10/25
行間2
忘れる事などできなかった。
時が解決してくれる、そう思ったときもあった。
しかし、無理だったのだ。表層でいくら平気な顔をしても、もう気にしている余裕など無いといくら言い聞かせても無理だったのだ。
どうしても諦められなかった。
家族が生きていることは無いだろう。それでも、あの家に帰りたかった。
そして、憎かった。家族を奪ったあのイレイザーが。あの業火が。あの街が。
だが、自分から動こうとはしなかった。
イレイザーを動かす才能もあった。レジスタンスに入れる機会だって何度もあった。
それでも動かなかった。
分かっていたのかもしれない。
自分にはどうする事もできないと。
結局、諦めていたのかもしれない。