村長室。
村長は考えた。村役場と名前がつけられている3階建ての建物があったが、実際に村役場として機能を果たしているかと思ったら、そうではないと思う。対して役に立っていない。
今村長がいる部屋は村長室であるが、村長室に村長である自分がいることはあまりない。なんのためにわざわざこんな部屋があるのだろうか。
そうも考えているうちに、階段を上がる音が聞こえた。足音だった。そして、その足音は部屋の前までやってきた。2回ノックされた。
「入ってくれ。」村長は言った。
ドアが開いた。クルトだった。
「きてくれたな。座ってくれ。」
村長の目の前に、部屋の真ん中に丸椅子が置かれていた。クルトは言われた通り、椅子に座った。
村長は言った。
「何日か前から、夜中に家の外に誰かの気配を感じることがあったらしいな。」
クルトは答えた。
「そうです。村に伝えるべきでしたと思っています。」
「謝らなくていい。そんなこと言ってもしょうがない。迂闊だったとしか言いようがないが、それはクルトだけではなく、この村全員に言えることだ。私も含めて、な。ところで」村長はさらに続けた。
「君の息子についてだ。君の息子を領主様にあわせることになった。君の息子に起きたことをこのままにしておくわけにはいかない。」
「それはわかってます。」
「それは感謝する。領主様のところに行ってもらいたい。早めに行ってもらう。明日にはもう出発してほしい。」
「明日ですか。」クルトは言った。
「早急ですまない。私も早いとは思うが、遅くなってしまうわけにもならないからな。よろしく頼むよ。もちろん、一人で行くのではなく、一緒について行く人は用意する。それは安心してくれ。」
クルトは何も答えなかった。




