様式美
簀巻きにされ…はしなかったけど、手早く始末を付け誉められてしかるべき私は、何故にか生徒会室で正座させられ怒られた。
覆面をハズした生徒会長は、長身短い金髪の優男であった。
他のメンバーも大概美形で、イケメンリア充は毛根死滅しろと怒りのあまり我が身が震えた。
重ねて言うが、私は全くの無実である。
だが、彼ら曰わく“様式美を無視するな”だそうです。
でも、様式美と言うのは、ある意味ズルくないですか。
なんか知らんが、そう言うものだから守らなくてはならないルール。
最強チートは、古語にすると《様式美》になったりするんでしょうか。
とにかく、あんましガタガタ抜かすから、目一杯の謝罪をしながら全力で魔力解放してやった。
破壊の力が無いので、魔力解放しても風が起きたりしてガラスが壊れるような事態にはなりません。
回王圈みたいになるだけで、不便です。
でも、不思議な事に何やら皆して青ざめて床にお座りになり、、私に椅子(上座)に座るよう勧めてきました。
そう言えば、私の肩書きは生徒ではなく、サンデックの図書館勤め…でも、サンデック侯爵家子息の招待客ですからな。
でも大公国では、サンデック伯爵扱いなのでした。
そして私は養父が元軍属な一般人です。
やんわりと断ったら、全員から座るように懇願され、みんな腰が地下に潜るくらい低くなった。
私は無害な一般人ですよ?
―不思議な事もあるものですね。
さて、前世の話になりますが、話す時には“お”が大事。
はい、様式美様式美。
おを付けると効果的だと知っている。
あら不思議、話す言葉がみな丁寧語になるんです。
なのにさっきから、一部が血涙でも流しそうな目で私を見ているよ。
逆に“お”がないと大変よ。
オナラはナラに。
《オナラ出た》
やめろよ汚い。
《ナラでた》
電車に乗りましたか、鹿はどうでしたか?
おっぱいは、っぱい。《おっぱいデカい》
そそりますな?
《っぱいデカい》
ちっぱいに聞こえかねない。デカいか小さいかはっきりせえよ。
奈良旅行とチッパイみたいに聞こえて大変な事態になりましたね?
では、逸れを踏まえてlesson1
《へい、ナンシー》
《オー、たけお》
―失礼しました。
▼
「少しばかり世間を甘く見てないかお?」
私は椅子に座り呟いた。
正座で土下座をする男達。
夕方ハザード実行委員会の面々らしいが私の知ったこっちゃない。
テーブルに置かれた箱の中身がシガレットチョコだったので一本拝借し口に咥える。
「ふぅん、いい香りだお…」
実行委員の肩がビクリと震えた。
「べつにー、どうしても仕切り直したいなら仕切り直していーよー?」
「ほんとうでs「人生ってそれが許されるのかな?」
喜色に声を上げた生徒会長の言葉に、プリンセススマイルを浮かべながら意味深な台詞を被せてみると、明らかに落胆した様子でうなだれた。「だからさ、私の参加を辞退させてくれるなら許しちゃうって話だお?簡単だお?」
はい、貴族主催のパーティーの事です。
「…ですが、それは認められないのです!!」
「拘るのだお。そう言えば、生徒会長は伯爵家の方だと伺ったのだお」
「ニーレンパーグ家ですが…」
「そ・こ・で・ちょ~~~っと貴族の権限とか特権使って家族を人質に取っちゃった感じで仕切り直しすれば、万事解決するのでは有りませんか?」
いま私良いこと言った感を出しながら手を叩く。
養父とか養父とか養父あるじゃないですか。
「バカいえ!あんたの家族なんか恐ろしくて誰が浚えるかっ!?」
「冴えない中間管理職にしか見えないんだからそこは勢いでいきましょうよ?」
シガレットチョコの銀紙を剥がし口に咥える。
…あ、苦い。これビターだわ。
しかもやたら堅いし、水飴じゃなくて飴意外固めれる物でも使ってんのか?
「苦いからキミにあげるお?」
「…っ!?」
生徒会長の口に突っ込ん事なきを得る。
素晴らしい、“スタッフが美味しく頂きました”で無駄がない。
会長顔赤いけど大丈夫が、もし風邪なら近付かないでおくれよ?
「とにかく、お化け屋敷の仕切りしたいんだから、素直に壱からやり直しましょうよ?」
そう、謎は未解決。
夕方ハザード準備期間2ヶ月。
セット使用時間約二時間足らず。
はははは、君たち全く報われないね。
まるで、引き篭もり時代の私みたいで悲しいわ?
人混みの中あからさま過ぎて誰も気に止めなかったのかもしれませんが、ギャンブル要素が高すぎた。
意外性を求めた結果あの配置は確かに正しい。
普通なら手に取れん。
だが、私はやった。
やり遂げた。
ラノベの流行る更に昔、昭和のギャグやコントレベルなら“SIMらSIMら、後ろ後ろ”からの気づかない程度の意外性は最早当たり前でしょう。
広辞苑の可能性も有りますが、そのうち古典ギャグとして歴史の教科書で習う時代が来るかも知れないですよね。
むざむざ宝むき出しに配置するからそうなるんですよ。
辞退するって言ってるんだから、やっちゃいなよY・O・U!
「無理です。不正が出来ないようリアルタイムで監視されてるんだ」
曰わく、過去にゴールや答えを教えて置いて、自分のパートナーとして参加させた生徒会役員や実行委員がいたのだそうな。
うむ、異世界オトゲあるあるですか。
でも、ヒロインを勝たせるために不正をするとかも今時は難しいのね。
大らか過ぎるこの学園でも、そうなるんのだから、ソレがまさに夕方ハザードの様式美になっていたんだろうか。
「それなら仕方ないですね。実行委員さん達が、いまから何をどうするかは分かりませんが、夕方ハザードの再編等はそちらでまた組んで下さい。」
大変ですからなんていたわりの言葉は与えませんとも。
まあ、私が主賓にされたくないから別の手を考えますし、エリックにOhanashiすれば、最悪どうにかインフル疫病とか風邪でお休みになるでしょ。
サンデックの図書館勤務してますから、憧れの晩餐会やパーティー参加も、私には簡単な話しじゃないんですからね?
へたしたら、社交界デビューになっちゃいますよ。
「ありがとう!みんな急いで企画を練るぞ。」
「「「「ありがとうございます女王様」」」」
―だれがボンテージか。
安堵したのか、息を合わせた寒いギャグで礼を告げ、役員達は作業に入った。
私も、何気に参加してタライや罠を仕掛けて難易度を上げてみた。
それから、監視役の中に宰相がいる事が判明。
どうやったら口封じができるだろうか?
これは難題だ。
無理かも知れない




