エンド20 大事なものを忘れ
「神の使い様?」
「ん?ああ。すまん。考え事をしてた」
支援について考えていたら、キャーミャに心配されてしまった。
少し気合いを入れて、キャーミャとの話に集中することにする。
聖夜はキャーミャの顔を見て、学ぶことについての質問の答えを促した。
「私は、メイスを少し振ってみたいです」
「メイス、か。まあ、いいんじゃないか?」
口ではそう言うが、
ーーえ?メイス?あの打撃系武器をお望みで!?撲殺とかグロそうだからやめて欲しいんだけど!??
と、心の中では猛反対していた。
「それじゃあ、行きたいところとかあるか?」
「とりあえず、近くの狩り場で戦闘に慣れたいですね。パーティーとしての連携も確かめたいです。そして、それ以降の方針を決めるのに必要な、神の使い様の戦闘方法をまだ聞いていないのですが」
キャーミャは質問に答えた後、聖夜に戦闘方法を尋ねてきた。
「ああ。すまん。言ってなかったな。まず、俺の名前は聖夜だ。そんでもって戦い方だが、」
そこまで言って、聖夜は自分の手元に視線を落とす。
キャーミャもそれにつられて視線を落とした。
聖夜の手、そこにあるのは、
「この聖剣があるし、コレで戦うのが主になるだろうな。まあ、前の世界で1度も剣なんて使ったことがないんだけどな……ん?あれ?聖剣?」
「………あれ?」
聖夜とキャーミャは見つめ合う。
そして、もう1度聖夜の手元に視線が移った。
そこには、何もない。
「「せ、聖剣を忘れてた!」」
聖夜たちは急いで聖剣のある部屋まで戻り、聖剣を抜いた。
そこで光があふれ出したりしたが、忘れてたことに貴族なども皆苦笑いしており、あまり外の様子などは気にしていなかった。
それから、もう1度別れを告げ、聖夜たちは外へと向かう。
「私が、頑張らなければ行けません」
外に向かう最中、そうキャーミャが意気込んでいた。
割と責任感の強い、お節介(?)なタイプらしい。
ーーこれは、弟とか妹とか欲しいタイプ?……いや、そういうのがいると、王位継承権争いで面倒なことになりそうだな。
ちょっと的外れな考察をする聖夜。
「それで、行く所なんだが」
「ああ。そうですね。……この北の方に森があるのですが」
「却下だ。あそこには四天王がいる」
「……は?」
聖夜が即却下する。
すると、キャーミャは珍しく困惑した声を漏らした。
それから、
「四天王ですか?そんな報告は聞いてないんですが」
「ん~。そうなのか?あそこの森には中には入れないように霧が出ていて、その中に水の四天王がいるんだよ。しかも、それを倒したら終わりって訳でもなさそうだしな。あそこに行くのは自殺行為だと思って良いぞ」
「そうですか」
そういうときには、キャーミャは落ち着きを取り戻していた。
流石姫。
なかなか強いメンタルを持っているようだ。
「ということで。北は避けておきたいな」
「分かりました。では、西の方へ行きませんか?」
ーー西の方か。
聖夜はキャーミャの提案を吟味した。
西の方の話はあまり聞いたことがないので、何があるのかも分からない。
「良い狩り場があるのか?」
「それは分かりませんが、西は商業が盛んです。ですので、良い武器や防具があるのではないかと」
「防具か。確かに、大事だよな」
今まで防具を使ってこなかった聖夜は、納得したように何度も頷く。
防具があれば、もう少し生き残れた場面もあったのではないかと考えたのだ。
ーー例えば、………例えば?あれ?おかしいな。1つもそんな場面が思い浮かばない。
基本的にオーバキルや暗殺をされている聖夜なので、防具が役立つ場面をあまり思いつかないのだ。
「きっと、きっと大事なはず。大事じゃないはずが……」
聖夜はブツブツと呟く。
その様子を見て、キャーミャは感心したような表情をしていた。
どうやら、聖夜がどんな防具を買うべきか悩んでいると思ったらしい。
「さすがは神の使い。戦いの経験は無くとも、防具の重要性が分かるのですね」
勝手に勘違いして、聖夜への尊敬を深めていた。
声からは感情が読み取れなく、冷静で頭の良さそうな印象を受けるが、割とアホなのかも知れない。
ただ、そのことに自分を洗脳しようとしていた聖夜は気付かなかった。
「さて、まずはキャーミャ。そのベールは悪目立ちするから、取れるなら取ってくれないか?」
城から出て。
真っ先に聖夜はそうお願いした。
キャーミャはベールに触れ、
「っ!?」
「これでいいですか?」
ベールを外した。
その姿を見て聖夜息を飲む。
ーーう、嘘だろ。権力もあって、顔も良いのかよぉぉぉ!!!!世の中不公平だぁぁぁぁぁ!!!!!!
「あ、ああ。それでいい。あと、服はどうする?それもかなり目立つと思うが」
「服ですか?そう言えば、そうですね。じゃあ、買いに行きますか」
そう言って、どこかへ歩き出そうとするキャーミャ。
その様子は、まるで知っている服屋へ行こうとしているよう。
ーーん?ちょっと待て、姫様が行く所って、普通の服屋なわけないよな。いや、それよりも先に、
「ちょっと待て。服を買う金はあるのか?」:
「………あっ」




