ガルバニアの夜明けーー紅き反乱軍ーーその14
これまでのあらすじ
隊長を一人を倒した太一、頭数を減らす為に魔導師を狩っていたが。
第四隊長アル・ベン・シャイエブが襲っかかってきて、戦う事になった。
アルは魔導師部隊の教官でもあり、的確に振動操作の魔法でこちらを追い詰めてきたが、野暮用で戦いを離脱して逃げてしまった。
太一は意味がわからずにその場を立ち去って隊長を探しに戻った。
「隊長は何処にいるんだ…」
風を切りながら戦場を駆け回りながら俺は標的を探していた。
隊長を潰しておけばこの先の戦場を安全に運べるし、尚且つ王都攻めを楽にできるからだ。
俺は《天眼通》で強い魔力を探知しながら政府軍の歩兵と騎兵を倒して回っていた、すると同じ場所に二つの強い魔力を感じて、南西に向かってみると。反乱軍の兵士の原型の留めてない死体の上に立っている二人の影が見えた。
その姿はフランス人形の様な見た目の少年少女だったが、その手には巨大な戦鎌と明けの明星が握られており、血で赤黒く変色していた。
全身から子供が出せる訳の無いくらいのおぞましい魔力を垂れ流しながら、二人は天使の様な笑顔で俺に話しかけてきた。
「ねえ!お兄さん僕達と遊ばない?」
「私達今つまんないの、遊び相手になってくれない?」
少女が第五を発動し膨大な魔力を迸らせながら、巨大な空間を作り出した 。
(このガキ共隊長格か!)
俺は回避出来ずにその空間に飲み込まれてしまった。
「なんだ……此処は?」
その空間はごく普通の野原の様に見えたが、ある一点だけはとても不自然な所が存在していた。
(何故この空間に影が無いのか!空には確かに雲が有るのに、地表には影一つもない)
地表には一点も影が無い、そのあまりにも不自然な空間を見て動揺していると、足元の花に気づいた。
(この花はマリーゴールドか…この花は本来はこんな所に咲かないんだけどな)
花を触りながら、脱出するアイデアを練ってると。二人の子供が嬉しそうな顔をしながら、こちらに向かって走っていた。
「鬼ごっこの初めだよお兄さん!」
「私達に捕まったら負けね!」
武器を構えて思いっきり振りかぶりながら殺しにきた、俺は刀でいなしながら逃げていた。
「アッハハハハハ!今までの人みたいに早く捕まらないでね!」
男の子が身に似合わないくらい大きな鎌を振り回しながら、大声で笑って追いかけてきた。
強引に身体強化をして尋常じゃないスピードで追いかけてきていたので、俺もスピードを上げながら出口を探していた。
その時、空が曇り始めてきて雨が降り始めてきた。
(何で急に雨が降り始めるのか……そうか!これがあの女の子の魔法か!しかし、これでは殺傷能力が無いな…)
俺が考えながら逃げてる時に、三秒前に立っていた所に雷が落下した。
(封鎖環境に持ち込んで大量殺人出来たのはこれが理由なのか!しかし、特定の空間に持ち込んで天候操作するなんてまた高度な第五魔法を使うな。これは嬢ちゃんの魔法だろうけど、あのガキの魔法はなんなのか?)
俺は逃げるのをやめて男の子を魔法を探るために一度誘ってみようとすると。
違う魔力の雰囲気になった男の子が、思いっきり斬り掛ってきた。
「僕の魔法を受けてみなよォォォ!!!!!」
鎌を刀で受け止めてみると、俺の服に何故か異変が生じていた。
(何故か服が腐ってやがる…このガキは毒を操っているのか?もし雨に混ぜて降らされたら、めんどくさいぞ!)
気を使って吹き飛ばして距離をとってみると、やはり男の子の立っている所の花が尋常じゃないスピードで腐って行っていた。
「お兄さんわかった様だね、僕達の第五魔法に!」
「私達がコンビの魔法に勝てる訳はありません」
男の子が空に向かって大量の魔力をぶっ放して、女の子が雨を降らせ毒を混ぜて浴びせる、そうすれば封鎖環境だから雨を避ける事も出来ない、確かに合理的かつ効率的な戦術だ。しかしそれは一般的な兵士か魔導師だけにしか通用しない。
俺は気を煉る為に時間を稼ぐ事にした。
「僕達姉弟は戦場で生き残る為にこの技を身につけたんだ!お兄さんみたいな奴には負けるわけ無い!!」
「私はその為なら何でもしたの、それしか生きていくすべはなかったのだから!」
まるで駄々っ子の様に感情を出しながら、触れる物を全て腐らせる毒を纏った鎌を振るう弟と。針の穴を通す様に弟を避けて雷を落としてくる姉。
見事なまでのコンビネーションで攻め込んできているが、その高みまで到達するのにどれほどの人間の血を流してきたのか、この姉弟に苦しみと絶望を与えてきたのか。攻撃を受けてるとそんな気持ちが浮かんできて、悲しくなってきた。
「そんな消極的な攻めじゃ雨にやられて死んじゃうよ!!」
「もう諦めたのですか、それならさっさと殺してさし上げましょう」
姉弟が立ち止まってこちらを挑発してきたが、俺は不敵に笑って。
「お前達をお仕置きする準備は整えたぞ、さあガキンチョ共お兄さんがお仕置きしてやろう」
刀を仕舞ってデコピンの合図をしてやると。姉弟は一瞬キョトンとしたが、すぐに事態を理解し、怒りながら。
「やってみろよ!ポンコツ魔導師が!」
「すぐに黒焦げかドロドロにしてあげますわ!」
姉妹は激怒して魔力を増幅させ始めていた、しかし俺にとってそれは好都合な出来事だった。
(来な、ガキンチョ共。お前達が全力をぶつけたきた時、それが俺の一番のチャンスになる。見せてやるよ、内丹術の真髄を)
俺は一瞬のチャンスを掴む為に気を煉ながら、姉弟を見つめていた。
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