな引越しみたいなことするなら人手は多い方がいいよな?」

「まぁ、そうだけど事情を知ってる人で都合のいいのお前くらいしかいないだろ?」

「いや、もう1人いるだろ」


 そう言って春馬はスマホを取り出し彼女に連絡をとった。すると返信はすぐに返ってきて、


「未来も手伝うってさ。写真の件のお礼も兼ねてな」

「そうか。それは有難い」


「さっきから何話してたの?」


 そして第三者の介入。


「冴枝さん?」


 それはつい先日まで水樹との間に色々とあった冴枝千歳その人だ。


「あ〜えっと、週末の予定?」


 春馬はどうやら気をつかって話を逸らそうとしてくれているらしい。

 だがその努力は実は無駄であり、千歳も水樹と楓が一緒に生活していることを知っている。ゆえに水樹は千歳に包み隠さず事情を話した。勿論春馬にも千歳に知られた経緯を話しながら。


「そうなんだ。それなら私も手伝おうか?」

「いいのか?」

「うん!私も丁度週末暇だったし」

「まさか水樹と冴枝さんが知り合いだったとは....」


 事情を飲み込んだ春馬は少々疲れた様子だった。

 しかし人員を集めたいという水樹の望みは叶い、晴れて大人数で荷物の移動を行うことが決定したのだった。

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