反論
全く訳がわからない。
どうしてこうもアルベルト王子は不用意に……
「――言ってしまいましたね?」
「……え?」
私がかけた偽装魔法を相方は自ら解いた。
「シン……シアっ……!?」
あえて、アイナさんに偽装したのは誘拐がアルベルト王子の手によるものなら、
必ずボロを出すと思ったからだ。
「あなたの計画は暴かれました!」
そう言って、シンシアさんは人差し指を突き出した。
「なんで生きている、君がっ!」
「それは……」
今度は私がシンシアさんを制して前に出た。
「あなたの不正を暴くためですよ」
「不正、だって――?」
「そう、アンヌ王女の殺害の罪をシンシアさんにかぶせる――冤罪という不正を」
「――――ハ、なにを言うかと思えば!」
「どうしてです?」
「僕は、アンヌの殺害なんて認めてないだろ?」
「っ!」
「ですが、あなたはベルグマン王子の殺害計画を自白しました。これは一連の――」
「その証拠がどこにある?」
「……」
そんなものはない、だからこそ王子がボロをだすことに賭けた。
「それよりも君達だ。どうしてここにいる?」
「あ、あなたの不正を暴くためと言ったでしょう!」
シンシアさんは声を張り上げる。
だが、アルベルト王子はかぶりを振った。
「ふん、君達のような殺人犯とそれに手を貸す大罪人がなにを言う?」
「殺したのはあなたでしょう!」
「はは、立場を考えたまえ。殺人犯がそれを王子に言ったところで誰が信じる?」




