44 すでに投稿したエピソードと、くいちがう内容があるかもしれません。
〇まえの回のあらすじです。
『リリコがユノをばかする』
はじめに虚無があった。
虚無の果てにひかりが誕生し、それはやがて一頭の竜をかたちづくった。
竜は金色にかがやいていた。
まばゆい黄金のひかりは、無限の虚空に混沌とした波をもたらし、暗闇に日と大地と空を生みだした。
竜は創造した野辺にひとつの庵をつくり、そこを自分のすみかとした。
幾日も暮らすうち、竜は精霊と妖精をつくり、これに世界の管理をあずけた。
精霊は万象の根源たる波をつかさどり、これをもって大風や地の鳴動、雷鳴をあやつった。
この御業を魔法と呼ぶ。
妖精もまた魔法をあやつり、火や水や土の健やかなることを手伝った。
この時には未だ夜はなかった。
竜と妖精と精霊だけがあり、世界はひかりに満ちていて、たいらかだった。
やがて、ひかりさすところに影ができた。
竜の影は黒い竜を為し、彼のものはみずからを破壊者と呼んだ。
影は金の竜を真似て、みずからの眷属をつくりだした。
それが魔物である。
魔物のなかには、妖精に似たすがたのものもいた。
それは魔族と呼ばれ、かれらのなかから魔力を持たない生きものが誕生した。
魔族でありながら、動物的な形質もなく、魔法の才もない。もしくは、いちじるしくひくい。
かれらは「人間」と名付けられた。
にんげん(かれら)はすべての生きもののなかでも最も劣等としてあつかわれ、この世に悲憤と、不和と、猜疑と、謀を生みだした。
※すでに投稿したエピソードとのくいちがいがあるかもしれません。加筆修正は、今作の完結後におこなう予定です。
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