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アラン、調べ物をする。

 午後になった。

 アランは図書館で調べ物をしていた。

 シロイの魔法についてだった。この村のクルトの息子であるシロイは昨夜突然魔法が使えるようになった。彼はそれまで魔法を使うことができなかった。

 彼が使えるようになった魔法は、近くにいる人間の魔法を、おそらくほんの数分間だけではあるが、封じ込めて、使えなくしてしまうというものだった。村を襲った男は、強力な魔法を使うことができたが、ちょうど、その場にいたシロイによって、その魔法を封じ込められてしまった。だから、殺されたのである。シロイはそのような魔法をあの時、使えるようになったのである。

 アランはそのような魔法を聞いたことはなかった。アランだけではなく、村長や他の村人も知らなかった。しかし、もしかしたら、自分たちが知らないだけかもしれない可能性があったため、アランは調べることにしたのである。

 図書館の中にある魔法書を読んでみた。しかし、いくら調べても、そのような魔法そのものを封じ込めるという魔法は、少なくとも、本の中には、一切載っていなかった。村中の本が、図書館と名付けられている建物の中に、納められているが、その本の中に記載はなかった。

 もちろん、魔法についての知識はとても膨大なもので、小さな村にある本だけに収められるものではない。しかし、彼の調べられる範囲では何もなかった。

 そのような骨の折れる作業を何時間が続けていて、アランは疲れ果てていた。少し、休むことにした。椅子に座り、テーブルの上に積まれた本の山を見ていた。

「どうですか、先生。何かわかりましたか。」

そこにルルがやってきて、聞いてきた。

「いいえ。何も。シロイについては何もわからないです。」アランは答えた。

「そうなんですか。私も聞いたことがないですよ、魔法を封じ込めるなんて。」

「そうでしょうねえ。そんな強力な魔法を彼が使えるなんて思ってもいませんでしたよ、私は。」アランは言った。

「あれって、強力な魔法なんですか。」ルルは尋ねた。

「はい。強力です。反則みたいなものです。どんなに強い魔法使いがいたとしても、魔法が使えなくなってしまえば、何もできません。魔法を封じ込められてしまえば、一方的に物理的に、暴力的に、倒せてしまいます。彼と戦えば、ほとんどの魔法使いが無力になってしまう。そんな冗談みたいな魔法はあり得ませんよ。」

「ありえない、ですか。」ルルは言った。

「ありえませんよ。彼はこの世界で、トップクラスに強い魔法使いですよ。」アランはさらに言った。「きっと、彼は封じ込める魔法だけを使うことができるのでしょう、生まれつき。あんなに強力な魔法がシロイは使うことができたなんて、思ってもいませんでした。」

「そうなんですか。でも、先生」ルルは言った。「魔法じゃなくて、物理的に攻めてくる武闘家や剣士には勝てないのではないんですか。」

「そうです。その通りですね。」アランは言った。「そういう相手にはめっぽう弱いんでしょう。今のところ。そういう相手と戦うことになったら、一方的に負けてしまいますね。」

「そうなんですか。」ルルは言った。

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