エンド32 嵌められた
「依頼達成を確認しました。お連れ様です。こちらが今回の報酬となります」
「ああ。ありがとう。……それでなんだが、最近ボスが多いのか?昨日もボスと戦ったんだが」
昨日より少しだけ少ない報酬を受け取りつつ、聖夜は職員から情報収集を行うことにした。
まるで雑談のように情報を聞こうとする辺り、手慣れている感じがする。
ーー投資するときに企業のヤツから話聞くのを思い出すなぁ。あいつら、こういう風に聞かないとなかなか正直な話はしてくれないんだから。自分たちの会社の良い面しか伝えたくない、って気持ちは分かるけどよぉ。
「ああ。そうなんですよ。実は、最近ボスの報告が各地で聞かれまして。何か災害の前兆かも知れないという噂もありますが」
「ほぉ。災害の前兆か。それは恐ろしいな」
聖夜はわざとらしく言う。
ーーそう言う不吉な感じとか言う非科学的なことは俺には分からないが、コレが異常事態だって言うのが分かったのは良かったか。
聖夜は報酬を取って職員に礼を言い、宿へ向かう。
そこまでの道、聖夜は職員から聞いた情報を考察していた。
ーーここまでの異常事態、流石におかしいよな。人為的に発生させられてる線も考えた方が良さそうだな。
もし誰かが引き起こしたとすれば、その犯人として可能性が高いのは、
ーー魔族、か。
「……だろ?」
「イヤでも、あいつは本当に見たって言ってたんだよ」
考え事をしていると、ふと話し声が聞こえてきた。
少し気が向いたので、そちらの話に耳を傾けてみる。
ーーこういう町で話されてることを聞いておくことも大事だよな。
「絶対見間違いだって。なんで墓場にガキが1人でいるんだよ。しかも、ゾンビに触れてなんかしてるって、普通はありえねぇだろ。殺してるわけでもないなんて、一体何をしてるってんだよ」
「さ、さぁ?わかんねぇよ」
「はぁ?じゃあ、お前も疑えよ。そんなのおかしいってな。どうせ、その友達からホラ話でも聞かされたんだろ」
「そ、そうかぁ?そんなことは無いと思うんだけどなぁ」
聖夜は、その話を聞いて、混乱していた。
ーーえ?墓場にガキが1人、ゾンビを倒すわけでもなくて何かしてたって?明らかにそれ魔族がなんかやってただろ。……い、いやでも、それは流石に安直すぎるか?罠っていう可能性もあるよな?
疑っていたことが、すぐに何気ない話として耳に入って来たのだ。
「……ちっ。キャーミャと話し合わないと行けないか」
何て呟いたときには、宿へ到着していた。
聖夜は部屋へ向かう。
その途中、
「……さい!」
「いいじゃねぇか。俺と良いことしよぉぜぇ」
誰かが絡まれてる声が聞こえた。
聖夜は嫌な予感がした。
ーーキャーミャか!?この間も絡まれてたし、割とそういう体質なのか!?顔は良いから、分からなくもないが。
「……おい。何やってるんだ」
「あ?何だお前?」
「あっ!た、助けてください!!」
聖夜の下へかけてくる少女。
その姿は、
ーーあっ。キャーミャじゃなかった。
見知らぬ少女だった。
「どういう状況か聞いても良いか?」
「あぁ?お前には関係ねぇよ」
「そう言わないでくれよ。落ち着いていこうぜ」
聖夜は両手をパタパタさせて、どうどうみたいな動きをする。
煽ってるように見えるが、男は落ち着きを取り戻すように、頭を振った。
ーーおぉ。持ちこたえたな。思ったより上級者か。三下ではないんだなぁ。
「仲間とちょっともめてただけだ。関係ないんだから関わらないでくれよ」
「ふぅ~ん。………って言ってるが、どうなんだ?」
聖夜はそう言って、聖夜の後ろに隠れている少女に視線を向ける。
少女はピクリと肩を動かし、首を振る。
それから、震えながらも、
「わ、私、その人とパーティー組んでないです!さっき会ったばかりなんです!!」
「なるほど。……と言っているが、どうなんだ?」
聖夜は男へ視線を向ける。
男は、面倒くさそうに頭をかいた。
その視線は、聖夜たちから少し外れ、斜め下を見ている。
その時だった、聖夜の横を小さな影が高速で通り過ぎ、
ドスッ!
「「え?」」
男と聖夜の困惑の声。
だが、すぐに男の方から声が聞こえなくなった。
その腹部と頭には小さなナイフが刺さっている。
「キャ、キャアアアァァァァァァ!!!!??????」
大きな悲鳴が響く。
聖夜が振り返ると、ナイフを投げたであろう少女が、満面の笑みを浮かべて立っていた。
ーーこ、こいつ!?
「何のつ」「おい!何をしている!!」
聖夜が問い詰めようとしたところで、すぐに人が駆けつけてきて。遮られてしまった。
そして、聖夜の奥にいる男の姿を見て、やってきたモノの表情が一変。
すぐに聖夜に近づき、
「何をやっている!!」
「何って、そこのガキがナイフを投げてあいつを殺したから、問い詰めようとしただけだ!!」
「嘘をつくなこの殺人者!!」




