楽チンさ
念願のアサシン再登場
カーーーーー。
靴底のローラーが軽快な音を立てる
楽チン楽チン私偉い子。
手を引かれてるけど、必死に歩いてたさっきまでと違い、すれ違う人に愛想を振りまく余裕すらあるよ。
まぁ、普段履きの靴一個買わなきゃなんなくなっちゃったけど、やっぱり学園の工作室は便利だね。
必要な素材はタダで使えるし、マジでイミフな素材もあるから色々試せるのよ。
これぞ学園の長所よ。
ゴムだのなんだの普通はなかなか手に入らないからね。
それと言うのも、あの工作室の倉庫が研究棟から出た試作品置き場になってるおかげでもあるんだよね。
研究過程で出来た不良品が、研究棟では使い道を見いだせなくて、何も知らない生徒に使わせて使い道を模索する訳です。
自転車時代にはゴム系素材なんか無かったけど、今あるからなー。鎧に挟んでたのもタイヤには向かない奴しかなかたけど今プラスチックみたいのまであるし。
靴底のタイヤはウレタン的な硬質ゴムで快適よ。
タイヤ前後に二個のおかげでローラーシューズというよりローラースケートみたいな動き方出来るから便利。
その内踵を叩いて飛び出す構造にでもしようかな。
―りゅーじん〇ー!!
こんなネタわかる人いるだろか?
とにかく、キッチリ二時間頂きまして仕上げまして御座います。
なんか、諦めたような顔でエリックが飴ちゃんくれたのが印象深い。
エリックにも作ろうかと思ったけど激しく否定された上に、エリックが履いている靴の値段を考慮したら穴は掘れなかったよ。
エンチャント掛けられた靴が安い訳がないです。
はい
機会があれば靴底に取り付けるタイプをプレゼント致すよ。
エリックなら、エ〇ギアみたいな∞アモトスフィアも出せる気がする。
でも、ゴム系は元々の素材はなんの目的で開発しようとしてたのかまったくわからないねー。逆算しようとする私の方がおかしいのかね。
やたら薄いのばかり増えてたし、あれらが避妊具として大衆に使われる日がいつか来るのだろかね。
魔法あるから避妊具なんかないしの。
『なにあれ』
『なんか進化してね?』
後ろ向きになったりして、あっちこっち見てますからね。
すれ違う人みんな驚いてますね。
「アティあまり目立つ動きはするな」
「はーいはいはい」
大人しく肩に捕まる。
左手はエリックの右手に掴まれてるので右手をエリックの肩に。
…あれ、なんかある意味余計変な感じになった。
「…ちょっとアナタ、エリック君に失礼じゃありませんか」
待望の女の子出現したけど、髪の毛ピンクて…。
なんかイケメン二人も侍らせて仁王立ちし、見る見る距離が開いていく。
『ちょ。おまちなさい!』
「エリック話し掛けられたから止まらんと…」
「あれにアティは関わるな。ほうって置け」
振り向きもせずにエリックは進む。
年齢的にエリック世代のヒロインとかじゃないんすか?
「面倒な女は、アティだけで足りている」
面倒て。
『待ちなさい、そこの地味な女!』
クリームピンクでも、派手ならいいってもんでもないです。
学生に大切なのは、クマを飼う熱意と人生を棒に振るほどの恥じらいよ?
そんな事を口にしたらエリックに背中で否定された気がする。
…しかし彼女歩くの遅いな。
どこまでいっても離される。
廊下は走ったらだめ出しね。
私?私は自走せずにエリックに引きずられてるからセーフ。
発つ鳥跡を濁さずで、一応補助魔法で負荷軽減かけてるから廊下にタイヤ跡も残らないのよ~。
いくつかの壁に人型は残したような気はするけど気にしないよ。
でも、普通に可愛く見えたけどあんま好みじゃないんだ?
どんなのなら好みなんだろね。
でも、間違っても私だと言わないで欲しいと願う。
私出会った頃クマの飼育Inだったし、不健康女が好みとか泣けるからやめてね?
