0-1.5 第十七銀河
前回の少し補足のお話になりますので短いです。
第十七銀河。
恒星であるアトラス星を中心に、マトラクス、ドルング、ガンリアンを含む十六の小惑星と一つの恒星で構成される天の川銀河の一つ。
アトラス星の光は、太陽系の中心にある太陽と違い炎ではなく、惑星中心のエネルギー核から噴出する魔力エネルギーを媒介にした魔力光。継続式自然魔方陣『ヴァイス・リヒト』によって発せられている光であり、その光は二光年先にまで届くとまで言われる。
そんなアトラスを中心としている為か、他の惑星にはアトラスに近い惑星から順に強い魔力核を有し、大地に魔力を発生させている。
故に、すべての惑星の人間には魔力適性がある。
――――――が、全ての惑星が魔力を使った技術を習得したわけではない。
第七惑星のマトラクスがその一つ。
マトラクスはその惑星環境の性質上、険しい山々が多く人の住める場所は限られ、快適とはいかなかった。
人は快適な生活を求めたが、魔法技術を習得する時間があるほどその惑星での生活は生半可なものではなかった。
そんな彼らに現れた救世主―――機神『マキシマム・マキ・マドラ』。
その神は機械学に精通する神であり、彼の与えたものも、山々から採取できる鉱石を利用する機械工学の知識であった。
マトラクスで採取される鉱石は、地下の魔力が火口へと続く多くの細道を通る際に地面へ残していく魔力を吸収しほぼ全体である89%を魔力が形成する特殊鉱石。その特殊性により、鉱石自体を使用した機械は、エネルギー源の仕組みも少し変わりその表面から返還された魔力を源にしたシステムが開発され、永久的な機関が完成した。
対して、第三惑星ガンリアンを含むその他の惑星では魔法技術の開発が進んだ。
魔法技術、と一口に言ってもその方向性は千差万別。
魔法工学、魔動学、魔道生物学などなど……。
ガンリアンはその中でも、魔法工学に力を入れた。
マトラクス程ではないにしても、魔力を含む鉱石は存在し、それを魔法+工具によって加工し『魔法機械』・『魔導具』の体系が完成された。
そんな二つの惑星に共通することは、同時期に高い技術力がさらに成長ししかし惑星内の資源では到底足りることわけがないという予想がたち、宙へと進出する手法がほとんど同一であったことだ。
それは宇宙戦艦と宇宙戦用人型稼働機構。
まず彼らは互いに自身の惑星の両隣にある惑星を侵略した。
いや、侵略したという言葉には語弊があるだろう。ガンリアンとマトラクスの両隣の惑星には知的生命体が存在しなかった。
しかし人類が生きるには十分な環境が整っていたため、そこをすぐに侵攻開拓し、第二、第三の母星とした。
さて、そこで止まれないのが人類である。
彼らはさらに両隣の惑星へと足を伸ばした。
結果、マトラクスの更に向こうの第九惑星は、すべてが砂漠に包まれ資源が一切ない星であった。ガンリアンの更に向こうの第一惑星は、アトラスの魔力光により灼熱の惑星と化し、こちらは人の常住することのできるような星ではなかった。
必然、両惑星の狙いは互いの中心第五惑星へと向く。
彼らの最大の誤算は、その両惑星の軍営が会ったこと――――――――――――――――――――ではなく。
第五惑星に、知的生命体が存在していたことだった。
更に言えば、その知的生命体たちは、第十七銀河の中で最も魔法に特性を持つ生命体であったこともそうだろう。
大地より生まれ、神龍に愛され、アトラスのある限り命絶えないその生命体達。総称『ドルイド』。彼らの住まう惑星『ドルング』。
それら全てに、かの二つの惑星は大敗を期した。
その二つの惑星から派遣された戦艦の乗組員で生き残ったのは、僅かに一隻。
それにしても、ほとんどの部分が大破しそれぞれの第二母星までしか辿り着くことは叶わなかった。
この事件から彼らはかの星を不可侵の神域とし、一切の侵略を禁止する法を後世に残した。
そして、生き残った船団員の一人がその時のことを物語として出版し、ミリオンヒットとなった。
これが、彼―――マグリス・マキ・マライトの知る、三大妖精の物語が書かれた由来。
その中で三大妖精中大地の精はこう書き始められる。
『彼女は、大地の腕をもってすべてを潰し、樹海の剣をもってすべてを切り刻む。
大地に毀れた血を啜り臓物を食む。そして少女の姿の悪魔は高笑いする――――』




