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10 神剣と杖
・前回のあらすじです。
『ユノが【ファブール】の惨状を目のあたりにする』
ユノは三頭のなかで、比較的冷静にみえる刀傷のトカゲ男――ヨルムンに焦点を変えた。
「こんなの、ボクにどうしろっていうんだよ」
「【エクスカリバー】を貸してほしい。それが無理なら、つかってこいつを出してやってくれ」
ヨルムンは硬質な爪の生えた前肢で、クイとファブールのしっぽを差した。ユノは片眉を上げる。ヨルムンは彼の疑問に気づく。
「あの【神剣】には、空間を絶つちからがあるんだ。【霊樹の杖】もそう。まあ、かなり強引に力場をゆがめることになるんで、人間にはその【ひずみ】をくぐることは、できないんだけどよ」
「はあ……」
【神剣エクスカリバー】も、【霊樹の杖】も、妖精の女族長セレンが所持している。剣のほうは、ユノがたのんであずかってもらっているだけだが。
(ひずみをむりに通るのがキケンだってのは、セレンさんからも聞いたな)
なんでも、人間が飛び込めば、よくて廃人。悪くてなかみと外皮がひっくりかえって出てくるとか。