75、スザク・リオニスEND
《これはまた別世界でのお話であり、ソフィの婚約者がいない場合のもうひとつあったかもしれない未来である》
ソフィside
私は、ひょんなことから転生してしまい⋯この世界は私がつくりあげた黒歴史だと、ある日⋯気付いてしまった。
私は、将来断罪されてしまう未来を変える為、努力した結果───。
私は⋯⋯出会った時から私の味方でいてくれた唯一の親友⋯スザクを好きになっていた。そんな中、私がラスボスであることも別世界の人間であることも伝えた上で⋯苦難を乗り越えた末、私達は────
卒業式を迎えた。
《卒業式後》
「ソフィ、一緒に帰ろう」
「うん!!帰りましょうか⋯!」
馬車の中に2人で乗り込む。今の私は、魔力を使えないから瞬間移動も出来ない。
「懐かしいな⋯」
「え?何が?」
「俺達が出会った時の話だよ。こんなに豪華な馬車の中でもなければ、ただの荷台だったけど」
「懐かしいわねぇ⋯あれは乗り心地が最低だったわ」
「間違いないな、でもあの時⋯誘拐されて良かった」
「え?」
「ソフィと出会えたから、俺は幸運だったと思う」
「それは私の台詞!!あの時、出会えてなかったら⋯どうなってたか分からない⋯」
私は初っ端から詰んでいた可能性もあった。
「そうだな。そういや、ソフィは卒業後はどうするつもりなんだ?」
「そうねぇ〜予定はあるのよ?予定は。私より、スザクは?」
「俺は⋯⋯薬屋を開こうと思ってる。俺は魔法が使えるから、この魔法を使って人々の役に立ちたいと思ってる」
「立派だわ」
「ありがとな。ソフィ、さっき話を逸らした今後の予定って何だよ?」
「聞きたい?」
「聞きたい」
「スザクの隣で薬屋の手伝いをしつつ家族として家庭を築きたいなぁ〜なんて⋯」
「え?」
スザクがフリーズした。目を開けたまま固まってる。あ、あれ?やけくそに⋯い、言っちゃえ!!って告白しちゃったけど固まるとは思ってなかった。
「す、スザク〜?大丈夫?生きてる?」
「!?!」
顔が真っ赤になるスザク。意味を理解してくれたらしい。
「そ⋯ソフィ⋯夢じゃないよな⋯?」
「夢じゃないよ?もう1回言おうか?」
「い、言ってくれるのk───」
ガタンッ!!!
「のわっ?!」
急に馬車が止まって勢いで体勢を崩してしまい────
気付いたら、スザクの腕の中にスッポリと収まっていた。
「ソフィ、大丈夫か?」
「だ、大丈────」
大丈夫だと言いつつ顔を上げて息が止まるかと思った。腕の中にスッポリ収まっていたから当たり前だけど⋯顔が近かった。
私がピタッと動きを止めていなければ、多分⋯唇が触れ合っていた⋯と思います⋯。
は、恥ずかしい!!
「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯」
私達は見つめあったまま──お互い真っ赤になっていたのだけれど⋯。
「ソフィ、外に出てみよう。従者が少し止まり方をミスったらしい」
「そ、そっか。襲われたのかと一瞬思ったけど、違うみたいで良かったわ」
「あぁ」
そうして、馬車から降りたスザクは私に手を差し伸べる。
「さぁ、俺の手を取って───」
「ありがとう⋯スザク⋯」
差し出された手を取り馬車を降りた。
「うわぁ⋯森だわ⋯いつの間に───」
「ソフィ、こっちに着いてきて何かありそうだ」
そう言って、私の手を引きスザクは森の中を進む。
「ソフィ、着いたよ────」
「え?」
私は目の前の光景に息を飲んだ──────
「綺麗───────」
一面に、色とりどりの花畑が広がっていたのだ。こんな所を見るのは初めてだ。
「こんなにスゴイ綺麗な場所が⋯あったのね⋯」
「ソフィの為に作り上げた」
「へ?!この花畑を?!」
「あぁ。ソフィ、聞いて欲しい」
「え?あ、うん」
スザクは真剣な顔をして言った。
「ソフィ、俺は初めて出会ったあの誘拐事件の時から君に惹かれていた。幼少期の暗闇時代の俺に希望の光をともしてくれたのは、ソフィのお陰だった。こうしてる今も、ソフィに出会えたお陰で今ここに立つことが出来ている。ソフィがさっき俺に言ってくれた⋯俺の進む未来にソフィ、君も居て欲しい────。愛しているんだ、君を幸せにしたい。俺と結婚してくれ!!」
と最後に言ったと同時に、パっと豪華な花束を差し出してくれた。これは、前世で憧れた1つでもあった王道中の王道でもある花束を渡してプロポーズだ。
あ、あ、あ、あの⋯や、やばいわ⋯。う、嬉しすぎて────
「はい⋯!!私もスザクを幸せにするので結婚して下さい!!」
嬉し涙を流しながら、プロポーズの返事を返した。この時の私達は、とても幸せな顔をしていたのであった。
《数年後───》
スザクside
目が覚めた。
トントンとリズミカルに聞こえる音。
いい音だなと思って目を開けた。
俺達の家は、ワンフロアでキッチンとリビング、寝室が一緒になっていた。寝室は、区切るためのローパーテーションを置いていた。
「あ、スザク起きた?」
「ん?ソフィ⋯?」
「スザクって意外と寝坊助なんだねー」
「⋯⋯⋯⋯寝坊助言うなよ⋯たまたまだよ」
「そう?ふふ⋯ちょっと待ってね。もうすぐ出来上がるからさ」
「悪いな」
「あ、そうだ。フィスは、まだ寝てる?」
「寝てるけど、もう起こさないとな。まぁでも、いい匂いしてるから起きそうだが」
「ふふ⋯フィスは食いしん坊だからね〜」
フィスというのは、俺達の息子だ。俺にもソフィ以外の家族が出来た。守りたいものが、また1つ増えた。現在の国の状況は平和で、俺は、あの時宣言した通り薬屋を営んでおり街では重宝されていた。有難いことに、住民達が贔屓にしてくれている。
「そうだな。誰に似たんだか」
「私じゃないからね?!」
ソフィだろとは、あえて言わない。
「はいはい。今日も、ありがとな。美味しい朝ご飯から何から準備してくれて」
「どういたしまして。ねぇ、ベッドに座ってないで、こっちに来て話してよ。フィスも連れてきて」
「分かった」
そうして俺は隣で眠る愛しい我が子を抱き抱えて、リビングの椅子に座る。
「あらあら⋯。まだ、パパの腕の中でお眠さんなのね⋯!か、可愛ぃいいい⋯」
ソフィは心の声が、ずっとダダ漏れだ。今でも、この光景が夢のように感じる日があるにあるけれど、現実なんだと幸せを感じる度に思う。
「ソフィも可愛いけどな」
「はい?!!」
「顔真っ赤だな?」
「も、もう!!!すぐできるから待ってて!」
照れた顔を隠したいらしい。キッチンに再度、顔を向けて準備をしてくれるソフィ。
「ありがとう」
俺は、これからもこの家族を守っていきたい。
愛しい妻と我が子を交互に眺め再度、心に誓うのだった─────
END
これにて番外編も完結致しました!
長年に渡り完結までに、お時間かかってしまってすみませんでした。ここまでお付き合い頂きまして本当にありがとうございました!!
面白かったよー!って思って頂けたら是非、★★★★★お願いします!!では!ありがとうございました!!




