ファン感謝デー
「一枚どうぞ~」
13時。店員が台の横からバスケットを差し出してくる。もちろん俺はバスケットに入ったくじを一枚引く。
ファン感謝デー。集客のため、全国だったり、その地方のパチンコ店を盛り上げるために行われている催しである。これはだいたい2、3日続けて行われる。
めちゃくちゃ剥がしにくい。爪をめっちゃ立ててビリビリ。
『ヤクルト3本セット』
一応当たりだ。基本的に『残念 ダブルチャンスに応募してね』となるのが大多数。
この過疎ホールは大当たりでも自転車が当たるだけで、他店のように大型テレビや高級掃除機のような高額な一等でなく、代わりに下位賞を豊富に設けていた。
「駄菓子詰め合わせって書いてあったにゃ!」
「カウンターで交換してきな。俺のヤクルトもあげるよ」
「マジかにゃ! やったにゃあ!」
くじをアカリに手渡す。アカリの駄菓子詰め合わせは定価200円くらいのパックのやつだ。
ちなみにくじ引きは19時にもう一回ある。
このファン感謝デー。店の状況が普段より若干遊べるような状況になりやすいので、初心者の人がパチンコをやってみるのにいい日だと思う。
翌日。
「一枚どうぞ~」
昨日と同じ13時。
同じように一枚を引いた。今、当たり中で手が離せないのでしばらくしたら開けることにする。
このファン感謝デー、初日に当たりがはけてしまうと興ざめなので、ある程度当たりはコントロールされている場合が多い。
「今日も駄菓子にゃ」
「どれ、俺の方は・・・・・・」
一区切りしたのでくじを開封。ビリリ。
『1等 自転車 クロスバイク』
「お、1等だ」
「1等にゃ!? アレ、貰えるんにゃ!?」
店の中に飾ってある自転車。調べたら定価は3万円ほど。
くじをカウンターの店員に渡して、
「お客様、お家はお近くでしょうか?」
「いや。少しかかる」
「郵送もできますが1100円かかってしまうんですけど・・・・・・」
「それなら・・・・・・アカリ、この自転車いるか? 俺は乗らないから」
「いいんにゃ!? ほんとにいいんにゃ!? あとで返せとか言われても返さないにゃ!?」
「いいよ。鍵とかライト買ってつけて、乗って帰ったら?」
「にゃ! 行ってきていいにゃ?」
「じゃあ今日はもう帰るか」
ちなみに俺は数年間の遠征で結構上位賞を貰っている。カタログギフトとか高級掃除機とかドライヤーとか。それらもらい物は全部家で使っている。
俺は今のところ自転車に乗ってどこかに行くようなこともない。家から徒歩3分圏内にコンビニもあるし、スーパーも電車で5分だから。
わざわざ売って金にするのも手間だし、アカリが普段使いするのならばそのほうがいい。
ホームセンターまでアカリの乗ってきた自転車と当てた自転車の2台で向かった。
「すげぇ乗り心地いいにゃあ。ママチャリとは大違いにゃ」
「友達に自慢するにゃ~!」
アカリが嬉しそうで当ててよかった。




