ガルバニアの夜明けーー紅き反乱軍ーーその⑨
これまでのあらすじ
城塞都市カロカソンーヌに潜入した、三人。しかし打開策がなく一日、また一日中と日を過ごし、一週間が経過していた。そこで、太一はゼフィーとジェーヌを夫婦で舞踏会に参加させて、自分は城主を拉致する、という作戦を立案した。
果たして成功するのか否か…!
「ステップ間違えてるぞ、こっちだ」
「わかってるわよ!」
シャンデリアが輝く豪華絢爛な舞踏場で、円舞曲を踊りながら、ジェーヌはゼフィーにエスコートされていた。
(こいつ、ちゃんと見てみるといい顔してるじゃない、……ハッ、何考えてるの私は!)
内心ゼフィーの事でドキドキしているのを知らずに、当の本人はハラハラしながら。
(ジェーヌはガチガチだが一様は踊れているのは驚いたな、こいつも何だかんだで顔は良いから絵にはなるな。さて、あいつは大丈夫なのかな?)
三拍子を刻みながら、二人は舞踏会を飾る花になっていった。
「ぶぇくしょん!」
くしゃみをした顔を擦りながら、地下にあった埃まみれの城の書庫室を漁っていた。
今すぐ捕まえに行っても捜索隊が派遣されて大騒ぎになるので、1時間経ってから探そうかと思っていた。
その間に俺は、王都のマジーノ壁の防御力やその構造の書いてある資料はないかと探していた。
「あれ……これは何の本だ?」
俺がある本を手に取ると、その拍子には見覚えのある絵が書いてあった。
「太極図だ!何でこんな所にこんな本があるんだ?内丹術は殆ど知名度がないはずだが…」
俺はページをめくったが、真新しい情報が無くて肩を落としそうになったが。あるページに目がついて見てみると、気になる情報が書いてあった。
『内丹術とは○へと至る為の秘術である。しかし、至れるのはこの世界で○○○になった者でしかなれない、その者は全てを総べ○すらも超えるだろう。だが忘れるな、力に溺れた者は決して良き結末は訪れない。思い上がらぬ事だ』
穴が剥げている場所があって内容はわからない場所があったが、興味深くなったので懐に入れて書類漁りを続けていったが。大した収穫が本しかなくて、悲しくなりながら書庫から出た。
(最初から期待してなかったし、少しでも有っただけマシかぁ……)
心の中で諦めをつけながら、懐中時計を取り出して時間を確かめると。ちょうど1時間経っていたので、そろそろ作戦に戻ろうと思って地上に向かう階段を上がっていくと。ちょうど階段の入り口の隣に兵士がいる事に気付いた。
(はぁ…どうしょうか。始末すべきかそれとも無力化して書庫に入れとくか?)
俺は10秒ほど考えた結果、無力化すべきと考えた。
「何だこの音は……おい!階段の所にいる奴出てこい!」
どうやら気づかれた様なので、咄嗟に近づいて。
「そりゃぁぁ!」
気をぶつけて神経に流し込み、人為的に失神させた。
「ふぅ、果たしてこれからどうしたものか」
失神させた兵士を書庫に入れてから、俺はこれからの動きを考えた。
(どうにかして、城主を外に引きずり出せないだろうか…出せたらさっさと確保して帰れるんだけどなぁ。甘くないなやっぱり)
城の使われてない部屋を通りながら、舞踏場の真上の部屋に訪れると。
そこから下が見えたので、覗いてみると。
「いえ私達はそこまで家を誇れるくらいの田舎の貴族なので…」
「いや、素晴らしい!そこまで謙虚な奥様何て見た事がない。旦那様も紳士であり、気取らない感じが素晴らしい!私が王都に言って爵位を一つ上げることをお約束しましょう」
ジェーヌとゼフィーの二人が城主の貴族にべた褒めされていたのが、見えたので。
(やっぱりお似合いだったなあの二人、俺の目はやっぱり正しかったな。俺もシャーロットと舞踏会に出てみたいけどなぁ)
心の中でクスッと笑いながら、しかしそのチャンスを見逃す俺では無かったので。
「テラスに行かせろ」
気を使って二人にメッセージを伝えて、誘導させる様に命令した。
「わかったわ!」
「あいよ!了解」
二人がこちらを向いて表情で返事をすると。
俺は窓を開けて、外から下へと降りていった。あいにく、夜が更けていたので上を見られても気づかれる心配は無かった。
「すみません、テラスでお話ししませんか?」
「熱くなっていたので、夜風に当たりながらでもお話をしませんか?」
「そうかね、そうかね。まぁ熱くなっていたから場所を移そうか。護衛!私について来なくていいぞ。存分に語り明かそうか、パーティが終わるまで」
上手く誘導しながら、城主を裏のテラスへと動かした。
「全く今の王都の貴族達は、あいつらは権力を得てから腐敗し切っている。最低限の貴族の威信くらいは保って欲しいものだ、叛乱軍とやらが今攻めて来ているらしいが、そいつらの方が幾分かマシかと思えるくらいのアホしか残ってない!奥方はどう思うかね?」
ジェーヌはいきなり、城主の貴族がデリケートな話題を出させて返答に困っていたが。
ゼフィーがとんでもない返答を返した。
「仮に貴方が、革命成功後の身分を保証してもらえるとしたら。叛乱軍に手を貸しますか?」
(ちょっと!何言ってんのよバカじゃないの!)
ジェーヌはこの爆弾発言を聞いて、終わったと思っていると。
「ふーむ…もし私なら手を貸すかな。この都市は攻めにも守りにも最重要とされている場所にある、ここを取ればどちらにも有利となる。今の状況からすると貴族について田舎者とバカにされていくよりも。今こそ新たな一歩を踏み出す時かもしれない…」
悪くない手応えを感じたので。ゼフィーはニヤリと笑いながら、話を発展させて。
「私達は実は叛乱軍に協力しているのですが、もし良ければ関係者をお会いしてみませんか?」
更に爆弾発言を続けて、ジェーヌが目を伏せたが。城主は少し沈黙した後に口を開き。
「わかった接触してみよう、いつ会えるのかね」
完璧に狙い通りに行ったので。小躍りしたい気分で、ゼフィーは続けた。
「今すぐこの場に来ますよ。ちょうど、真上から」
城主が真上を見ると、人型の影が降ってきて。自身の隣に着地した。
「どうも、ムッシュ・トランカヴェル。私が叛乱軍特殊部隊隊長タイチ・モノノベです」
俺は三点着地をしながら、トランカヴェル辺境伯に挨拶した。
「アポイントメントも無くて訪問してすみませんが、今からこちらの本拠地に来ていただけませんか。決して、悪くない話をしますよ」
俺は矢継ぎ早に質問をして、どう出るかを探った。
「わかった、だが少し待ってくれ。執事達にこれからの事を命令しないといけないからな」
トランカヴェル伯はそう言って、テラスから広間へと戻って行った。
「ゼフィー、良くやったなぁ!これで協力してもらえるなら、制圧して統治するより数倍楽になる」
「いやぁ言って見ればなんとやらって感じだったな、ハハハ!」
気分良く二人で笑っていると、何か強い闘気を感じたのでその方向を見ると。
「ヒュゴォォォォォォォ!!!!」
火の竜巻がこちらに迫って来ていたので、俺は二人に。
「案内はお前達に任せる、俺は後で合流する!」
「わかったわ!生きて帰って来てね」
「行ってこい、隊長!」
俺は火の竜巻に向かって。テラスの手すりを踏み台にしながら、抜刀して飛んでいった。
まともなバトルが入るので、これから頑張ります。
もし良ければご友人にも勧めていただけたら幸いです。




