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終劇 狩った幻想と狩られた幻想
(ふむ、なるほど。そんな結末になったか)
上空の、さらにはるか上。宇宙空間ともいえる高さに、「それ」はいた。
先ほどまでつぶれていた目は、片や治り、もう一方も治りかけと言ったところだ。
そんな目を用いてその巨体は地上を眺め見る。
その目には、自らの妹を殺めた少年と、その少年に群がる大人たちの姿が映り込んでいた。
その少年の名は確か、「ゆーじ」とでも言ったか。
(あいつに悪い気がしないでもないが、カカ。なかなか楽しめたよ)
足止めという役割は間違いなく果たしたのだから、そう思ってもいいだろう、と身勝手に結論づける。
無論、今この場に、それを止める存在などいないのだが。
その後、瞬き一つで残りの治療を済ませ、最後にもう一度地上を一瞥する。視線の先では、ちょうど繭から人間達が出てきていた所だ。
その光景を最後に巨体は翼を広げる。広がった翼は特に何かを押すこともないが、巨体は進み始める。
(では、次に行くとしようか)
巨体は地球から離れ始める。地上にはまだドラゴンが残っているだろうが、もう増えることはない。
こうしてヒーローはついに、世界を救った。世界と人は救われた。
たった一人の守るべき存在を失って。




