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【異世界転移】をやってみた《4》 ―旅のおわり―  作者: とり
 第4話 はじまりの庵(いおり)
48/82

 48 布石



   〇まえの回のあらすじです。

   『ユノが【はじまりのいおり】でやすむ』








「どう(おも)う?」

 (りゅう)寝所(しんじょ)である(おお)きな【樹】からはなれたところに、こぢんまりとした『花壇(かだん)』がある。

 人の世界では()られない(やく)(そう)や、(こう)(しん)(りょう)を育成しているいわゆる自家菜園も()ねた(はたけ)だ。


 これの所有者(しょゆうしゃ)であるセレンは、さきほど【ハルモニア】と【精霊の巫女(みこ)】が持ってきた植木(うえき)(ばち)から、魔法(まほう)(はな)(なえ)を取りだし植えなおした。

 妖精(ようせい)の手は(つち)に触れてよごれていたが、(ねん)じるとたちまちのうちに『(せん)(じょう)』される。

 まるで土埃つちぼこりが意志を持ったかのように、手から指先へとあまさずながれ()ちて、ひとかけらもかのじょの白皙はくせきにのこさず、地面(じめん)へと(かえ)るのだ。


「どうって?」

 セレンに訊かれたパンドラは、ハルモニアたちが可及的(かきゅうてき)すみやかに(はこ)んできた(おけ)(みず)を持ってまえにすすみ出る。

 手水(ちょうず)を取って()(ちょう)の少女は石で(さく)のされた『花畑(はなばたけ)』に水を()く。

 鳥の(つばさ)を背に持つかのじょに、セレンは質問のさきを告げた。


「ユノさまがなぜここに来たのか。よもや観光というわけではないでしょう」

「わたしはなにも聞いてないけど」

「分かってる」

 パンドラが、ユノの訪問(ほうもん)をセレンに伝えたのは、一週間(いっしゅうかん)ほどまえである。そのときには別段、なにかしらかれに意図(いと)があって来るのだとは疑っていなかった。せいぜいが「精霊の巫女(みこ)への思慕(しぼ)のためにおとずれるのだろう」くらいにしか考えていなかったのだ。


(でも違う)

 ユノが【霊樹(れいじゅ)(さと)】に足をはこんだのには、ほかに理由(りゆう)がある。

 【善の(かみ)】たるハルモニアへの好奇心か。あるいはそれさえも、べつの目的のための「布石(ふせき)」でしかないのか。


「……ときどき、取りとめもないことを考えるよね。セレンは」

「かもね」

「ユノさんがなにを(たくら)んでると(おも)うの?」

「……」

 (みず)()びて、(かこ)いのなかの花々(はなばな)色彩(しきさい)ゆたかな花弁(はなびら)たまのような(しずく)()せていた。

真偽(しんぎ)はどうあれ」

 セレンは回答をはぐらかす。

「わたしはかれに脅威(きょうい)を感じることがある……ごく(たま)に、だけれど」






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