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異世界呪われた救世主〜異世界召喚されたら呪いで女に。呪った奴はぶっ飛ばす〜  作者: 陽月純
第六章 寡黙剣士と邪神復活

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ホムラの豹変、そして決着

 ホムラとの決勝。突然ホムラの人格が変わった。まるで普段大人しい人が、車のハンドルを握ったら性格が変わって荒くなるような。そんな感じだ。


「さあ、行くよ! <リバースエッジ>」


 ホムラが初めてスキル名を唱える。特に変わった様子は見えないが、ジェダが殺さないように釘を刺していたのだ。何か強力なスキルに違いない。俺は警戒レベルを一段上げる。


 ホムラは魔剣を水平に薙ぎ払う。俺はそれを一歩下がり躱し、前へと出ると同時に<光迅>を放つ。光速の突きはホムラの顔面を捉え、その反動で頭が後ろに反れるが、お構い無しにホムラは上段斬りを放つ。俺はそれを覇者の小手で横に反らす。


「痛っ」


 ホムラの剣撃は反らしたはずなのに、俺は斬られていた。幸いにも顔が反れて、俺が見えない状態からの攻撃だった事で傷は浅い。だが、神器であるはずの勇士の闘衣が裂けている。それだけでもホムラの火力の高さが分かる。


 それにしてもだ。その斬られた位置がおかしい。上段斬りだったはずなのに、裂けているのはへそから胸までの位置。まるで下から斬り上げられたような跡になっている。


 再びホムラの剣が振るわれる。今度は右からの逆袈裟だ。俺は後ろへ飛び斬撃を躱したが、完全には避けきれず、掠り傷を負う。腰と左肩に傷がある。


「うん? 腰なら分かるが、何で左肩にも?」


 さっきもだ。上からじゃなく下から斬られていた。あいつの使ったスキルは、逆切りの刃を発生するものなのか。


「凶悪なスキルだな」

「もう気付いてしまったんだね」

「それにしても、随分と流暢に話すようになったじゃないか?」

「君のお陰だよ。こんなに楽しいのだから」


 やれやれだ。だが、理屈が分かれば対処出来ない事は無い。鋏で攻撃されていると思えば良いだけだ。それより問題は、少しずつだがあいつの剣速が速くなって来ているのと、脳震盪を起こせないことだ。剣速は、ワンテンポ速く動けば良い。攻撃は、麻痺も効かない。まさか、あの鎧、状態異常無効の効果が付いているのか?


 俺は右手に<誘眠>、左手に<毒手>をそれぞれ発動させ、ホムラに攻撃をする。防御に絶対の自信を持っているからか、避けようともしないから、簡単に攻撃が入る。だが、やはり両方共効果が無いようだ。


「ちっ。その鎧、状態異常無効が付与されているのか? それで脳震盪でも気絶しないんだな」

「正解。僕を倒すには、動けなくなる位のダメージを与えるしか無いよ。防御力も高いからそう簡単にはいかないし」


 つまり、俺はホムラに勝てないと言いたいのか。そんな風に言われると、黙っていられないな。


「要は、お前にダメージが入るくらい高威力で攻撃すれば良いだけだろ? 脳震盪で気絶しておけば良かったと後悔させてやるよ」

「僕の鎧を破る程のダメージを君が出せるの?」


 ホムラは、俺に質問すると同時に前へと出て、魔剣を突き出す。俺は体を左に半身反らし、その突きを躱し、ホムラの顔面に一撃入れる。


「ほら。そんな攻撃は効かないよ」

「分かっているよ。こっちが本命さ。<重竜撃>」


 ホムラが油断している所に、ホムラの左脇腹に拳を叩き込んでやる。ドゴッとこれまでと違う大きな鈍い音を立てた一撃は、しっかりとホムラにダメージとして入った。


「ぐぅ……。嘘、こんな威力出せるなんて」

「どうした? 効かないんじゃなかったのか? ほら、もう一発!」


 今度は顔面に<重竜撃>を叩き込む。再び大きな鈍い音が響く。今までこれ程のダメージを受けた事が無かったのか? 二発目の<重竜撃>を受けたホムラは俺に背中を向けて走り始めた。


「戦闘中に相手に背を向けて走るなんて。攻撃してくれと言っているようなものだぞ? <気弾>」


 走るホムラに向けて放った<気弾>が狙い通りホムラの背中に命中する。大きな爆発を起こし、ホムラは前に倒れてしまった。


「さっきまでの勢いは何処に行ったんだ?」


 ダメージとしては<気弾>は見た目程は大きく無い。倒れたのも走っている後ろから思い切り押されたような形になったからだ。


 その証拠に直ぐにホムラは起き上がり、こちらへ向き直る。


「距離を取りたかっただけだから。別に逃げた訳じゃないよ」

「剣士がそんなに距離を取ってどうするんだよ?」

「こうするのさ。奥義、雷駆―」


 ホムラは右足を大きく後ろへと下げ、前傾姿勢を取る。足に力を溜めているのが分かる。


「絶影!」


 右足を大きく踏み出したかと思うと、今までに無い速度で突進してきた。だが、対応出来ない速度じゃない。


「喰らうか」


 方向転換が厳しい距離で、俺は横に飛び退く。これで通り過ぎた所を追い打ちすれば良い。


 だが、ホムラはまるで磁石が金属に吸い付くように俺の方へと方向を変える。俺は直ぐにまた飛び退いたが、再びホムラの方向が俺に向かって変わる。


「自動追尾でもあるまいし。なんだよ!? その動き!」


 ホムラが剣を突き出す。その切っ先が、俺に届く瞬間、<瞬歩>でホムラの背後へと回り込む。流石に当たる直前に背後に移動すればホムラは対応しきれなかった。


「え!? 避けられた!?」

「避けただけじゃないぞ! <爆竜爪>!」


 左腕を犠牲にホムラの背中に<爆竜爪>を当てる。大爆発を起こし、会場の端まで吹き飛ばす。正面から壁に激突して、その場に倒れ込むホムラ。


「これなら流石に立てないだろう?」


 ホムラは動かない。だが、ジェダから試合終了の合図が無い。自分が召喚したから贔屓しているのか? そんな事を思っていると、ホムラが立ち上がった。


 ホムラは立ち上がってもその場から動こうとしない。動けないのか、それとも機を見て動くつもりなのか、ここからでは分からない。どうするか悩んでいると、漸くジェダの声が響く。


「そこまで! 勝者、アスカ!」

「終了宣言が遅いんだよ……」


 俺は警戒を解いて呟く。優勝が決まった事で大歓声が湧く中、ホムラの下へ近寄ると立ったまま気絶していた。気絶耐性があっても限界を迎えれば気絶するようだ。


 ホムラの肩を揺すると、意識を戻した。再び剣を構えようとするホムラに俺は試合が終わった事を告げると、納得したのか魔剣を消した。


「やっとこれで先へ進められるな」


 俺が今後の事を考えていると、表彰と祭りの閉会を兼ねた式が始まろうとしていた。

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