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【異世界転移】をやってみた《4》 ―旅のおわり―  作者: とり
 第2話 セレンのなくしもの
21/82

 21 ユノとドラゴン





   ・まえの回のあらすじです。

    『ユノが【妖精ようせいの世界】で、こどものりゅう出会であう』










 【りゅう】はふわりとはしらのうえから飛んだ。

 金色のつばさがぱたぱたとせわしなく動く。

 おむつをつけた身体が、くるくるユノの頭上ずじょう旋回せんかいした。

 どすん。

 黒いかみに、金の小竜こりゅうが着地する。

 ユノのあたまをりものがわりに、みじかい両足りょうあしでしっかりとつかんでのしかかる。

「おもい……」

 ぐきりと首をかたむけたまま、ユノは武器を取ることもせずに立ちあがった。

 両手りょうてを草地について、ゆっくりひざをのばす。

 かたぐるまのかっこうになっていた子どもの竜を、くろうして頭部からひきはなす。

 だっこの要領ようりょうのまえに持ってくると、竜はこちらの気も知らずに「よっ」とあいさつよろしく、みじかくふとい前脚まえあしをあげた。

 ユノはあいてを凝視ぎょうしする。

(フローラ王女おうじょやアテナ王女の言っていた【黄金おうごんりゅう】って、この子のことかな?)


 以前、王都おうと【ペンドラゴン】の王城おうじょうで、ふたりの姫君ひめぎみからきいたはなしをおもいかえしながら、ユノは考えた。

(でも、『かみさま』っていうわりには、なんかたよりないよなあ)

 おむつしてるし。

 人間の子どもでいえば二歳にさいくらいのおおきさのドラゴンは、どこから調達ちょうたつしたのかかみおむつをはいている。

 とはいえいままで遭遇そうぐうしてきた【モンスター】には、「竜族」とべるような造形のものはいなかった。

 あえて言えば、さきほどわかれた【サラマンデル】がその系統にちかい。が、彼らの【メルクリウス】における分類ぶんるいは、『爬虫類はちゅうるい』――『トカゲ』に属する魔物まものである。

「ぎゃぎゃっ。ぎゃあ」

 りゅうはじたじたとあしを動かした。

 ユノの手からのがれる。

「あっ」

 つばさを動かして、ふいっとどこへともなく飛びはじめる。


ってよ」

 ユノはりゅういかけた。おもえばこの天上てんじょう島々(しまじま)の、どこを行けばいいのかさっぱりけんとうがつかないのだ。

 ユノのいく場所ばしょは【霊樹れいじゅさと】と決まっていた。

 しかし光と雲の世界には、数多あまた小島こじまといくつかのおおきな陸地がある。

 そのすべてに、ゆたかな森と緩急かんきゅうのあるおかきよらかな滝や川が息づいていた。

 くるり。

 竜がふりかえる。


「ぎゃあ、ぎゃっ」

 くいっ、くいっ。

 ちいさな金の前脚まえあしが、うしろの少年しょうねんを手まねきする。

 ユノは駆けていたあしを止めた。

(うげっ)

 自分がいかにちいさな陸地にいるかをおもい知ったのだ。

 あのままいきおいにまかせてはしりつづけていれば、足をふみはずして雲間くもまにおちていただろう。

 いちメートルほどさきに、ガケのふちはあったのだ。

 そのそとがわには、ずっとはなれたところにしまがいくつもある。しかし、はしでもなければ到底たどりつくことはできない距離きょりだった。


「あぎゃぎゃぎゃっ」

 はやくしろ。

 と言いたげに、りゅうが『そら』をたたく。

 一見いっけんとうめいな、空気をぶっているふうにもえたが、たたいた衝撃しょうげきでかすかにふるえたそれは、光の屈折によってゆらゆらとオーロラめいた色あいになみ打った。

 ユノはおそるおそる、七色なないろがゆれるとうめいなみちのはし――がけっぷちまでのびる足場あしばにつまさきをのせる。

 ブーツの底が、いちどたよりなくしずみこんだ。

 すぐに、まるでフウセンのうえをあるくような、弾力だんりょくのある感触かんしょくがクツのうらをしかえす。

 これならあるけそうだと息をつき、ユノはえない【みち】をすすんだ。

 竜がふたたびまえをき、案内あんないを買って出るように、雲のうえに浮かぶいくつもの陸地へとすすんだ。






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