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№9再来

 闇環再び。

 

 11月下旬のことだった。

 翌日に壮行ライブを控えた環は、ダンスの振り付け練習の休憩中に、

「ちょっと出かけて来る」

 と、ふらりとその場を離れた。

 それからすでに30分が経っていた。

「まだ帰ってこないの」

「ああ」

 流石に帰って来るのが遅いので、碧、静、綺羅々は不安に駆られた。


 一方、環は虚ろな目でふらふらと町中を歩き、鬱蒼としたあの場所へと辿り着いた。

 そこは森の中にある神社、

「来たか」

 そこに居たのは消滅したはずの闇環で、薄らと笑っていた。

「・・・・・・」

「待っていたぞ。今こそ一つになる好機だ」

「・・・・・・」

「ふふふふ」


 綺羅々の胸のペンダントが怪しく光りだす。

「・・・まさか」

 彼女は駆け出し、碧たちも後へと続いて走り出す。


「環よ。生きたいか」

「・・・・・・」

「だが、今のままでは器は消滅しやがて魂は召される・・・分かるか」

「・・・・・・」

「お前は満足しすぎた。幸福すぎたのだ、満たされた器はやがて崩壊し成仏へと至る」

「・・・そんな」

「お前も分かっておるはずだ。思いとは裏腹に器がままならないことに」

「・・・どうしたらいいの」

「簡単だ。私とひとつになるのだ」

「・・・・・・それは」

「それしかないのだ」


 対峙する両環に背後から声がする。

「そこまでだ」

 綺羅々は雷切丸を鞘から抜いた。

 闇環は一瞥し、

「・・・邪魔だてするでない立花誾千代・・・ふふふ、今は神無月。神柱となった貴様の父道雪夫宗茂の後ろ盾の神力も無いのだ・・・とはいえお前は手出しが出来ぬ。我等が一つになるこの選択をとらなければ明石環はいずれ消滅してしまうのだからな」

「な!」

 碧は絶句し、静は固まる。

「怨霊め!」

 綺羅々は刀を上段に構える。

「また我を斬るのか?それもまたよかろう。だがその刃を振るえば後悔することになるぞ」

「・・・・・・」

「さあ、明石環、これからもこの世界を生きていくのであれば我と共に・・・」

「嫌っ!」

 環ははっきりと断った。

「なんだと、何故」

「私は私でありたい」

「馬鹿な、このままではお前は消滅するんだぞ。この世に未練・・・」

「私はずっと幸せ、未練なんて・・・ないっ!」

「おのれ!ならば力ずくよっ!」

 闇環は環へ乗り移ろうとする。

 その刹那、環から白く眩い光が発せられ、闇環ははじかれる。

「・・・なぜっ・・・」

「それはお前には分かるまい」

 誾千代は雷切丸を一閃し、闇環を完全に消滅させた。



 祓え。

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