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47 前言撤回

評価、感想ありがとうございます。


 週明けの学校。

 本来なら何事も無く過ごすことのできる日常。しかし水樹にとっては現状そんなことを言ってられない。

 理由は当然、千歳からの告白だった。


 水樹は結局帰宅したあともずっと告白されたことばかりを考え、まともに寝ることが出来なかった。


「ん?水樹。今日はいつになく暗いですな」


 そんな水樹の苦闘?も知らずいつも通りに話しかけてきたのは勿論春馬だった。


「いつになくとは何だ」

「いや、暗いことは否定しないのな」

「あーまぁな」

「何だよ?悩み事か?」

「全くその通りだよ。俺には手に負えない問題」

「何それ気になる」

「おまえな....」


 そんな二人の会話に割って入る女子が一人。


「ちょっといいかな」


 声をかけてきたのはよりによって千歳だった。

 千歳はあまり意識していないのか普段と何ら変わらない様子。だが水樹は少し動揺していた。


「おや?冴枝さん」

「ちょっと水樹君借りていってもいいかな?」

「.......」

「何だよ、春馬」


 春馬の視線が水樹に刺さる。


「どうぞ?」


 そしてあっさり水樹を売り飛ばしたのだった。


 それから水樹と千歳は教室を出て人気のない校舎の別棟へやってきた。

 その間すれ違う人の視線がやたらと鋭く、水樹は肩身が狭い思いをしていたのは言うまでもない。


「ごめんね、急にお借りしちゃって」

「お、おう。それで何か用?」

「あのさ、昨日のデートで言ったことなんだけど」

(それって告白のことか?)

「あの話、やっぱり撤回しようと思って」

「??」


 急な発言に水樹は状況の整理に時間を要した。


「ごご、ごめんね!自分勝手で。でもあの時はどうしても言わなくちゃって思ったんだけど...やっぱり水樹君は私のこと少し意識した?」


 顔を赤くした千歳に水樹の心臓はドクンと波打つ。


「まぁ、それなりに」


 嘘である。そもそも告白されたことが初めてなわけであって昨晩はまともに寝れていない。バリバリ意識していた。


「そっか。それで考えたんだけどやっぱり撤回しようかなって」

「つまりは、なかったことにってことだよな?」

「う、うん。私もあの後じっくり考えたんだけど、その一時の気の迷いというか......あ、いや!水樹君が嫌いなわけじゃないの。むしろ本当に男の子として好きなの。でもやっぱり急すぎたかなって。私としては意識されて普通に話せなくなる方が嫌だから...」


 つまり千歳は水樹のことは好きだが、急ぎすぎたと思っているということだ。

 確かに告白してその結果、今の関係が壊れるというのは古今東西どこでも聞く話である。

 実際に今の千歳の発言もそういうことなのだろう。


「それで無かったことにしたいってことか」

「う、うん」

(ん〜結局好きって言ってるあたり意識しないで欲しいってのは正直キツいけどな)

「だから、その...忘れてくれると嬉しい」

「分かった。昨日はデートの後特に何もなかった。そういうことだな?」

「う、うん。だからまたいつも通り声掛けたら気軽に話して欲しいかな」

「うん。分かった」


 水樹の発言に千歳は安堵の表情を浮かべる。

 そして二人の会話が丁度終わったところで予鈴が鳴った。


「あ、予鈴だ。急ご水樹君!」

「あ、ああ」


 こうして二人の間で告白は無かったことになった。




「ただいま〜って先に帰ってたんだ」


 放課後真っ直ぐに帰宅した水樹は少しではあるが気が楽だった。それは告白がナシになったこと。内心少し告白されて嬉しいと思ったり、撤回と言われ気を落とした自分もいたのだが、やはり何事も無く今までの関係を保てると思うと気が楽だった。


 そして家の玄関の扉を開けると制服姿のままの楓と鉢合わせた。


「はい、今日は用事もありませんでしたし」

「じゃあ少し早いけど夕食作るか」

「......」

「ん?水面?」

「あ、あの峰崎くんは冴枝さんの告白をどうお考えなのですか?やはり男の子として付き合うということは願ってもない状況なのでしょうか」


 あまりにも急で直球すぎる質問に水樹は少々戸惑う。

 だが、その問題は先にも言ったようにある意味では解決していた。


「えっと.....一応水面もあの場にいた人だから言うけど、告白のことはナシになった」

「.....はい?」

「いや、冴枝さんも一時の迷いだったとかどうとかで撤回したいって言われたんだよ」

「そ、そうなんですか」

「あの、水面さんや。何でそんなに哀れんだような目視線を?」

「い、いえ。そんなことはありませんけど....その、ご愁傷さまです」

「いや、別に気にしてないから!(まぁ少しは気にしたけど)」

「分かりました。つまり無かったことになったんですね?」

「そういうこと。だからその話はこれでしまいな?」

「了解です」

「......心なしか水面嬉しそうじゃない?」

「いえ、そんなことは」


 そして二人は話を切りあげリビングに向かっていった。

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