表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ファンタジーハンター  作者: Who
幻想を狩る者
46/49

その13

「久しぶりダナ」

「なにを……」

「えー、少しぐらい話をしてくれてもいいじゃないカ」


開口一番、そいつはいつも・・・の調子だった。

が、その『いつも通り』が俺の神経を逆撫でた。頭には血が上る感覚がし、心はどんどん塗り潰されていく。


「……まぁいいサ。それにしても一人かイ? 途中までは色んな人がいたと思ったんだケド」

「…………」

「もしかして……もしかして、『俺に任せて先に行け』なんて展開ガ?」

「………………」

「うわーすごいじゃないカ、いいないいn」


それ以上、そいつの言葉は聞こえなかった。そこまでが、我慢の限界だった。

後から考えれば、それ以外にも理由はあったのかもしれない。気がつけば俺の体は、ナイフを抜いて飛びかかっていた。すでに目の前にはトカゲの顔がある。


「あああああぁぁぁあ”あ”あ”あ”あ”あ”!!」


その勢いのまま武器を突き出すも、体の一捻りで避けられる。それでもなんとか一撃見舞おうと、二三とナイフを振り回すが、その切っ先はかすりもしない。


「いいネ。いい敵意だ。それ・・もいい具合に馴染んでいるみたい、ダ!!」

「ぶっ……!」


続いての四撃目。それをくるりと体を回して避けられ、その回転を利用した蹴りが飛んでくる。見事なまでに攻撃を躱された直後だったこともあり、その蹴りは俺の顔面に吸い込まれた。


「かはっ!!」


蹴りを受けた体は、その勢いを殺すことないまま、入り口付近の壁に叩きつけられた。

当然、壁も硬くはなく、痛みはない。が、それでも殺しきれなかった衝撃が、体を駆け巡る。肺からは空気が搾り出され、喀血する。

壁から離れた体は重力に従い、今度は地面に叩きつけられた。


「ぐ……」


手をついて、立ち上がる。痛みはあるし、手も少し震えている。でも、ここで倒れるわけにはいかない。

悔しいが、あいつの言った通り、俺はみんなに託されてきたのだから。なにより、妹の、白奈のことも……。

そこまで考えてようやく。そう、ようやく僅かな違和感に気がついた。


「おや、ようやく気がついたカイ?」


動きが止まったのを見てか、そんな言葉が飛んできた。

そうだ。思い返せば違和感を感じる部分なんて、いくらでもあった。そもそも、どうしてドラゴンを倒そうと思った?

なぜ、白奈を助けることでなく、『それ』のためにナツメの手をとった?

違和感を感じる様な場面を思い返していくことでようやく、気がつく。


「まさか、あの感覚は……」

「正解、おみゴト。うん、君が感じていた黒いモノは、僕が仕込んだのサ。少なくとも僕が近くにいる時、君がそんな風に思える様にサ」


つまり俺が、ナツメの手を取り『桜花戦線』に参加したのも、ドラゴン共を見れば殺意が湧いたのも。その度に心が黒いモノに塗り潰されていく感覚、つまりは奴の仕業だった。これまでのことはほとんど、奴の掌の上だったということだ。


「くく……」

「……? どうしたんダイ」


思わず笑いが漏れる。

そんな俺の反応が面白くなかったのか、トカゲの声はどこか不機嫌そうだ。

ああ、そうか。確かにここは絶望するところなのかもしれない。だが、俺はそうではなかったらしい。

理由はどうあれ、俺は今ここにいる。倒すべき敵、助けるべき相手が目の前にいる。

ならば後は、するべきことをするだけだ。


「ああ、なるほど。君はそう考えるタイプカ。だったらちょうどイイ。もう一つの方もネタ明かしをシテしまおうか」


そう息巻く俺に、そんな言葉降ってきた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