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34 エリュシオンの野のような
〇前回のあらすじです。
『ユノがフローラのインチキの片棒をかつがされる』
ハルモニアの家出していガケの森から出て、三人は天に浮く島々を【透明な橋】をわたって移動した。
フローラの案内で、ユノはこの『天の郷』たる雲海と陸の西へいき、澄んだ滝のながれる大陸につく。
みどりの平原と高野。さながら『エリュシオンの野』のように幻想的で平穏で陽光にあふれるわずらいのない原っぱに、葉の馥郁たるにおいが満ちている。
どこまですいこんでも厭くことのない、本能が渇望してやまないような自然物の恩恵を全身にあびる。
高野をあるいてほどなく木々が増え、すぐに濃緑の森にはいった。
がさがさと木のえだや草をかきわけて奥ふかくへとすすみ、すると急に視界があける。