エンド9 初めての仲間
「それで、ここからは提案なんだけど。……もし、お前さえ良かったら、俺と一緒に、魔王を倒しにいかないか?」
「………は?」
セプティアは、聖夜の言葉に目を丸くした。
まさか、勇者の仲間に勧誘されるとは考えていなかったのだ。
セプティアは返答に困り、助けを求めるように暗殺者ギルドの男を見た。
「セプティア。お前が好きなようにしろ。俺たちはお前に助けられてばかりで、お前に何1つしてやれなかった。だからせめて、お前には好きなように生きて欲しい」
暗殺者ギルドの男は、セプティアに優しい声で語った。
聖夜はチャンスかも知れないと思い、言葉を続けようとしたが、セプティアの様子を見て、寸前で言葉を止める。
セプティアは、悲しみのような、それとは違った他の何かのような、聖夜には理解できないような感情のこもった顔をしてうつむいていた。
「「「…………」」」
しばらく沈黙が続く。
それから、最初に静寂を壊したのはセプティアだった。
「私は……私は、魔王を倒す手伝いをしてやろうと思う」
セプティアは顔を上げ、決意のこもった目でそう言った。
聖夜はそれを意外に感じた。
ーーへぇ。受け入れられるとは思ってなかった。断られると思って、セーブまでしてきたんだがな。
「そうか。これからよろしく頼むよ。セプティア」
何はともあれ、仲間になるなら問題はない。
聖夜は、セプティアへ手を差し出した。
セプティアはその手を取ろうとして、何かに気付いたように首をかしげてから、
「そう言えば、お前の名前を聞いてなかった気がするな」
「え?ああ。そうだっけ?すっかり忘れてたな。……俺は聖夜、よろしく」
「ああ。よろしく。セーヤ」
2人は、かたい握手を交わす。
因みに、聖夜は名前を言っていたモノだと思っていた。
前回の名乗りと混同していたのだ。
ーー記憶の混同はマズいな。気をつけておかないと、どこかでミスしそうだ。
聖夜は、忘れないようにと心に決めた。
だが、心に決めたところでミスしなくなるなんてことはない。
失敗の種は、数千回先の運命で花開くことを待つのだった。
《実績『伝説の後継者の仲間』達成》
《セプティアとの友好状態が常に20パーセント上昇されます》
頭に響く実績達成のアナウンス。
聖夜はそれを聞きながらも、セプティアへと話しかける。
話しかける内容は、
「なあ。俺って、金をどうやって稼げばいいんだ?」
どうやったらお金稼げますか?
ということだった。
聖夜は、こう見えても(?)お金を稼ぐ方法がなく、無職に近いのである。
「セーヤ、国王とかから金を貰ったりとかは?」
「俺は一文なしだな。あいつ、目茶苦茶金を出すの渋るんだぞ。お前のペンダントを取るも大変だったんだからな」
「それは感謝しているが、……はぁ。仕方ない。私が、金の稼ぎ方くらい教えてやろう!」
「おう!本当か!それは助かる!!」
セプティアが、聖夜の前に立って歩き出す。
その顔は、とても楽しそうに緩んでいた。
だが、だからこそ、聖夜の表情が楽しさだけではないことに気付かなかった。