第19話:意外な告白
男子嫌いで鈍感な女子高生、蓮花はいつも遠くからさり気なく助けてくれる中学の同級生田中とは安心して会話ができるようになった。高校に進学し、田中とは真逆のタイプの瀬野と出会い・・・続きは本編でどうぞ・・・。
蓮花は職員室にSHRの資料を取りにきていた。
瀬野:お~、木内おっす!
蓮花:おはよ~。
瀬野:今日の放課後から文化祭の準備だろ?お前今日来るのか?
蓮花:まだ決めてない。
瀬野:来いよ。お前いた方が楽しいだろ。
蓮花:あたし?・・・あたしいた方が楽しいの?
瀬野:俺はな。
蓮花:・・・そう・・・じゃぁ・・残ろうかな・・。
瀬野:放課後な!
蓮花:(男子にとってはあたしは盛り下げ側だと思うけど・・・)
放課後―
クラスで文化祭の装飾品を制作し始め、瀬野はクラスの男子とワイワイ話をしていた。
蓮花:(今まで気にしなかったけど、瀬野って女子にモテる割にはあんま女子と話してる所見ないよね・・・だから余計矢野さんもあんな必死に聞いたのかな・・・)
美里:あ!!ガムテープ切れた~!
蓮花:あ、あたし売店で買ってくるよ。
美里:ありがと!頼むわ!
そう言うと蓮花は教室を出て1Fの売店へ向かった。
瀬野:美里、木内はどこ行った?
美里:ガムテ切れたから売店行った。
瀬野:そっかぁ。
1F売店ー
売店でガムテを購入した蓮花が教室に戻ろうとしていると・・・
田中:木内、何してんの?
蓮花:田中くん!これ?文化祭の準備。
田中:そうか・・。
蓮花:田中くんは部活もう終わったの?
田中:いや今から・・・木内見えたから、ちょっと抜けてきた。ちょっと・・・いいかな・・・。
蓮花:うん。
田中:あのさ、あの・・俺さ・・・木内の事、最初すげぇ不器用な奴なんだろうなと思ってずっと見てたんだ・・・けどな・・・木内と接していくうちに、気づいたらほっとけなくなってきて・・・
蓮花:あの・・・。
田中:・・・俺、中学ん時からお前がずっと好きだ。
蓮花:!!えっ!!
急な田中の告白に蓮花は驚いた。
田中:あの、だからってどうこうしたいとかそういう意味じゃなくて!木内の事助けたりしてたのも下心あってやってた訳じゃなくて・・・けど、話すキッカケは探してたかもしれない。
蓮花:うん・・・。
蓮花は、田中がみんなに優しいのは知っていたので、下心は無いと言葉で言われなくてもなんとなく理解できた。
田中:俺・・・ずっと木内は俺の事男として見てはくれてないだろうなって勝手に思ってて。本当はこういう事言うのもすげぇ迷ったんだけど・・・中学ん時みたいには、接する余裕もなくて・・・。
蓮花は真っ直ぐ田中を見て聞いていた。
田中:これから、また違った形で前に進みたいんだよ。
蓮花:・・・うん。
田中:男苦手なの知ってるのに、ごめんいきなり!!
蓮花:・・・ううん・・あの・・ありがとう。あたし、男子は苦手だけど、田中くんは中学ん時から苦手じゃないよ。ただ・・・なんか・・・急な事でビックリで・・・。
田中:俺、また告白するよ。そん時、俺の事を男として好きになってくれたら俺と付き合って欲しい。嫌われてなけりゃだけど・・・。
蓮花:・・・まさか・・・あたしこそ鈍くてごめんなさい・・・あの・・・新たに宜しく・・・ってこれでいいのかな・・・。
田中:うん!いい!
2人が話しているとマネージャーが田中を呼びに来た。
谷口(サッカー部マネージャー):田中くん!監督呼んでる!!
田中:お・・おうっ!
マネージャーはチラリと蓮花の方を見てグラウンドへ走って行った。
田中:じゃ、俺部活戻るわ。
そう言って、グラウンドへ向かった。
蓮花:あの、田中くん!部活頑張ってね!
田中:おお!
田中が去った後、後から声がした。
瀬野:・・・・ガムテ見つかったか?
蓮花:!!!瀬野!!何でここに!?
瀬野:いや・・・遅ぇなと思って。
蓮花:あーごめん!もう買ったから、教室戻るよ!
瀬野:・・・・。
2人はなんだかぎこちない空気のまま階段を上がって教室へ向かった。すると、蓮花が階段を踏み外しそうになった。
瀬野:おっと!
すかさず瀬野が蓮花の手を取った。
蓮花:フ~っ!セーフ!
瀬野:よく転ぶなぁ・・・。
瀬野が蓮花を自分の方へ引き寄せながら言った。
蓮花:ごめん、ありがと。
瀬野は何か言いたそうな、聞きたそうな表情をしながら、蓮花の手を掴んだままだった。
蓮花:瀬野・・・手・・・。
瀬野:あ、おう!・・・。
瀬野はそっと掴んだ手を離した。
瀬野:・・・教室戻るか・・・。
蓮花:・・・うん。