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57 ユノ、飛ぶ
〇まえの回のあらすじです。
『ユノが、物理の授業のおさらいをする』
ごっ!
振動がユノを直撃した。
極度の緊張に神経がマヒしたのか、からだがフッとかるくなる。
(死んだ――)
のだろうか。
全身が、たかく、たかく飛翔する。
まるで肉体から脱け出した魂が、死後の世界にみちびかれてゆくように。
「ちょっと」
フローラの声がする。すこしはなれたところから。
昇天していく感覚に身をゆだねたまま、ユノは衝撃のときに閉じていた目をあけた。
「フローラ。きみも死んじゃったのか」
「かってに殺してんじゃないわよ」
「だってさあ」
「あしもと、見てみなさい」
ちょいちょいと指差されて、ユノはしたを見た。
一〇メートルほどさきに、夕暮れの地上がある。
そこには体高三メートルはあろう大イノシシがいて、ユノとフローラがさっきまでいた林木のあたりを、くろがねの巨躯で消しとばしてしまっていた。
ユノは、自分たちが、やさしいつむじ風につつまれているのに気がついた。
「そっか、魔石でうえに避けたんだ」
「ご明察」
フローラの手のなかで、緑の石がよわよわしく点滅する。
すとん。
すとん。
と、ユノとフローラは、飛ぶちからをうしないつつあるからだを、おなじ高木の枝に着地させた。




