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[第4話]土魔法術師、王女さまを助ける。馬車の中で起こっていたことは[前編]

 さかのぼること少し前――。


 豪奢な装飾がなされた馬車の中。

 その中でひとり腰掛けるのは、可憐な貴族の娘。

 身にまとうは高貴なシルクのドレス。それに劣らず、きめの細かい白い肌。

 その肢体は貴族らしく肉付きが良く、ドレスの胸元を押し上げる豊満な胸は国中の男たちを虜にできる破壊力を持つ。

 そして青い瞳と黄金色のロングヘアーはその身に流れる気高き血を象徴していた。


 彼女は領地へ視察に出向いた帰りであった。

 その道中は穏やかなもので、何とも退屈だなと思っていた。その時までは……。


 ――ヒヒーンッ!

 ――ドーンッ、ゴロゴロッ、バキッ!


 馬のいななきが聞こえた後、激しい揺れが馬車を襲った。


「キャアッ! な、なんですの、いったい……!?」


 驚いた彼女は、窓から顔を出して外の様子をうかがった。


「姫さまーッ! どうか中に! 出てはなりませんぞーッ!」

「いったい何が起こったんですの? さっきの揺れは――。どうして止まったんですの!?」

「盗賊でございます! 我々が対処しますので、姫さまはどうか中に!」

「ひィッ!?」


 盗賊と聞いて、彼女は急いで窓を閉めた。

 汗をにじませながらも貴族然とした優雅な振る舞いで再びシートに座る。

 しかし、その手は震えていた。

 彼女も盗賊に捕まった娘がどんな目に合うか知らないわけではなかった。


「ああ、女神さま。どうかお救いくださいませっ……!」


 外から聞こえる怒号、そして金属がぶつかり合う音が激しさを物語った。


 ――キンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキン!


 だが、その音もしだいにまばらになる。


 ――キンッ……、キンッ……。


 と、その時。何者かが馬車の扉を蹴破って入ってきた。


「キャッ! どなたですの……?」

「おんやあ。こいつはべっぴんだぜえ! たまたま襲った馬車にこんな上玉が乗っていたとは今日はツイてるぜぇ」


 悪臭とともに現れたのは全身毛むくじゃらの大男。

 不躾に娘の体を舐め回すように見て、舌舐めずりする。


「いやっ、どうしてっ。外には(わたくし)の護衛がいたはずですわ」

「護衛ぃ? それはこいつらのことかぁ?」

「キャアアアアッ!」


 大男は腰にぶら下げていた剣を引き抜き、娘に突きつける。

 その刃にはべっとりと血がついていた。


 滴る血など気にせず、男はのそのそと娘に近寄る。


「い、いや! 近づかないでくださいまし! 私を誰だと心得て……」

「知ってるぜぇ。お前は女神さまがわしに寄越したご褒美だああああッ!」


 雄叫びをあげながら男は娘の胸元を掴むと乱暴に引っ張った。


 ――ビリビリビリ!


 シルクのドレスはいとも簡単に引き裂かれてしまった。

 ドレスの前面は大きく開き、秘められていたふたつの白き山が露わになった。


「ぬうぉおおおお! 何と美しき乳、そしてこの大きさ! この乳を吸えるわしの子供たちが羨ましいぜえ。目一杯、孕ませてやるからなああああ!」

「いやっ。いやあッ! (わたくし)には愛する殿方がいますのっ。いやああっ!」


 大男のごつごつした手が娘のなめらかな乳房を掴もうとした、その瞬間――。


「そこまでだ」


 馬車に入ってくるひとつの影。

 土色のローブをまとう、黒髪の青年。

 その名は土魔法術師エアルト。

ここまで読んでいただいてありがとうございます。

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