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46.特別編7 喫茶店

 まだ俺のターンなのか。それはいいんだが……ミオが来てもいいといったんだけど、俺は最後まで奴らを帰らせるように頑張ったんだ。

 し、しかし、奴らは余計に面白がって結局喫茶店にまでついてきてしまった。

 

 そうなのだ。ここはミオが働く喫茶店。英国風のアンティークな静かな店内にはカラス、ハト、猫が我が物顔で机の上でぐあぐあしている。

 店内の雰囲気をこれでもかとぶち壊すこいつらのことは俺の脳内からデリートするとしようか……。

 

「コーヒーをお持ちしました」


 ミオが相変わらずの無表情でコーヒーをことりとテーブルに置きカウンターへ引っ込んで行く。

 お、おおおい、ハト、突っつくなよ。絶対だぞ。

 猫の目がキラリと光り、俺のコーヒーが倒される危機を迎えた時、ミオがこちらに戻ってきた。

 

「猫さんにはこちらを」


 ミオがお皿に入れた牛乳を床に置くと猫の興味はコーヒーから牛乳へ移る。

 これで一安心だ。

 

「ミオ、俺とハトには水をくれ」

 

 カラスがえらそうにくあくあ囀ると、ミオは表情を変えずにコクリと頷き踵を返す。

 あれ、ミオ……こいつらの言葉が分かるのかな?

 

 今度は紙皿に水を入れて戻ってきたミオは牛乳の隣に紙皿を置いた。

 やっぱり?

 

「ミオ、こいつらが何を言っているのか分かるのか」

「はい。それが何か?」

「あ、いや。俺だけじゃなくてよかったなあと。どうも俺以外にこいつらの言葉は聞こえないみたいだったから」

「そうですか」


 ミオの反応は素っ気ない。でも今更ながら、カラスが喋るって変だと思うんだよな。

 俺の生活にそれほど支障がなかったから深く考えることはしなかったけど……いい機会だから確かめておくかな。

 

「ミオ、ひょっとして俺が知らない間に『別の世界へ逝った』のかな」

「企業秘密です」


 そ、そこは否定か肯定のどっちかをしてくれよ。

 話は飛ぶが、ミオが務めるこの喫茶店は不思議な力がある。その力とは「異世界へ逝く」メニューがあり、実際に異世界を体験することができるんだ。

 俺はこれまで何度もこの喫茶店から異世界へ旅立った。そのたびに思い出したくもない目に会うことになったわけだが……まあ、それはいい。

 カラスが喋る世界へ俺が知らず知らずのうちに迷い込んだんじゃないかと思ったんだけど、ミオが教えてくれないから真相は分からぬままか……。


「ところで、良一さま。本日は『逝かれる』のですか?」

「あー、こいつらもいるしなあ。どうしよう」

「ん、何だか面白そうだな。どこに遊びに逝くんだ? 青木」


 カラスが乗っかってきたー。異世界までお前らと一緒に行動したくないわあああ。

 なあんて思っていたら、ミオがほとんど拝むことができないいい笑顔で俺を見つめているじゃあないか。

 ドキドキしてしまうやろお。何て思っていたら、突如視界が切り替わる。

 

「一体どうなったんだ?」

「今回はサービスしておきますね。ご友人と楽しんでください」

「え、えええ。俺はミオと楽しみたい」

「……あ、あの。良一さま」


 ミオの両手を握り、しかと彼女のミステリアスな瞳を見つめる。

 彼女は少しだけ頬を朱に染め顔を逸らした。ちょろいん万歳。

 

「良一さま、また不穏なことを考えてらっしゃいましたね?」

「い、いや。ミオが可愛いなあって」

「……ま、まあいいでしょう。そんなに言うのでしたらついていきましょう」

「ありがとう。ミオ。でも、ここって……」

 

 俺は先ほどから目に入る真っ白いだけの景色へ頭を捻る。

 

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