しかしハードル高いなー。
クラスメートは美人揃いでノーマークだし、乙女ゲー系ヒロインもダメときた。
後は残された道は出来る女くらいか。
もうエリックは在学中の恋は無理じゃね?
あ、王国貴族側に元々好みな人いるだけかもしんないか。
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「なんで落ちこぼれが学園をうろついているんだっ!!」
さて、養父元将軍の普通にしてればキリリと引き締まった顔をしてるといふ人がローラーで水平移動してるから注目されるのもやむなしなのだが、ここで少し場面が変わる。
教頭のお部屋、懐かしくも忌まわしき生徒指導室での出来事である。
詰まれた書類をなぎ倒し、辺り構わず盛大にわめき散らす。
ご存知、本人の知らないウチに人生の墓場ならぬ魔術師の墓場になうされていた教頭。
垂れた顎にはしわが増え細ブルドッグ具合に拍車が掛かっていが紛う事なきあの人である。
元軍務大臣や研究者は失脚し、大公国宰相に目を付けられたくない血統魔術師の一派からは一方的に縁を切られた孤独な男。
だが、魔術師として教え方が上手いので学園内での評判は悪くない。
「どうしたスルテカ」
「どうもこうもあるか、あの落ちこぼれが学園を堂々と出入りしているのに何故お前は平気な顔をしていんだ!?」
新任教師のアンダである。
粛正の最中に、大公様直々に学園への移動を命じられ教師に転身していた。
「…いや、もう諦めたらどうだ?」
学園に正式に組み込まれ行き場を無くしたアンダとしてはもうアレは積極的に関わりたくない存在である。
手にしていたナイフは、暗殺者が愛用する魔力防御無効のナイフ。
腕輪の力が働いたにしても、薄皮一枚切れなかったなど有り得ないのだ。
尚且つ、在学中は腕輪を通じて学園に張り巡らされた結界の三割程度を独りで普段していたと後から学園長に聞いた。
あの学園長もそうとう可笑しいが、あの娘はさらに異常である。
あれが、補助回復でなく攻撃魔法向きであれば、魔王認定されていてもおかしくないレベルだと聞いている。
しかも、攻撃的な魔法道具よりひたすら便利な物を追いかけ続けた超変人。
事実確認はしていないが、退学して以降に軍が摘発した物を保管した部屋がダンジョン化して開かずの間になってしまい内々に処理する為に元軍務大臣が彼女の身柄に多額の懸賞金を賭けたらしい。
「ここの生徒なのだから仕方がないだろう」
「そう言う問題ではないのだ!」
じゃあどんな問題があるというのだ。
教頭は学園幽閉状態であるが、あらぬ方面から差し向けられた刺客をアンダが密かに撃退している現状、にっちもさっちも行かないと言うのに何を憂いているのか。
進退窮まるどころか、学園から出なければ一生涯が保証されている。
少なくとも死ぬまで教頭として生きてける。
学園長ほどではないそうだが、各方面から相当数に恨まれている。
「何故諦めなければならない!私はあれにニセの情報ばかり渡され騙された被害者なのだぞっ!アレがなければ大臣から重役に徴用されていたはずだったのだ!?」
「今更何を…」
「今更ではない!私は私はなぁ!」
「落ちついてコーヒーでも飲めスルテカ」
まぁ、アレがいなければその話すら取り付けられなかっただろうがなと思いながら、喚くスルテカの口にコーヒーを投げ込む。
「…作業を続けろ」
「…………はい」
上半身をコーヒー色にしたスルテカが虚ろな目で書類整理を再開した。
なんと手の掛かるオヤジだろうか。
生徒から不当に情報を徴発し、人道に悖る(もと)行いをし続け、上納金やら献金やらで私腹を費やしたせいで我が身を危険にさらしただけなのに、なんの恨みがあると言うのか。
…まあ、あのローカを滑る様に進む姿をみて復讐心が沸き起こる教頭はやはりおかしいのか。
誰もアレに近付きたくはないと思うぞ。
もうすぐ、大学受験だからさぞかし恨まれる事だろう。
―なう。
“なう”これはなかなかいい響きだ。
なんか違う方向に(汗)
そもそもアサシンが昼間から奇襲するわけなかったと言う…




