第21話:台風の目
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第21話では、ついに労働庁での調査が始まり、ミナとパベズが自らの声で真実を語る勇気ある一歩が描かれます。
木曜日、午前10時。ソウル地方雇用労働庁、第3調査室。
重い鉄の扉を開けると、古い紙の匂いと独特の重苦しい空気が一気に押し寄せてきた。
パベズは、震える手で自分がまとめてきた資料の束を強く抱きしめていた。彼の目は充血し、絶望と希望が入り混じった妙な光を放っていた。
「……パベズさんですね。こちらへ」
中年の調査官が、事務的な口調で私たちを案内した。
机を挟んで向き合った瞬間、パベズはたどたどしい韓国語で、自分がこれまで受けてきた不当な仕打ちを一つひとつ話し始めた。
給与保留の通告を受けた日、教授から浴びせられた暴言、そしてビザを人質に取られた脅迫……。
調査官のペンが、紙の上を激しく走り始めた。その音一つひとつが、まるで教授の権力に亀裂を入れるハンマーの音のように聞こえた。
「証人として来られたソ・ミナさんも、これらすべてを目撃されたということで間違いありませんか?」
私は深く息を吸い込み、ポケットの中の黒い手帳を握りしめた。
「はい。間違いありません。ここに、そのすべての記録があります」
私は手帳をテーブルの上に置いた。一瞬, 調査官の目が鋭く光った。
その時だった。私の携帯電話が激しく震え始めた。
画面には『ハン・ドユン教授』という文字が浮かび上がっていた。
「……出なくていいですよ」
調査官が冷静に言った。
「今は、あなたが話すべき真実にだけ集中してください」
一時間の調査を終えて外に出ると、冬の冷たい風が頬を刺した。しかし, 不思議と寒さは感じなかった。
「ミナさん……ありがとうございます」
パベ즈が深く頭を下げた。彼の目には、かすかな涙が浮かんでいた。
しかし, 私たちの戦いはここからが本当の始まりだということを、私は知っていた。
研究室に戻ると、教授室のドアが固く閉ざされていた。そしてその前には, 何も知らされていないふりをしてモニターを見つめている先輩たちの姿があった。
ボヒョン先輩と目が合ったが、彼女はすぐに視線を逸らした。
嵐が来る。
それも, これまで私たちが経験したことのない、すべてをなぎ倒すような巨大な嵐が。
私は自分の席に座り, 再び手帳を開いた。そして, 今日の日付の下に最後の一行を書き加えた。
『2004.01.08。ついに、火蓋は切られた。』
第21話をお読みいただき、ありがとうございます。
調査官の前で手帳を差し出したミナ。そして、その最中にかかってきた教授からの不気味な電話……。ついに動き出した法的な手続きが、閉鎖的な研究室にどのような波紋を広げるのでしょうか。嵐の前の静けさが、かえって恐怖を倍増させます。
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