アカリの家へ
『風邪引いたので今日は休む』
午前8時。アカリからメッセージが入った。
風邪を引いたらしい。
バカと獣人は風邪を引かない、と言われるくらいには体が丈夫なはずなのだが。
『わかった。薬とかあるか? 医者には診てもらえそうか?』
ボロアパートに住んでいるアカリが薬などを常備しているとは思えなかった。
朝から深夜まで稼働する人間が体を壊すことは少なくない。
アカリも一人前になれば朝から17時までの稼働で暮らせるようになるのだが。
すぐに返信があった。
『ない 熱があってふらつくから家から出たくない』
『わかった。あとで行くから玄関のカギを開けておいてくれ』
と。
今日の稼働が一区切りしたら見舞いにでも行ってやろう。
データチェックを終え、そしていつもの過疎店へ向かった。
夕方17時前、ドラッグストアで買った荷物でパンパンのビニール袋を持ってアカリの住むアパートへ。
「おうい、大丈夫か~」
ノックをしたが返事がなかったので勝手に部屋にあがった。当然鍵はかかって無かった。
「きたね~なぁ」
さすがの有様に独り言もでる。
かなり年季のはいったアパートの一室。
その部屋は普通の6畳間だった。
まずはシンクに洗っていないコップが複数。鍋も洗った形跡はないものが複数。
小さな冷蔵庫に電子レンジ。それに扇風機。家具は以上。
テーブルと思わしき段ボールに紙皿、割りばし。ゴミ袋いっぱいに入った缶ビールや酎ハイの空き缶。生ごみ等は最近捨てたのか見た感じはなかった。
その部屋の真ん中に布団が敷かれ、アカリが寝ていた。
窓を開き、換気する。
俺は部屋をざっと掃除して、シンクを使えるようにした。
高熱で息があがっているアカリの額に買ってきた冷却シートを張ってやる。
「・・・・・・にゃ?」
「大丈夫か?」
「・・・・・・マスク似合わね~にゃ」
「まあ元気そうだな。飯は食えそうか?」
「喉も痛ぇにゃ」
「ちょうどいい。おかゆを買ってきたんだ」
買ってきたレトルトパウチの白粥を湯煎しようと思っていたが、ガスが止まっていたのでレンジで温めて、白だしをスプーン2杯いれて完成。
俺はこれが料亭の味にも匹敵すると思っている。行ったことはないが。
アカリはプラスプーンで掬って一口。
「う、うまいにゃ! 毎日一食これがいいにゃ」
「ならあと8食分買ってあるから毎日食べな」
鮭粥に卵粥も買ってきてあった。あとはスポーツドリンクにパウチゼリーもいくつか。
冷蔵庫に水分はしま―えなかった。缶の酒でいっぱいだった。冷蔵庫横において、一本を枕元に置いてやる。
(もうちょっと稼げるようにして、この家から出してやらんとな)
風邪薬を飲んだアカリを見届けて、
「じゃあお大事にな。治ったら沖縄料理に行こう」
「・・・・・・ありがとにゃ」




