№3冷たい雨
雨降る。
12月3日。
外はしとしとと冬の冷たい雨が降っていた。
ぽつぽつぽつ。
「うわあああああっ!」
碧はうなされ、ベッドから跳ね起きた。
「夢」
ちょっとだけ、ほっとする自分がいる。
時刻は朝の4時を回っていた。
「なんて夢だ」
彼はひとり呟く。
起き上がって窓のカーテンを開いた。
雨音が頭の中に響く。
「はあ」
彼は溜息をついた。
奇しくも同じ夢を同時間にふたりは見た。
環は3日ぶりに目を覚ました。
「・・・なんて夢」
上半身を起こし立ち上がろうとするが力が入らない。
「おはよう」
努めて明るい声で笑顔をみせる母絵美。
「・・・おはよう」
彼女はふらふらと立ち上がる。
「環っ。しばらく安静にしてなくちゃ・・・ね」
絵美は娘を背中から抱きしめ優しく言った。
「私、行かなくっちゃ」
「行くってどこに?」
母の返す言葉に彼女は驚く。
「みんなの所に決まっているじゃない。ちぇんじまいらいふの大事な時なのよ」
「環」
「なに?」
「もういいのよ。あなたはよくやったわ」
「・・・どういうこと?」
「お父さんとお母さんがみんなに言いました。これまでだって」
「・・・え」
「だから、ゆっくり休んで・・・ね」
「・・・お母さん」
「あなたが心配なの」
「・・・なんで」
「・・・なんでって、あなたの為に」
「私の為じゃない!」
「え・・・」
「それは、私の為なんかじゃないよ」
環は絵美を振りほどくと、パジャマのまま雨が降り続ける外へと飛び出した。
冷たい雨の中を。




