change5 私は一体、何をしているのでしょうか?
私は一体、何をしているのでしょうか…。
悠が驚いた顔で私を見下ろしている。
私はというと、自分でも自分の行動に驚いている。
なぜなら、今まさに外へ出ようとしている悠の制服の裾を、私が握っているからだ。
「…春音?放してくれると助かるんだが…?」
「え…?あ!ご、ごめん!!」
私は慌てて悠の制服から手を放す。
そして、自分の行動の恥ずかしさで俯く。
私…何してるんだろ…。
「春音」
悠の声で顔をあげると、悠の顔が目の前にあった。
「な、何?」
「…いや。なんでもない。気をつけて学校来いよ。今は女だということをくれぐれも忘れないように」
そう言い、私の頭をそっと撫でると悠は出て行った。
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思わずその場にへたり込む。
私…何してるんだろ…。
時計を見るとAM7:14と表示されていた。
私もそろそろ行く用意をしないと…。
と、玄関をあとにし、リビングへと戻ると、一人の幼い女の子がいた。
どこぞで見たことがあるシルエット。
何だろ、この既視感…。
そして、その子が振り返った瞬間。
「ああああああああぁぁぁぁぁぁぁあああああああああ!!!!」
私は、近所迷惑という言葉をすべて投げ捨てるほどの大きな声で叫んだ。
それは、私の体をこんな風にした張本人。
マジョ子だった。
「あ、元気そうでなによりでしゅ」
マジョ子は無邪気に笑う。
しばく…コイツだけは…!
「何しにきたのよ!?」
私は一歩、また一歩マジョ子へと近寄っていく。
「マホウがちゃんときいているか、確認しに来ただけでしゅ」
「へぇ…。で?この魔法、はやく解いてくれない?すごく迷惑してるんだけど?」
「いやでしゅ」
即答かいっ!!
ええい。もうこうなったら…
「力づくでも解かせる!!」
と、マジョ子を押さえ込もうとマジョ子に触れた次の瞬間。
マジョ子が私の目の前で、幼女から18歳ぐらいの男になった。
「な!?」
男の身長は、悠よりも少し高いくらいだろうか?
寝癖のようなボサボサの漆黒の髪に、シルバーブルーの瞳。
さらに、左耳にはピアスに、漆黒のロングコートを羽織っていて、誰がどう見ても魔王様のような出で立ちだった。
「ったく。やっと元に戻れたか」
男は前髪をかき上げる。
「あの…」
男が私を見下ろしてくる。
「お前は…あの時の…」
「?」
私は訳が分からず、ただ男を見ていると。急に男が私を押し倒してきた。
「痛っ」
床で思いっきり背中を打った。
頭は、男の大きな手が守ってくれたようだった。
「な、何!?」
「お前、名は?」
「はぁ?」
「名はなんという」
「…春音」
「そうか…」
なんでこんなこと聞いてくるんだ…?
そもそも、どちら様…?
「で、あなた誰?」
「………ョ子」
…は?
今、なんて言った?
「マジョ子」
私は耳までおかしくなってしまったようです