蒼白
「理由は……言わずともわかるな?」
「い、いや……ど、どういうことだっ!?」
「簡単な話ですよ。最初から皆さん聞いてたんですよ」
「なっ……」
私は部屋の壁に触れると、廊下のほうからトン、と音が響いた。
「!?」
「集音魔法と気功の応用です。この部屋全体をマイクのような状態にして、
城全体に部屋の中の出来事が響いて伝わるようにしたんです」
「そ、それじゃあ、まさか……」
「全部、聞いていたんですよ、皆さん。ベルグマン王子も……恐らく国王も」
「!!」
アルベルト王子は膝から崩れ落ちた。
顔色は真っ青で、それが抵抗の意思がないことを表していた。
…………
3日後には私達の全ての取り調べが終わった。
王宮に侵入し、王子の自室にまで押しかけたことに多少のお咎めはあったものの、
アルベルト王子の計画を暴いた功績、
シンシアさんの無実の可能性、
そして、ラン兄さんの働きかけにより、無罪放免となった。
5日後、アンヌ王女の事件にアルベルト王子の関与が判明、
また、裁判でも裏で手を回していたことがわかり、
再調査の結果、シンシアさんのアリバイが立証された。
7日後、略式裁判ながら、シンシアさんに正式に無罪の判決が下る。
――――――アルベルト王子の取り調べは今もなお続いているそうだ。




