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【異世界転移】をやってみた《4》 ―旅のおわり―  作者: とり
 第4話 はじまりの庵(いおり)
56/82

 56 スローモーション




   〇まえの回のあらすじです。


   『こどもの【キングボア】をみつけたユノたちのうしろに、(おや)の【キングボア】がせまる』













   K=1/2mv²


 という公式がユノのあたまに浮かんだ。

 物理(ぶつり)授業(じゅぎょう)でならった方程式(ほうていしき)のひとつである。


 Kは『運動(うんどう)エネルギー』(J(ジュール)

 mは『質量(しつりょう)』(kg(キログラム)

 vは『(はや)さ』(m/s(メートル毎秒))のこと。


 端的(たんてき)にいえば、物体(ぶったい)の運動エネルギーは、(おも)ければ(おも)いほど(おお)きくなり、

 また、(はや)ければ(はや)いほど、べらっぼうにつよくなるというはなしである。


 おおよそ理数(りすう)系に関しては()てばちになっていたユノは、ぶっちゃけ『質量(しつりょう)』と『(はや)さ』と『運動(うんどう)エネルギー』の関係性について、「よくわからん」という印象(いんしょう)だった。


 だが。


(いまなら、ちょっと分かる気がする……)

 危険信号を(のう)発信(はっしん)しつづけているためか、スローモーションに()える()(かい)のなかで、ユノはかつて(ほう)()していた『物理学』への認識をあらためていた。


 K=1/2mv²


(よう)は、うごいているものの持つちからは、かるいものより(おも)いもののほうがつよい。なんなら、『(おも)い』ってだけで、ゆっくりうごいていても、ぶつかられたら相当なダメージになる)

 振りかえるなり、視界にとびこんできたトングラムほどもありそうな巨大(きょだい)イノシシに、ユノの生存本能(ほんのう)が『闘争(とうそう)』か『逃走(とうそう)』かをせまりつづけるなかで――もしくはせまりつづけるがゆえに――ユノは()した。


 K=1/2mv²


(……そして、スピードが高ければ、もし(かる)くっても、とんでもないちからになる)


 どうして元の世界で高校生をやっているときに、これくらいの直感(ちょっかん)がはたらかなかったのか。

 自分のカンのにぶさをなげきつつ――ユノは現在、()()にちかづいてくる危機について、理屈での説明(せつめい)()たした。アドレナリンの出まくる思考のなかで。

(でもって、何百(なんびゃく)キログラムもの(おも)さとスピードを()ねそなえたものと人間がぶつかったら、ひとたまりもないってこと!)

 ながく突き出た(はな)づらに、(きば)をふたつ()ばした(おお)イノシシ。

 暴走(ぼうそう)したダンプカーよろしく、(すぎ)(ばやし)(くさ)()をなぎ(たお)しながら突進してくる黒い魔物(まもの)【キングボア】に、ユノはなすすべなく立ちすくんだ。







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