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キング・ジョー Absolutely world in the goggles  作者: 蘭堂
Huge tower of mystery in the "Baongu"
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12:Holy Land which is not seen

 その頃ヴォルテスは、脱出用小型ロケットの狭いコクピットの中で、一人、膝を抱えて震えていた。

 彼女の周りは点滅を繰り返す無機質な電子機器が天井近くまで並び、推進部分から伝わる低く籠った音が壁を通して聞こえてくる。

 その中で必死にジョーが帰ってくるのを待っていた。まるでその姿は親に置いて行かれ、その場で泣くのをじっと耐えている小さな子供の様にも見えた。


 ジョーの類魂が、ヴォルティスと ノストゥラを生身の身体に戻した時、彼女達は肉体という繭から離れ『絶対領域』の存在を経験した。

 刹那であれ、彼女達は全てのエッセンスとして『絶対領域』を理解した(理解された)のだ。

 光、愛、思、知、美、祈、その全てが均しく永遠の世界。

 否、その永遠と言う時すら内包する存在の全て。あらゆるモノの経験と選択が、紡ぐ糸の様に絶えず変化を与え、生命の多面性という布を絶えず織り続けて行く世界。そしてその中で彼女達はジョーを通して 一つの変化の揺らぎ『可能性』を知った(思い出した)のだ。

 それが彼女の『約束』である。


 やがて彼女達はその『約束』を担う為に再び波動を下ろし『相対領域』に戻ってきた。

 しかし、委ねられた『絶対領域』の中で、その意識の影響を受けた事により『相対領域』に触れた途端、彼女達は大いなる分離と孤独を感じ、それが彼女達に深く傷となってしまった。

 だから彼女達は『約束』であるジョーに従事し依存する事によりその意思を保ことが出来た。


「ジョーさま……」


 彼女は、ジョーの姿を思い浮かべ必死に待ち続けた。






 ドーーン!!!


 ノストゥラが天井壁を透かし次のターゲットを狙い『バルチス‐MpA』を構えた時だった。

 破裂する様な強い閃光がジョー達の眼の前で起きた。


「!?」


 その光の中から、突然男の姿が現れた。


「ゴフッ!?」


 その男は、そのままジョーを殴り下ろす。ジョーは隙をつかれ、頬にその拳をまともにくらい後ろに飛ばされた。床を2回転しコンクリートの瓦礫に背中を叩き付けられる。


「ジョーさまっ!?」


 それを見たノストゥラは、すぐさま持っていた『バルチス‐MpA』を男に向けて撃つ。その瞬間、男が消えた。


「なっ!?」


 男は何故か急にノストゥラの横に現れ、そのままノストゥラの腰に蹴りを入れた。


 ドゥッ!!!


 重い蹴りだったが、ノストゥラは『バルチス‐MpA』の銃身で受ける、銃身がくの字に曲った。今度は銃底で反撃、しかし宙をきる、また男が消えた。


「逃げろノストッ!そいつは瞬間移動だ!」


 殴られたジョーが、口から血を出しながら叫んだ。男がノストゥラの真後ろに現れ、組んだ両手を振り下ろす。ノストゥラは頭の上で両手をクロスさせる。しかし、その衝撃で片膝を付いた。


 この男、ギャスターズ・ボルタはジョーが言う通り『瞬間移動」の特殊能力を持つザンブルのエリート兵士であった。


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